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恐らく先人たちは、そんなことは考えずにひたすら自分がやりたいこと、やらなきゃいけないことに向かって突っ走っていただけだと思うんです。それを僕らが、背中を見ながら必死に追いかけていった。僕も今、そういう感じです。だから、「これでどうだ」みたいなことを言うつもりはさらさらありません。今、自分がやりたいこと、やらなきゃいけないことに対してどこまで真摯(しんし)に、たたき壊しながらやれるかということを日々繰り返しているだけで。役の上では藩主と家来でも、俳優としては横綱も大関も平幕も、土俵に上がれば一緒。それは僕が幕下、十両ぐらいの頃から思っていたことで、今も変わりません。
40代でフィールドを広げて仕事をするようになってから、「渡辺謙はこういう俳優」と言われるのがうれしくないんですよ。だから、「こんなこともするの?」「あんなこともできるの?」と言われるぐらい、フットワークを軽くしたい。もちろん、肉体的には今までのようにはできないことも出てくるでしょうけど、精神的にはどんどんフットワークを軽くしていきたいです。
いいんですよ、制約が多くて(笑)。携帯はないし、連絡が取れないから、人同士がすれ違うことが多い。だから、人間が持っている情熱や情念みたいなものが、僕らの3倍ぐらいあるような気がします。現代劇で生きるの死ぬのと言っても「ふざけるな」と怒られそうですが、時代劇だとそれが成立する。だから、そういう思いの深さや情念の中で人が必死に生きている姿を演じられるのは、俳優としての醍醐味(だいごみ)だし、時代劇の良さではないでしょうか。
朝ドラの「はね駒」(86)に出演したとき、NHKの方が「(野球で言えば)朝ドラ、大河はうちの3番、4番」と言っていたことをよく覚えています。その意識は、視聴者の中にもあるに違いありません。だから、そういう作品を作るんだという気概を持って、僕自身もまたNHKに来ました。今のスタッフや俳優の中にもそういう気概は感じられるので、この伝統は失わないでほしいし、よぼよぼの白髪になってもまた出たい。そのときは、思いもかけないような役がいいですね(笑)。
(取材・文/井上健一)
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