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俳優人生56年のキャリアを誇り、現在もなお数多くの作品で活躍する名優・小林稔侍の初主演映画。そう聞いて意外に思う人は少なくないだろう。だが、そんな観客の思いを知っていたかのように、『星めぐりの町』は、76歳にして映画初主演を飾った小林の味わい深い演技が心に染みる作品となった。物語は、小林演じる豆腐職人・島田勇作と、東日本大震災で家族を失い、彼のもとに引き取られた孤独な少年・政美の交流を温かなタッチでつづる。小林とその娘・志保役で共演した壇蜜が、映画の舞台裏を語ってくれた。
小林 とてもビックリしました。というのも、僕は映画全盛の頃、この世界に入ったのですが、入った途端に「大変な世界に入ったな」とショックを受け、それから「映画の主演を取りたい」という思いは頭の中から消えて、今日に至ったものですから。
小林 映画の世界に入って56年になりますが、僕たちが育った時代というのは、映画は娯楽の王様で、“銀幕の世界”にはとても距離感がありました。その距離感のままずっと来て、20年を過ぎた頃からテレビの世界でお世話になってきました。そんな中で偶然、頂いたお話ですから、まるで年末の宝くじに当たったような気持ちで…。聞いた時は一瞬、頭が真っ白になりました。こういうすてきなお話を僕に振って下さったことに、とても感謝しています。
小林 基本的には一緒ですが、回転の速いテレビと違って、映画の場合は後々まで残りますし、出来上がった後もこうして宣伝をして、皆さんに見てもらわなくてはいけません。やはり、映画の主演というのは責任が重いですね。でも、この年になって、いいお土産を頂いたような気持ちです(笑)。
壇蜜 震災で生き残った子を迎えるという話でしたから、こんなにデリケートで繊細な映画に、6、7年前は全身タイツでグラビアに出ていたような人を使って大丈夫かなと(笑)。ただ、監督がこの仕事に就く前の私のイメージを、志保に重ねてくださったところもあったので、「お力添えできるのであれば」とお受けすることにしました。小林さんが「宝くじに当たったような気持ち」とおっしゃいましたが、私も前後賞感があって…(笑)。そういう意味ではすごくラッキーでした。
壇蜜 まず、彼女の職場は華やかさとは無縁ですが、私も病院の研究所で助手という裏方をやっていたということ。さらに、志保が仕事をしている時の髪形や着ているものも、当時、私が働いていたスタイルとすごく似ていたんです。意識したわけではないのでしょうが、監督のイメージと、この世界に入る前の私の姿がうまい具合にリンクしていたので、そういう偶然も有り難かったですね。
壇蜜 私も政美(荒井陽太)も慣れていないことを分かっていらっしゃって、何度も助けて下さいました。現場ではお天気や協力してくれた地元の方たちなど、さまざまなことに恵まれた撮影でしたが、お父さんにも恵まれましたね。私自身の力なんて、ほんのちょっとです。終わった後は、父にも「お父さんに恵まれた」と話したぐらいで(笑)。
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