【インタビュー】『星めぐりの町』小林稔侍「映画初主演は、年末の宝くじに当たったような気持ち」壇蜜「父に『お父さんに恵まれた』と話しました(笑)」

2018年1月29日 / 18:17

 俳優人生56年のキャリアを誇り、現在もなお数多くの作品で活躍する名優・小林稔侍の初主演映画。そう聞いて意外に思う人は少なくないだろう。だが、そんな観客の思いを知っていたかのように、『星めぐりの町』は、76歳にして映画初主演を飾った小林の味わい深い演技が心に染みる作品となった。物語は、小林演じる豆腐職人・島田勇作と、東日本大震災で家族を失い、彼のもとに引き取られた孤独な少年・政美の交流を温かなタッチでつづる。小林とその娘・志保役で共演した壇蜜が、映画の舞台裏を語ってくれた。

(衣裳)セ・ラ・ヴィ/ミレーヌトモダ

-小林さんにとっての映画初主演ですが、出演が決まった時のお気持ちは?

小林 とてもビックリしました。というのも、僕は映画全盛の頃、この世界に入ったのですが、入った途端に「大変な世界に入ったな」とショックを受け、それから「映画の主演を取りたい」という思いは頭の中から消えて、今日に至ったものですから。

-これが初主演というのは、意外な気がします。

小林 映画の世界に入って56年になりますが、僕たちが育った時代というのは、映画は娯楽の王様で、“銀幕の世界”にはとても距離感がありました。その距離感のままずっと来て、20年を過ぎた頃からテレビの世界でお世話になってきました。そんな中で偶然、頂いたお話ですから、まるで年末の宝くじに当たったような気持ちで…。聞いた時は一瞬、頭が真っ白になりました。こういうすてきなお話を僕に振って下さったことに、とても感謝しています。

-テレビでは主演の経験があると思いますが、やっぱり映画は違いますか。

小林 基本的には一緒ですが、回転の速いテレビと違って、映画の場合は後々まで残りますし、出来上がった後もこうして宣伝をして、皆さんに見てもらわなくてはいけません。やはり、映画の主演というのは責任が重いですね。でも、この年になって、いいお土産を頂いたような気持ちです(笑)。

-壇蜜さんはいかがでしょうか。

壇蜜 震災で生き残った子を迎えるという話でしたから、こんなにデリケートで繊細な映画に、6、7年前は全身タイツでグラビアに出ていたような人を使って大丈夫かなと(笑)。ただ、監督がこの仕事に就く前の私のイメージを、志保に重ねてくださったところもあったので、「お力添えできるのであれば」とお受けすることにしました。小林さんが「宝くじに当たったような気持ち」とおっしゃいましたが、私も前後賞感があって…(笑)。そういう意味ではすごくラッキーでした。

-「この仕事に就く前のイメージを志保に重ねた」というのは、どんな部分でしょうか。

壇蜜 まず、彼女の職場は華やかさとは無縁ですが、私も病院の研究所で助手という裏方をやっていたということ。さらに、志保が仕事をしている時の髪形や着ているものも、当時、私が働いていたスタイルとすごく似ていたんです。意識したわけではないのでしょうが、監督のイメージと、この世界に入る前の私の姿がうまい具合にリンクしていたので、そういう偶然も有り難かったですね。

-小林さんと共演した感想は?

壇蜜 私も政美(荒井陽太)も慣れていないことを分かっていらっしゃって、何度も助けて下さいました。現場ではお天気や協力してくれた地元の方たちなど、さまざまなことに恵まれた撮影でしたが、お父さんにも恵まれましたね。私自身の力なんて、ほんのちょっとです。終わった後は、父にも「お父さんに恵まれた」と話したぐらいで(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

川口春奈、高杉真宙「自分や家族、周りの人たちを大事にしようと思うきっかけになったらうれしいです」『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 大腸がんによって24歳で他界した遠藤和(のどか)さんが亡くなる10日前までつづり続けた手記を映画化した『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、10月2日から全国公開される。本作で、主人公の和と夫の将一を演じた、川口春奈と高杉真 … 続きを読む

木戸大聖「悲しいと思っていてもそれを表情に出せないのが難しかったです」『沖晴くんの涙を殺して』【インタビュー】

映画2026年10月1日

 余命1年の音楽教師・京香(広瀬アリス)と、喜び以外の感情を失った高校生・沖晴が織りなす、切なくも温かい感動の人生賛歌『沖晴くんの涙を殺して』が10月2日から全国公開される。本作で、訳あり高校生の沖晴を演じた木戸大聖に話を聞いた。 -沖晴の … 続きを読む

小瀧望「ファンの皆さまの声に応え続けたい」 舞台「ロックンロール」では「僕たちの芝居とともに、当時のロックミュージックも楽しんで」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月30日

 小瀧望が主演する舞台「ロックンロール」が、11月6日から上演される。本作は、世界的な劇作家トム・ストッパードが祖国チェコスロバキアを舞台に、20年以上にわたる歴史のうねりを描きながら、自由の尊さをうたう物語。愛するロックンロールと母親を守 … 続きを読む

佐津川愛美「酒井監督に惚れました(笑)」念願だった酒井麻衣監督との初タッグ『時給三〇〇円の死神』【インタビュー】

映画2026年9月30日

 10月2日から全国公開となる『時給三〇〇円の死神』は、累計発行部数36万部を突破した藤まるの同名小説を原作にしたファンタジーだ。生きる希望を失った大学生・佐倉真司(西畑大吾)が、謎めいた同級生・花森雪希(福本莉子)に誘われ、この世に未練を … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

page top