「若い頃の伊藤博文の写真が僕に似ていたので、自信が付きました」浜野謙太(伊藤博文)【「西郷どん」インタビュー】

2018年11月12日 / 13:25

 岩倉使節団の一員として欧米視察に出ていた大久保利通(瑛太)が帰国。朝鮮との外交問題を巡り、西郷隆盛(鈴木亮平)率いる留守政府組との対立が表面化する。そんな状況下、政府内に居場所を失った大久保に接近したのが元長州藩士たち。その中には、後の初代内閣総理大臣・伊藤博文の姿も…。演じるのは、ミュージシャンとして活動する一方、連続テレビ小説「まんぷく」(18)などで個性派俳優としても存在感を発揮する浜野謙太。初めての大河ドラマの現場で感じたこと、役に懸ける意気込みなどを聞いた。

伊藤博文役の浜野謙太

-大河ドラマ初出演とのことですが、オファーを受けたときのお気持ちは?

 日本の初代総理大臣を務めた方なので、最初は「荷が重いな…」と思いました。でも、プロデューサーさんとディレクターさんからお話しを伺ったとき、「似ている」と言われたんです。若い頃の伊藤博文の写真を見ると、確かに僕に似ている。おかげで「これならできる!」と自信がつきました(笑)。そこで、視聴者の方にも「似ている」と思わせたかったので、初登場の場面ではお札になったあの顔を意識してみました。オンエアを見た玉山(鉄二/木戸孝允役)さんからは「なぜ、あんな変な顔をしてたの?」と言われましたが(笑)。

-周囲の反響などは?

 僕の母が歴史好きなんです。中でも大好きなのが坂本龍馬。そこで、喜んでもらえると思って、「西郷どん」の出演が決まったことを伝えたんです。でも、「伊藤博文だよ」と言った途端、「私、あの人嫌いなの!」と(笑)。

-演じる上で、伊藤をどんな人物と捉えていますか。

 監督が「伊藤はコンピューターオタクのような人間」とおっしゃっていたんです。そういう役はこれまで何度か演じたことがあったので、いけそうだなと。ただ、剛毅な会話を繰り広げる維新の志士たちの中で、そういう雰囲気を出すのはなかなか難しいものがありました(笑)。その一方で、他人の顔色をうかがうのが上手なタイプだと思ったので、明治編に入ってからは、さまざまな思惑が絡み合う政府内で、周囲の様子を巧みに伺う雰囲気を出そうと心掛けています。一つのテーブルを囲んで「みんな、こんなことを考えているんだろうな…」と想像しながら演じるのが楽しくて…(笑)。

-初登場となった第32回「薩長同盟」で、伊藤は薩長同盟の締結に大きな役割を果たしました。演じてみた感想は?

 実は僕、薩長同盟の場面が撮影初日だったんです。しかも、そのリハーサルに参加することができなくて…。後で話を聞いたら、「薩長同盟が結ばれるのは視聴者も分かっているから、どうやったら盛り上げることができるか、ものすごく考えた」というんです。それを知らずに現場入りしたんですが、みんなのすごい気迫に胸が詰まり、ポロポロと涙が出てきました。自分のせりふを間違えないか緊張しましたが、あの現場にいられたことには感動したし、楽しかったです。ものすごく充実した日でした。

-その場面から入ったことで、その後、やりやすくなったようなことは?

 確かに、あれでやりやすくなりました。ただ、明治編に入ってからは、伊藤も変わってきています。あのときは、西郷さん寄りの真っすぐなキャラクターという印象でしたが、明治に入ると、大久保さんと一緒にいることが多くなり、すごみや怖さみたいなものが伝染してきます。やっぱり、ひょうひょうとしているように見えても、総理大臣になったほどの政治家。怖い部分もあるはずです。これからは、そんな部分も出していけたらと思っています。

-伊藤と大久保の関係も見どころですね。

 そうですね。実は、伊藤博文の話をまとめた本があるのですが、そこに大久保さんのことはかなり詳しく書いてあるのに、西郷さんのことは半ページぐらいなんです。しかも「すごいやつだったけど、政治の才能はなかった」みたいに断じていて…。そんなところからも、2人との距離感が伝わってきます。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

高杉真宙「見どころは、何よりも坂口健太郎さんと渡辺謙さんの演技だと思います」『盤上の向日葵』【インタビュー】

映画2025年10月30日

 『孤狼の血』で知られる柚月裕子の同名小説を映画化。昭和から平成へと続く激動の時代を背景に、謎に包まれた天才棋士・上条桂介(坂口健太郎)の光と闇を描いたヒューマンミステリー『盤上の向日葵』(配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/松 … 続きを読む

Willfriends

page top