「長所も短所も、江藤と僕はものすごく似ています」迫田孝也(江藤新平)【「西郷どん」インタビュー】

2018年11月11日 / 20:50

 西郷隆盛(鈴木亮平)、大久保利通(瑛太)らを筆頭に、維新に功績のあった薩長土肥の旧藩士たちが中核を占める明治新政府。その中で、元佐賀藩士として活躍するのが、「維新の十傑」「佐賀の七賢人」にも挙げられた江藤新平だ。西郷と共に、欧米視察に出た岩倉使節団の留守を預かり、後の世につながるさまざまな政策を打ち出しながらも、後に下野して旧士族の反乱「佐賀の乱」を起こすこととなる。演じるのは、これまで「薩摩ことば指導」を担当してきた迫田孝也。ことば指導と出演の二役を経験した感想や、役に懸ける意気込みを聞いた。

江藤新平役の迫田孝也

-薩摩ことば指導の担当から、出演することになった経緯は?

 最初から出る気は満々でした(笑)。イベントなどの機会があるごとに「出たい」と言い続け、中園ミホさん(脚本家)と林真理子さん(原作者)にも「よろしくお願いします!」とあいさつしていたんです。そうしたらある日、「役が決まりました!」と連絡があって。でも、僕は鹿児島出身なのでてっきり薩摩藩士の役だと思っていたら、佐賀の江藤新平。予想外の話にびっくりし過ぎて、一瞬「え?!」と固まりました(笑)。

-その驚きは解消できましたか。

 最初こそ戸惑いましたが、調べれば調べるほど、僕にぴったりな人物だなと。正義感が強いところや、周りを振り回してしまうことがあるところなど、、長所も短所も、江藤と僕はものすごく似ている。だから今は、演じていてとてもしっくりきています。

-そんな江藤新平を、どんな人物だと捉えていますか。

 教育や司法で実績を残した立派な人物ですが、クールで理論的な人物というのが一番の印象です。その一方で、最終的には佐賀の乱を起こすような一面もある。それを考えると、単にクールなだけではない、内に秘めた熱さや、何としても自分の思いを遂げようとする執念みたいなものも持っているはずだと。台本でも、会議の場面では冷静に周りの話を聞きつつ、自分の番がくれば一気に攻めていくような描写があります。そういう部分は、僕が考える江藤と一致しています。

-薩摩ことば指導から、演じる側に立場が変わるとき、戸惑いはありませんでしたか。

 指導する立場から、ある日急に役者という切り替えは難しいと思ったので、準備段階で一時、現場を離れて距離を置きました。おかげで気持ちの整理はつきましたが、最初のうちは役者陣からニヤニヤしながら見られました(笑)。

-出演者として佐賀の言葉を使う立場になった感想は?

  薩摩と佐賀の言葉は、似ているけど微妙な違いがあります。その点は難しいです。ただ、これまで自分が指導してきた中で、多少間違っていても、方言に捉われ過ぎない方が、芝居の説得力が上がる様子を何度も目にしてきたんです。役者としてはその方が正しいと思ったので、僕もそういう方向で演じるようにしています。

-改めて役者として向き合った鈴木亮平さん、瑛太さんの印象は?

 亮平くんはやっぱり大きい。それは、体格ということではなく、存在感や人間的な器の大きさです。目の前でお芝居をしてみて、この1年で亮平くんの中に西郷隆盛という男がしっかり育ってきていることを、初めて感じました。一方、大久保さんは江藤にとって因縁の相手。だから、そのつもりで臨んでいますが、瑛太くんが演じる大久保の中には、嫌っていながらも、どこか江藤に似たところがあるように感じられるんです。そういうところは、芝居をしてみて初めて分かったことです。芝居の面白さを改めて感じました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

阿部サダヲ&松たか子、「本気でののしり合って、バトルをしないといけない」離婚調停中の夫婦役で再び共演 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年10月31日

 宮藤官九郎が作・演出を手掛ける「大パルコ人」シリーズの第5弾となるオカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」が11月6日から上演される。本作は、「親バカ」をテーマに、離婚を決意しているミュージカル俳優と演歌歌手の夫婦が、親権を … 続きを読む

Willfriends

page top