「この作品は私の人生の中で、ものすごく大事なものになりました」二階堂ふみ(愛加那)【「西郷どん」インタビュー】

2018年5月22日 / 08:00

 “菊池源吾”と名を変えた吉之助(鈴木亮平)が、奄美大島に流されてから数年が経過。美しい自然に囲まれたこの島で、生きる力を取り戻した吉之助は、島の女性・愛加那と結婚する…。島の生活を経験し、さらに大きく成長した吉之助は、やがて明治維新へと突き進むことになるが、その生活を支えたのが愛加那だった。力強くはつらつとした演技が好評を博している二階堂ふみが、愛加那役に込めた思い、撮影の裏話、演じてみて気付いたことなどを語ってくれた。

愛加那役の二階堂ふみ

-愛加那が吉之助からプロポーズされる場面はとても印象的でした。

 愛加那さんは、吉之助と一緒になっても、いずれは1人で待つことになるのが分かっていたと思います。それでも今はとにかく彼と一緒にいたいと覚悟を決め、その気持ちを全身で伝えにいく…。2人の愛を表現する幸せな場面ですが、それと同時に、これからどれだけ一緒の時間を過ごせるのか分からないという不安も垣間見えてくる。そんな複雑な感情が入り混じったシーンでした。

-愛加那は吉之助にとってどんな存在になろうとしたのでしょうか。

 そういうことは考えていなかったと思います。あなたがいて私がいて、そこには大きな愛がある。それでもう十分。そういう深い愛を持って、吉之助という存在を自分の体で体感していたんだと思います。

-鈴木亮平さんとの共演はいかがですか。

 鈴木さんは、体はもちろんですが、それ以上に心が大きい方で、どしっと正面から受けとめてくださるんです。だから、頭で「どうしよう?」と考えるよりも、体当たりに近い感じで、私の中から出てくる愛加那という人を100パーセントぶつける気持ちでやっています。

-せりふを島唄に変更された部分もあるそうですね。

 初めて本読みをしたとき、演出の方が「島の人たちにとって、食べることや寝ることと同じように島唄が存在している。愛加那も自分の感情が出るときには、自然に歌っていると思う」とおっしゃっていて、なるほどと納得したんです。その上で島唄を練習してみたら、気持ちが高まる曲が多く、それが、時には悲しい気持ちを伝えるものになり、相手を励ますものにもなり、楽しさを表すものにもなる。心が丸裸になるような感覚だったので、どう表していいか分からない気持ちも、島唄ならきっと伝わるのではないかと思いました。

-島唄の練習はいかがでしたか。

 難しかったですが、島唄の指導の住(すみ)先生に教えていただき、何回も歌って練習しました。印象的だったのは、先生から「一度、海に向かって思い切り歌った方がいい」と言われて、先生と一緒に手をつないで歌ったことです。そうしたら、自分の中にも、誰かと手をつなぎたくなる瞬間が生まれてきて…。やっぱり、海のある場所で歌われていた曲なので、すごくマッチしました。

-奄美のことばは薩摩とも違って難しそうですが、いかがでしたか。

 私の故郷の沖縄の言葉に少し似ていたので、その点はありがたかったです。島の方が聞いてどう感じられるかは分かりませんが、一生懸命取り組ませていただきました。

-奄美の女性は手に「ハジキ」と呼ばれる入れ墨をしているのも特徴的ですね。

 最初は自分のための「魔除け」と聞いていたのですが、実際に島の方々に伺ってみたら、自分自身だけでなく、大切な人や物、自分が愛する全ての物を守るため。だから、これを入れることが誇りだったんだと。そんな話を聞いたら、より一層、気持ちが入りやすくなりました。

 
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