【インタビュー】『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』 妻夫木聡「今回は、うっかり感動させちゃいます」 蒼井優「この家族は、最低だけど最高じゃないですか」

2018年5月21日 / 12:00

-山田監督が蒼井さんに「何かいいアイデアない?」と聞いたりすることもあると伺いましたが。

妻夫木 監督が「優ちゃんが言ったことが面白い」とおっしゃって、それが実際に映画の中で使われたということで、みんなが「次は自分の手柄にしよう」として、わざと監督に聞こえるように、思い付いたことを話したりしましたが、一切使われませんでした(笑)。優ちゃんは特別なので、彼女の話次第では、今後の僕たちの死活問題にかかわってくるとも考えられます(笑)。

蒼井 またみんなで知恵を出し合おうね(笑)。

妻夫木 監督は常にいろんなことを考えながら過ごしていらっしゃる方で、撮影中も「こういうアイデアはどうだい」なんて全く別の話もされますし、いろんなものからヒントを探していらっしゃるのだと思います。

-今回は一家の主婦である史枝(夏川結衣)の話が中心でしたが、実は妻夫木さんが演じた庄太が家族の絆をつなぐ役割を果たしていると感じました。特に兄の幸之助(西村まさ彦)を説得するレストランでのシーンは印象的でした。

妻夫木 このシリーズでは、庄太は最初から緩衝材のような役割だったのですが、今回はキーパーソンだったのかなと思います。あれは、普段からあまり仲がいいとはいえない兄貴に本音でぶつかるシーンでした。僕にも兄がいて、実際にぶつかったこともあるので、それを思い出しましたし、そういう話を監督にさせていただいたりもしました。『東京家族』から始まった西村さんとの時間が、今回はとても生かされた気がします。演じていてすごく楽しかったです。

蒼井 私もあのシーンは好きでした。今までの平田家にはない、互いに言葉をかぶせ合いながら本音でしゃべりあっている兄弟という感じがよく出ていたと思います。今回は特に会話のリズムや流れが、本当の家族っぽいなと思いました。憲子の側から言わせてもらうと、庄太さんはやっぱり平田家の血筋で、本当に雑な感じがします。でも「何でそこでそれを言うのかな」みたいな、一生懸命になればなるほどちぐはぐになっていくという感じが私は大好きなんです。

-最後に、それぞれが思う今回の見どころをお願いします。

妻夫木 前作に続いて、笑えるところはたっぷりあるので、映画館に来て大いに笑っていただきたいのですが、今回は「うっかり感動させちゃいます」というところがあります。だから皆さんには油断していてほしいです(笑)。「なんか家族っていいなあ」という一言に尽きる映画だと思います。

蒼井 私は今回が一番好きです。舞台は日本なのに、何かヨーロッパの映画を見ているような気分になる、大人の色気のある映画だなあと思いました。こういう作品が見たかったけど、なかなかなかったなという感じです。私の中での満足度は100パーセント以上でした。あとは横尾忠則さんが手掛けたオープニングも見どころです。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2018「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」製作委員会

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