【芸能コラム】井浦新 エンタメから硬派な作品まで、幅広い活躍で見る者を魅了 「アンナチュラル」から『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』へ

2018年7月7日 / 13:30

 モデル出身の端正な顔立ちと183センチの長身から漂う繊細さ。加えて、どことなく愁いを帯びた表情から醸し出される孤高の存在感。俳優・井浦新の特徴を一言で表すとこんなところになるだろうか。

『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』(C)NHK

 その持ち味を生かして、数多くの作品で活躍中の井浦。今年1月から放送された連続ドラマ「アンナチュラル」には、石原さとみ演じる法医学者・三澄ミコトの同僚・中堂系役で出演。解剖医としての腕は確かだが性格に難あり、だがその裏には恋人を殺した犯人を捜し続ける悲しみと強さを秘めた人物を、人間味豊かに演じて好評を博した。

 他にも大河ドラマ「平清盛」(12)、「HiGH&LOW SEASON 2」(16)など、さまざまな作品で活躍してきた井浦だが、その傾向の一つとして、骨太な社会派作品に多く出演していることが挙げられる。

 全国順次公開中の主演作『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、1972年の沖縄返還に尽力した外交官・千葉一夫の姿に迫った社会派ドラマ。千葉を「昭和の豪傑」と呼ぶ井浦は、出演が決まった時点で「僕自身、身体的にもメンタル的にも、千葉さんを受け入れる器としては、不足していると感じた」と当サイトのインタビューで語った。

 そこで、千葉本人に近づくために体重を増やすなど、入念な役作りを実施。その結果、声はいつもより低く太いトーンに変化、持ち味の繊細さに力強さが加わり、意気込みが伝わる入魂の演技となった。

 社会派の作品に対する意欲については、同インタビューで「僕自身、さまざまな事件や、戦争、社会問題を題材にした作品が好きなので、役者としてもやっていきたいという気持ちを持っています」とも語っている。その言葉を裏付けるのが、彼のフィルモグラフィーだ。

 世間を震撼(しんかん)させた、あさま山荘事件の内幕を描いた『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)。防衛庁内で割腹自殺を遂げた作家・三島由紀夫を演じた『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(12)。北朝鮮と日本の間で引き裂かれた在日朝鮮人家族の悲劇を描いた『かぞくのくに』(12)…。いずれも国内外で高い評価を受けた骨太な作品だ。

 
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