【インタビュー】『レディ in ホワイト』吉本実憂 クズなフレッシャーズ役に苦戦…ピンチを救ったのは“諦め”

2018年11月22日 / 12:00

 常識外れのクズ新人が、パワハラ全開のゲス上司のアシスタントになり、会社の命運を担うプロジェクトに立ち向かう姿を描いた映画『レディ in ホワイト』(11月23日公開)。本作で主人公・如月彩花役を演じた吉本実憂は、かつてない役柄に「ズドーンと落ち込むぐらい」苦戦したというが、果たしてピンチはどう救われたのか…? 撮影当時の様子を、作品の見どころ、女優としての展望とともに聞いた。

吉本実憂

-登場人物のほぼ全員がクズという猛毒映画ですが、脚本を読んだときの感想は?

 『罪の余白』(15)でもご一緒した大塚祐吉監督は少し変わった方なので、単純なキャラクターたちにならないだろうと思いながら読んでいました。そうしたら、やはりぶっ飛んでいました(笑)。

-彩花は、新人なのに敬語は使えない、指示には従わない、キメキメの白スーツに身を包んだ異質な存在ですが、どのような印象を持ちましたか。

 プライドがあって自由に生きているので、すごく好きな女性です。嫌われたり、脅威に感じられたりしているけど、人にはない感性もあって、ブラックユーモアの塊ですよね。物おじしないで意見を正直に言うところや、自分は正しいと貫くところも格好いいです。少し抜けているところもあるので、大嫌いになれないキャラにしたいと考えながら演じました。

-共感できるところはありましたか。

 全然違いますね。私は自分が暗いとは思っていないですけど、監督から「暗い人間をこんなに明るくするのは大変だったよ」と言われたぐらいなので。

-それでは役作りに苦労されたのではないですか。

 役が自分の中に入るまでに時間がかかりました。リハーサル期間が4日間ありましたが、3日間は監督とズドーンと落ち込むぐらい全然入ってきませんでした。彩花はプライドが高くて、テンションの高い女性ですが、私のテンションが全然上がらなくて悩みました。

-その壁をどのようにして乗り越えましたか。

 リハーサルの最終日に「どうなってもいいや」と諦めました。そうしたらスッと彩花のスイッチが入りました。気負い過ぎていたのかもしれません。諦めることは悪いことじゃないと思いました(笑)。あと、監督が「彩花としてうまく生きられたら、おまえのおかげ。生きられなかったら、俺のせい」と言ってくれたので、頑張って駄目だったら監督のせいにすればいいんだ…と思えたことも助けになりました。

-劇中、過激なせりふもありましたが、抵抗は感じませんでしたか。

 全くありませんでした。あれ? でも、何か感じないと駄目ですよね。ひどいですよね。なにかが狂っていました(笑)。彩花としてそう感じたから口に出していました。

-吉本さんにはロングヘアのイメージがありますが、ショートボブスタイルは役作りで?

 はい。以前、別の作品のために30センチぐらい髪を切ってからは、ずっとショートにしていたのと、監督から、ヘルメットみたいな髪形で、面白おかしくしたいと言われたので、ああいうふうになりました。実は、撮影当時は太り気味だったので、痩せた方がいいですよね?と聞いたんですが、「逆に太って。痩せている人がきついことを言うと嫌味に聞こえるし、ぽっちゃりして“ぶちゃいく”だと親近感があるから」とも言われました。

-座長として心掛けたことはありますか。

 申し訳ないけどないです。彩花として生きることに精いっぱいでした。皆さんが吉本実憂に慣れちゃうと彩花という役が崩れる気がしたので、お話をすることはありましたが、仲良くしようとか、気を使うことはあえてしませんでした。

-では、現場の雰囲気や、バトルを繰り広げるゲス上司・松山翔平役の波岡一喜さんとの初共演はいかがでしたか。

 現場はとても和やかでした。波岡さんは優しかったです。最初は、役に入り込んでしまう方とオンオフを切り替える方のどちらだろう…とビビりながらお会いしましたが、切り替えるタイプの方で、休憩時間も楽しくお話ししてくれました。

 
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