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その中で、「大久保卿」と呼ばれるようになったのは、僕にとって大きなことでした。今で言えば、総理大臣。その責任をものすごく感じました。ただその分、大久保には強い焦りもあったのではないかと。だからこそ、全国各地から集まった政府の重鎮たちに厳しく接し、「佐賀の乱」を起こした江藤新平に至っては、処刑までしている。日本を豊かにするためには、そこまでしてでも海外の思想を取り入れ、文明を発達させていかなければいけないと考えていた。そういう背負ったものの重さを改めて感じました。
西郷と2人のシーンは、いつも楽しみでした。僕にとって芝居の面白さとは、「本番での衝動をどれだけ素直に出せるか」ということ。亮平くんとの場面では、それがいつも以上にできるんです。しかも、1年以上見守っていると、疲労の程度や完璧なせりふ覚えなど、日々の亮平くんの姿を通じて、感受性も研ぎ澄まされていく。そうすると、ちょっとした息の吐き方や目の動きからも、機微を感じるようになってきて…。
現場に向かうときは、僕の方からも声を掛けて士気を高め合うなど、いろいろなことを分かち合いながらこれまでやってきました。ただ、背負っているものは亮平くんの方が僕よりずっと大きい。それでもずっと笑っているし、役者としてもいろいろな武器を持っていて、誰からも愛されている。改めて「すごい役者だな…」と。
正直、苦しいことも多いです。日々、撮影を続ける中で、どんなに良くても自分の芝居に80点以上を出せないんじゃないかと。プロである以上、100点に近づけなければと考えていますが、一つのカットや一つのシーンを終えるたびに、「これでよかったのかな」という思いが湧いてくる。そういうことを考え続ける1年2カ月でした。ただ、そんな中でも老若男女を問わず、たくさんの方が見てくれています。感想を聞くと、じっくりと見てくださっていることがよく分かり、「毎週楽しみにしている」という言葉には、ものすごく励まされました。
(取材・文/井上健一)
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