「西郷と2人のシーンは、いつも楽しみでした」瑛太(大久保利通)【「西郷どん」インタビュー】

2018年11月18日 / 20:50

-戦が繰り広げられた幕末と違い、明治編は政策論争が中心ですね。

 その中で、「大久保卿」と呼ばれるようになったのは、僕にとって大きなことでした。今で言えば、総理大臣。その責任をものすごく感じました。ただその分、大久保には強い焦りもあったのではないかと。だからこそ、全国各地から集まった政府の重鎮たちに厳しく接し、「佐賀の乱」を起こした江藤新平に至っては、処刑までしている。日本を豊かにするためには、そこまでしてでも海外の思想を取り入れ、文明を発達させていかなければいけないと考えていた。そういう背負ったものの重さを改めて感じました。

-鈴木亮平さんとの共演の感想は?

 西郷と2人のシーンは、いつも楽しみでした。僕にとって芝居の面白さとは、「本番での衝動をどれだけ素直に出せるか」ということ。亮平くんとの場面では、それがいつも以上にできるんです。しかも、1年以上見守っていると、疲労の程度や完璧なせりふ覚えなど、日々の亮平くんの姿を通じて、感受性も研ぎ澄まされていく。そうすると、ちょっとした息の吐き方や目の動きからも、機微を感じるようになってきて…。

-間近で見守ってきた鈴木さんの俳優としての魅力は?

 現場に向かうときは、僕の方からも声を掛けて士気を高め合うなど、いろいろなことを分かち合いながらこれまでやってきました。ただ、背負っているものは亮平くんの方が僕よりずっと大きい。それでもずっと笑っているし、役者としてもいろいろな武器を持っていて、誰からも愛されている。改めて「すごい役者だな…」と。

-これまで演じてきた感想は?

 正直、苦しいことも多いです。日々、撮影を続ける中で、どんなに良くても自分の芝居に80点以上を出せないんじゃないかと。プロである以上、100点に近づけなければと考えていますが、一つのカットや一つのシーンを終えるたびに、「これでよかったのかな」という思いが湧いてくる。そういうことを考え続ける1年2カ月でした。ただ、そんな中でも老若男女を問わず、たくさんの方が見てくれています。感想を聞くと、じっくりと見てくださっていることがよく分かり、「毎週楽しみにしている」という言葉には、ものすごく励まされました。

(取材・文/井上健一)

大久保利通役の瑛太

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

早見沙織「プレデターの新しい魅力をこの映画から感じていただけると思います」『プレデター:バッドランド』【インタビュー】

映画2025年11月19日

-アニメーションの声優としての活動が中心ですが、こうした映画の吹き替えとの違いはありますか。  私の個人的な感覚になりますが、マイクの前で自分の心を動かしながら表現をすることは変わらないので、ベースの部分はあまり違いがないと思います。ただ吹 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

▽キム・ゴウンはユミ役にぴったり  –ドラマ化にはどのくらい関わっていますか。   事前にクリエーターと何回かミーティングをしました。物語の順序を入れ替えてみようとか、どこまで表現していいかなどを事前に話し合いました。ウェブトゥ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

-撮影で特に印象に残った場面を教えて下さい。  近所の少年たちにいじめられた幸太が大雨の中、おじさんの家の前で黙って座り込んでいるシーンが、すごく印象に残っています。カメラに綺麗に映るように、大量の雨を降らせていたので、その水圧がものすごく … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

-その結果、完成したこの映画では、強盗団が使う刀やナイフのほか、列車備え付けのシャッターや消火器、乗客の荷物など、一見武器になりそうにない身近なものを使った多彩なアクションが見所です。そういうアイデアはどこから生まれたのでしょうか。  私は … 続きを読む

Willfriends

page top