「大久保さんの妻らしく、なるべく手際よく振る舞うことを心掛けました」美村里江(大久保満寿)【「西郷どん」インタビュー】

2018年11月25日 / 20:50

-あの場面は満寿の人柄がよく表れていました。

 ありがとうございます。実は、あの場面が私の撮影初日だったんです。その手際の良さが、満寿のキャラクターにピッタリかみ合っていたので、すぐに役をつかむことができました。おかげで、その後に撮影した嫁入りが決まる場面も自然と心が入りました。

-満寿は西郷家に出入りすることも多かったですが、鈴木亮平さんの印象は?

 撮影前、私が鏡の前で支度をしていると、鈴木さんが近づいてきて「満寿どん、調子はどないでごわすか?」と笑顔で声を掛けてくださるんです。ものすごい安心感がありますよね。しかも、それを私だけでなく毎回、みんなにやってくれる。当たり前のように見えますが、自分も疲れていたり、役のことで悩んだりすることもある中、あそこまでできる人はなかなかいません。すごい座長だな…と。しかも、紳士的で気遣いのできる鈴木さん自身のパーソナリティーに、西郷さんが持つ“情の厚さ”みたいなものが加わり、どんどんすてきな笑顔で迎えてくれるようになって…。長い間、同じ役に携わってきたからこそにじみ出る“厚み”のようなものを感じました。

-これまで満寿を演じてきて印象に残ったことは?

 恐らく、最後まで自主的に時間を設けて薩摩ことば指導を受けていたのは、私だけだったのではないでしょうか(笑)。私自身、役に立つ勉強が大好きなので、個別にお時間を頂けて大変ありがたかったと感謝しています。策士の旦那さんがたじたじになるぐらい頭の回転が早い人なので、しゃべりの滑らかさは大事にしたかったんです。

-満寿のキャラクターを表現する上で、薩摩ことばにも気を使われたと?

 そうですね。先生もいろいろと考えてくださり、男女の違いだけでなく、女性の中でもキャラクターとお芝居を考えてニュアンスを変えてくださいました。例えば、やや活発な感じの琴(桜庭ななみ)や糸(黒木華)に対して、貫禄がある満寿はイントネーションを緩やかにしてみたり…。そういうところからお芝居のヒントを頂くこともありました。それは今までにない感覚だったので、言葉には本当に助けられました。「薩摩ことばが大変」という声も現場でちらほら聞きましたが、私はとても楽しくやらせていただきました。たくさん練習もしたので、いい思い出になりました(笑)。

(取材・文/井上健一)

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