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1960年代後半から70年代にかけてエッジの利いた作品を次々と送り出し、若者たちの絶大な支持を集めた若松プロダクション。鬼才・若松孝二を中心に、そこに集った若い映画人たちの型破りで熱い生きざまを描いた鮮烈な青春群像劇『止められるか、俺たちを』が10月13日から全国順次公開される。若松プロ作品初参加で主人公・吉積めぐみを熱演した門脇麦と、若松を師と仰ぐ白石和彌監督に、作品に込めた思いを聞いた。
白石 こんなむちゃ振り、ないですよね(笑)。でも、それを踏まえて、腹をくくって必死にやってくれました。僕にとって若松孝二は師匠なので、新さんが演じているとはいえ、そんな人に現場でNGを出せるのか、事前に何度もシミュレーションしたんです。その結果、「やっぱり無理」と。それで新さんに「任せます」と伝えたら、「そんなのやめてください」と慌てていましたけど(笑)。とはいえ、いざ始まったら、最後まで見事に演じ切ってくれました。頼もしかったです。
門脇 クランクイン前日に新さんとお話をしたとき、「吐きそう」とおっしゃっていて。心から尊敬している方を演じるということはよほどの覚悟がない限りできないと思います。私だったらやりたくない。でも、それをやると言った新さんの姿を見て、作品の真ん中に立つということがどんなことなのか、改めて教えられました。本当に頼りがいがあったし、新さんを通して、会ったことのない若松さんにお会いできたような気にもなって…。そんなふうに感じたのは、初めての経験でした。
白石 これは、吉積めぐみという存在があったからこそ撮れた物語です。若松さんを主人公にするより、何者でもない吉積めぐみが何者かになろうとする話の方が、より間口を広げることができる。さらに言えば、“めぐみ=僕たち”だったので、若松さんよりめぐみに対する思い入れの方が強かった。新宿のゴールデン街で「おまえは何がやりたいんだ」と言われる場面などは、僕ら自身の経験でもありますから。だから、僕の中で若松さんを主人公にするという選択肢はありませんでした。
門脇 まず、物語の中のめぐみを成立させるということを一番に考えました。もちろん、めぐみさんについて皆さんが語った資料などは読み、そこに込められた想いをしっかりと受け止めながら演じたつもりです。ただ、映画の中で自分が演じなければいけないとなったとき、そこは一度、断ち切る必要がありました。何故なら、実際のめぐみさんは、あの時代の真っただ中にいた人で、皆さんが抱いている思いや感傷的な気持ちは知らないはずなので。だから、そういう白石監督たちの思いを感じつつも、「私がやるべきことはそこじゃない」と。その間の道をするするっと見つけながら、やっていた感じです(笑)。
白石 そのあたり、冷静でいてくれたということですよね。確かに当時は、ただただ振り回されているだけだったり、怒られたくないから一生懸命やっていたり、多分その程度のことなんですよ。後から振り返ったとき、その積み重ねが「でもやっぱり俺たち青春していたよね」みたいな見え方になるだけで。
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