エンターテインメント・ウェブマガジン
放送開始から早くも1カ月近くが経過した大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。躍動感あふれる物語を彩る音楽も耳になじんできた頃ではないだろうか。本作の音楽を担当するのは、連続テレビ小説「あまちゃん」(13)でも脚本家・宮藤官九郎とコンビを組んだ大友良英。軽快なテーマ曲を中心に、音楽製作の舞台裏を語ってくれた。
最初の打ち合わせから完成まで、1年以上かかっています。話を聞いていくうちに「たくさんの人たちが主役のように出てくる」という印象を持ちました。「あまちゃん」も似た印象でしたが、「いだてん」はメインになる人の人数も多ければ、出てくる地域も世界規模。だから、規模の大きな音楽を作ろうと。
たくさん人は出てくるけど、一人一人の個性的な顔が見える曲にしたいなと。そしてもう一つ、主人公の金栗(四三/中村勘九郎)さんが走り続けるドラマなので、曲もずっと走り続けていようと。大河ドラマのテーマ曲というと、華やかに始まって中盤はゆったり…というものが多いのですが、そうではなく、ずっと「ジャンジャカ♪ジャンジャカ♪」と走っている感じにしたいと思いました。
最初のファンファーレからギターと鼓で始まる部分は、人数が5、6人程度。そこから高度成長期のように右肩上がりでどんどん増えていって、最終的に約300人になる構成です。1964年の東京オリンピックの会場に、たくさんの人が集まって、ワーッと盛り上がっている雰囲気を意識しました。
録音したトラック数(歌声と楽器の数)は最大の箇所で700トラック。参加してくれた百数十人の演奏家全員がコーラスを歌っているのに加えて、他にもスタジオに来た人に歌ってもらっています。僕の声も入っています。恐らく大河史上最大のトラック数ではないかと。本当は1000人を目指していたのですが、さすがに限界で諦めました(笑)。このむちゃぶりに応えてくれたのは、「あまちゃん」でも編曲を担当した江藤直子さん。ものすごく頑張って、オーケストラ用にアレンジをしてくれました。あとは録音エンジニアの高橋清孝さんの技量がなければ実現しなかったです。
ちょうどこの作品の音楽を考えているときに、1カ月半、中南米を旅してきたので、その要素が入っています。オリンピックが題材なので、日本の中だけの閉じた話ではありませんし。中南米の音楽は、何百人という巨大な規模でアンサンブルをするものが多く、痛快です。ただ、今のブラジルのサンバは、音量が非常に大きくて、テンポも速く、筋肉質なアスリートのような雰囲気。現代のオリンピックを連想させますが、このドラマで描かれるオリンピックは、エリートだけでなく、いろいろな国のいろいろな人が集まった祭典ではないかと。だから、今よりものんびりしていて、自由で、酔っ払いのおじさんもいる、みたいな1950~60年代のサンバをイメージしました。
ドラマでは、金栗さんの話と並行して、飲んだくれてばくちに手を出して…という古今亭志ん生の若い頃も描かれるので、その点も意識しました。
今のところ、金栗さんが主人公の前半を想定して、200曲以上作りました。通常、大河ドラマでは1年で150曲ぐらいだそうですが。ただ、僕の場合は他の作曲家のように1曲ずつ丁寧に譜面を書くのではなく、現場でミュージシャンたちと一緒に膨らませていくジャズやポップスのようなやり方。だから曲数も増えるし、従来と少し違った劇伴になるのではないかなと。
会っていません。連絡も取っていません。それは「あまちゃん」のときも同じです。宮藤さん自身“グループ魂”というバンドをやっていますが、個性の強い方なので、会うと“グループ魂”のような曲を書いてしまいそうな気がして(笑)。台本を読み、役者の方々のお芝居を見て、音響デザインチームや監督と話し合いながら作業を進めました。
映画2025年11月6日
三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む
映画2025年11月1日
『爆弾』(10月31日公開) 酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。 やがてその言葉 … 続きを読む
ドラマ2025年10月31日
福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む
ドラマ2025年10月31日
NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年10月31日
宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む