【インタビュー】『ラプラスの魔女』三池崇史監督 “バイオレンス監督”の称号に疑問…それでもバイオレンスを撮る理由とは?

2018年11月13日 / 17:42

 ベストセラー作家・東野圭吾の同名小説を、嵐の櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰ら豪華キャストで実写映画化した映画『ラプラスの魔女』のBlu-ray&DVDが11月14日にリリースされる。本作を手掛けたのは“バイオレンス映画の巨匠”三池崇史監督。劇中には激しい暴力シーンもあり、三池イズムを感じるが、実はバイオレンス映画は「全然好きじゃない」という。その真意とは…?

三池崇史監督

 フランスの数学者ラプラスが提唱した「計算によって未来を予見できる知性を持った者」=“ラプラスの悪魔”がモチーフの本作は、連続した不審死の調査をする地球化学の専門家・青江修介教授(櫻井)が、自然現象を予言するヒロイン・羽原円華(広瀬)や失踪中の青年・甘粕謙人(福士)と出会い、事件に秘められた衝撃の真実へとたどり着くさまを描いたミステリー。

 執筆活動30周年を迎えた東野が「これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった」という熱い気持ちで書いた異色作が原作で、三池監督も「東野さんの今までの自分をリセットする気配を感じた」と回顧すると、「お互い関西人で、東野さんはやたら書くし、僕はやたら撮るし、勝手な共通点を感じていた」と東野との初タッグを喜んだ。主演の櫻井とは『ヤッターマン』(09)以来の再タッグ。櫻井の現場での立ち居振る舞いは、国民的スターとなっても「人としてぶれていなかった」と明かし、「そういう芸能人はなかなかいない」と感心した。

 本作の反響を聞くと、「観客にはいろんな意見があって当然のことだからね。それより原作者の方が気になるかな。僕にとって最初の観客だし、原作者がどう思うかが映画の興行としてのスタートだから」と返答。試写会での東野の様相については、「『許容範囲に収まったか…』って安心されていたかな(笑)。『映画として非常に面白い』と言ってもらいました」と話し、公開前から満足していたことをうかがわせた。

 映画にとどまらず、市川海老蔵と六本木歌舞伎「座頭市」に挑戦したり、フンコロガシの姿をコミカルに描いたストップモーション・アニメーション「ころがし屋のプン」や、少女向け特撮テレビドラマ「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」を手掛けたり、その活躍は多岐にわたる三池監督。

 どのような作品に心が動くのか問うと、「面白いと思えば何でもやるよ。そのオファーが来るか来ないかだけ。こういうのをやりたいとかいう願望はないし、これは俺に向いているな…と考えたこともない。そうじゃないと、大して知識もないのに歌舞伎の宗家と歌舞伎を作るなんて怖くてできないよ」と吐露した。

 また、自分にオファーが回ってくる事情の中には、「予定していた監督がごねたとか、病気になったとか、主演の役者とそりが合わないから降りたとか、いろいろある」と素直に語り、「どこでも守れて、二割三分くらい打てて、特に優れていないけど劣ってはいないし、たまに飛ぶから扱いやすい」と少々自虐的に自己分析し、「やたる撮る」ゆえんにも言及した

 さらに「いまだに『バイオレンス監督』とか、ヨーロッパでは『暴力シーンがないと三池らしくない』とか言われるけど、それはその人の評価で、僕は思ってないからね。バイオレンスもホラーも全然好きじゃないし、絶対に観ない」と意外な発言も。

 では、なぜバイオレンス映画を盛んに撮っているのか? その答えは「作り手としては落とし穴を掘っているみたいでワクワクする」そうで、見ない理由は「自分がはめられるのは嫌でしょ?」と同意を求めつつ、「でも俺、絶対にはめられるんだよね…」とチャーミングな一面もチラリ。その例として、黒沢清監督の『回路』(01)を挙げ、「あれはまずいでしょ。『死は永遠の孤独』(劇中のせりふ)って怖すぎ…」とぼやいた。

 
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