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奄美大島に流された吉之助(鈴木亮平)は、思いやりと優しさにあふれた人柄で信頼を得て、島民たちとの交流を深めていく。その1人が、愛加那の義理の姉でもある島唄の名手・里千代金だ。演じているのは、オープニングテーマで美しい歌声を披露している奄美大島出身の里アンナ。初めてのテレビドラマ出演の感想、故郷・奄美大島での撮影の舞台裏などを語ってくれた。
テレビドラマに出演させていただくのが初めてだったので、ロケも何もかも、全てが初めて。それを故郷の奄美大島でできたことが、とても感慨深かったです。なぜ私はこの現場にいるのだろうかと、不思議な気持ちになりました。
初日の撮影は沖永良部島だったのですが、雨で撮影ができなくて、公民館で待たせていただくことになったんです。初めてだったので緊張していたのですが、その間に皆さんとお話することができたおかげで、少し落ち着くことができました。鈴木(亮平)さんや二階堂(ふみ)さんからは、「撮影で歌うので、島唄を教えてほしい」というお話もいただいて…。撮影が中止になってスタッフの皆さんは大変だったと思いますが、そういう時間が取れたのは、私にとってはありがたかったです(笑)。
オープニングテーマを歌わせていただくことになったときも、どこか他人事のような気持ちでした。私は普段、あまり感情が表に出るタイプではないのですが、試写会で第1回を見たときは、感動して思わず涙が出ました。出演が決まったときは、ものすごく興奮していたみたいで、マネジャーさんに喜びをそのまま伝えたら、「初めてそんな言葉を聞きました」とメールが返ってきて(笑)。そのときは、うれしさと同時に、「大丈夫かな?」という不安と緊張も湧いてきましたが、うれしさの方が勝っていました。
監督から「富堅は“言うことを聞かない子ども”だと思って、お母さんがしつけるように」というお話を頂いたので、家でおいっこやめいっこが暴れたときに叱りつけるところをイメージしてやってみました(笑)。声についても、張り上げると高くなってしまうので、そうならない方がいいのかな…と思って気を付けました。
普段歌うときとは、また違いました。例えば、お祝いの歌を歌うときも、2人を祝福するだけでなく、いずれは薩摩に戻ってしまうかもしれない吉之助との結婚を決意した愛加那の気持ちを考えて…。そういう気持ちを持って歌うのは、コンサートのときとは別物です。歌っている最中は、いろいろな思いが込み上げてきて、涙が出そうになりました。
そこはすごく難しい部分だったので、もし自分が愛加那の立場だったらどうだったんだろうと、撮影のたびに胸が苦しくなりました。親が決めた相手と結婚することが多かった時代に、いずれは薩摩へ帰ってしまう吉之助への愛を貫こうとするわけですから。そんな揺れ動く愛加那の気持ちを、義理の姉として見守っていけたら…。そんなことを考えながら、演じていました。
奄美には「愛加那」という名前のお店やお土産物、焼酎がたくさんあるんです。だから、教わらなくても「愛加那」という名前は誰でも知っている感じです。私は、小学校の社会科見学で、西郷さんが生まれた家に行ったとき、奥さんが愛加那だったことを知りました。
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