「嫌な親父を楽しく演じさせていただきました」鹿賀丈史(島津斉興)【「西郷どん」インタビュー】

2018年5月28日 / 13:22

-斉興と言えば、常に寄り添っていた由羅の存在も大きかったですね。

 あれだけ強い女性ですからね。多少は尻に敷かれているところがあったかもしれません(笑)。「お由羅騒動」とは呼ばれても、「斉興騒動」とは呼ばれないわけですから。そのあたりからも、由羅の強さが感じられます。とはいえ、江戸でも薩摩でもずっと一緒にいたわけですから、2人が愛し合っていたことは確か。そんな由羅を、小柳ルミ子さんが大変魅力的に演じてくださいました。

-「翔ぶが如く」で鹿賀さんが演じられた大久保を、今回は瑛太さんが演じられています。第17回では斉興と大久保が対面する場面もありましたが、感想は?

 僕はちょうど40歳のときに大久保を演じたのですが、1年間やったので、やっぱり体に染み付いたものがあります。だから、大久保に対する思いや、当時の思い出みたいなものがよみがえってきて、斉興と大久保の対面シーンは、とても楽しみにしていました。西郷を救うために斉興のもとへ飛び込んでくるあたり、いかにも大久保らしいですよね。

-瑛太さんが演じる大久保の印象は?

 これからですよね、大久保が台頭してくるのは。今は西郷の方が立っていますが、これからどんどん大久保らしさが出てくると思うので、期待しています。

-「翔ぶが如く」との関連では、当時、西郷を演じた西田敏行さんがナレーションを担当しています。

 NHKで偶然、西田さんに会ったとき、ナレーションをやるとご本人から聞きました。そのとき、これは面白いなと。オンエアを見ると、「翔ぶが如く」で西郷を演じたという西田さん自身の思いも、ナレーションに込められているような気がします。毎回、少しずつニュアンスも違いますし、ドラマを盛り上げていますよね。

-主人公の西郷吉之助を演じる鈴木亮平さんの印象は?

 西郷はどちらかと言うと野放図なところがある人物ですが、鈴木さん自身は非常に知的で繊細な俳優。なので、オンエアを見ながら、「こういうふうに演じるのか」、「こういうところで涙を流すのか」と楽しんでいます。また新しい才能のある俳優が出てきたなという印象です。

-第11回では、吉之助が斉興の屋敷に押し掛ける一幕もありました。

 「二度とその顔を見せるな!」と一喝する場面ですね。撮影中はすれ違いが多く、鈴木さんと言葉を交わす機会はあまりありませんでしたが、お互いに丁々発止で芝居をすること自体が俳優同士の会話みたいなもの。そういう意味で、あの場面は楽しく演じられました。「翔ぶが如く」にはなかった場面だと思いますが、この作品では斉興が西郷にも大久保にも会えるので、うれしかったです。

-今後も大河に出演したいという意欲はありますか。

 大河ドラマは日曜8時に決まって放送されていることもあって、知り合いもみんな見てくれるんですよね。そういう意味で、大河ドラマは他にはない独特の魅力がある作品。僕ももういい年ですが、年齢にふさわしい役があればぜひまた出たいです。

(取材・文/井上健一)

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