「皆さんに奄美のことを知っていただけるのが本当にうれしいです」里アンナ(里千代金)【「西郷どん」インタビュー】

2018年5月20日 / 12:00

 奄美大島に流された吉之助(鈴木亮平)は、思いやりと優しさにあふれた人柄で信頼を得て、島民たちとの交流を深めていく。その1人が、愛加那の義理の姉でもある島唄の名手・里千代金だ。演じているのは、オープニングテーマで美しい歌声を披露している奄美大島出身の里アンナ。初めてのテレビドラマ出演の感想、故郷・奄美大島での撮影の舞台裏などを語ってくれた。

里千代金役の里アンナ

-故郷の奄美大島で撮影した感想は?

 テレビドラマに出演させていただくのが初めてだったので、ロケも何もかも、全てが初めて。それを故郷の奄美大島でできたことが、とても感慨深かったです。なぜ私はこの現場にいるのだろうかと、不思議な気持ちになりました。

-初めての撮影はいかがでしたか。

 初日の撮影は沖永良部島だったのですが、雨で撮影ができなくて、公民館で待たせていただくことになったんです。初めてだったので緊張していたのですが、その間に皆さんとお話することができたおかげで、少し落ち着くことができました。鈴木(亮平)さんや二階堂(ふみ)さんからは、「撮影で歌うので、島唄を教えてほしい」というお話もいただいて…。撮影が中止になってスタッフの皆さんは大変だったと思いますが、そういう時間が取れたのは、私にとってはありがたかったです(笑)。

-オープニングテーマの歌唱に続いて、出演が決まったときの気持ちは?

 オープニングテーマを歌わせていただくことになったときも、どこか他人事のような気持ちでした。私は普段、あまり感情が表に出るタイプではないのですが、試写会で第1回を見たときは、感動して思わず涙が出ました。出演が決まったときは、ものすごく興奮していたみたいで、マネジャーさんに喜びをそのまま伝えたら、「初めてそんな言葉を聞きました」とメールが返ってきて(笑)。そのときは、うれしさと同時に、「大丈夫かな?」という不安と緊張も湧いてきましたが、うれしさの方が勝っていました。

-里千代金は、力も強くて無骨な富堅の妻ということですが、演じる上で心掛けたことは?

 監督から「富堅は“言うことを聞かない子ども”だと思って、お母さんがしつけるように」というお話を頂いたので、家でおいっこやめいっこが暴れたときに叱りつけるところをイメージしてやってみました(笑)。声についても、張り上げると高くなってしまうので、そうならない方がいいのかな…と思って気を付けました。

-劇中でも見事な島唄も披露されましたが、感想は?

 普段歌うときとは、また違いました。例えば、お祝いの歌を歌うときも、2人を祝福するだけでなく、いずれは薩摩に戻ってしまうかもしれない吉之助との結婚を決意した愛加那の気持ちを考えて…。そういう気持ちを持って歌うのは、コンサートのときとは別物です。歌っている最中は、いろいろな思いが込み上げてきて、涙が出そうになりました。

-吉之助と結婚する愛加那をどんな気持ちで見守っていましたか。

 そこはすごく難しい部分だったので、もし自分が愛加那の立場だったらどうだったんだろうと、撮影のたびに胸が苦しくなりました。親が決めた相手と結婚することが多かった時代に、いずれは薩摩へ帰ってしまう吉之助への愛を貫こうとするわけですから。そんな揺れ動く愛加那の気持ちを、義理の姉として見守っていけたら…。そんなことを考えながら、演じていました。

-愛加那は奄美大島では有名人だとか。

 奄美には「愛加那」という名前のお店やお土産物、焼酎がたくさんあるんです。だから、教わらなくても「愛加那」という名前は誰でも知っている感じです。私は、小学校の社会科見学で、西郷さんが生まれた家に行ったとき、奥さんが愛加那だったことを知りました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

岸井ゆきの「夫婦の“切実さ”が描かれている」宮沢氷魚「すごくやりがいがありました」すれ違っていく夫婦役で初共演『佐藤さんと佐藤さん』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 大学で出会った佐藤サチと佐藤タモツはたちまち意気投合し、一緒に暮らし始める。ところが卒業後、弁護⼠を⽬指すタモツは司法試験に失敗。独学を続けるタモツに寄り添うため、サチも司法試験に挑むが、数年後、合格したのはサチだった。結婚、出産を経て弁 … 続きを読む

28歳で亡くなった阪神タイガースの元選手の実話を映画化! 松谷鷹也「横田慎太郎さんのことを知っていただきたい」前田拳太郎「誰かの背中を押す作品になるはず」『栄光のバックホーム』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 プロ野球、阪神タイガースの将来を担う選手として期待されながらも、21歳で脳腫瘍を発症して引退、その後も病気と闘いながら講演会活動などを続け、2023年に28歳で亡くなった横田慎太郎の生きざまを描いた『栄光のバックホーム』が、11月28日か … 続きを読む

吉高由里子「忘れかけていたことをいきなり思い出させてくれる」 念願の蓬莱竜太と初タッグ パルコ・プロデュース2025「シャイニングな女たち」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月28日

 吉高由里子が2022年の「クランク・イン!」以来、3年ぶりに舞台主演を果たす。吉高が挑むのは、日常に潜む人間の葛藤や矛盾を丁寧にすくい取り、鋭い視点の中にユーモアを織り交ぜる作風で共感を呼んできた蓬莱竜太が描く新作舞台、パルコ・プロデュー … 続きを読む

【映画コラム】新旧監督の話題作が並んで公開に『TOKYOタクシー』『金髪』

映画2025年11月22日

『TOKYOタクシー』(11月21日公開)  タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、85歳の高野すみれ(倍賞千恵子)を東京の柴又から神奈川県の葉山にある高齢者施設まで乗せることになった。  すみれの「東京の見納めに、いくつか寄ってみたい … 続きを読む

中川晃教「憧れることが原動力」 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」で7年ぶりにニック役に挑戦【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月22日

 数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージ … 続きを読む

Willfriends

page top