「登場人物には、私の好きなタイプの男性をずらりと並べました(笑)」森下佳子(脚本)後編【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年12月12日 / 12:00

-親子とも違う直虎と万千代(菅田将暉)の関係は、どのように考えていましたか。

 表立ってお家を再興していくのが万千代ということは史実がある以上、動かせません。ただその際、お家を再興する意味や立ち位置といった背骨のようなものを与えていくのが直虎の役割です。当初、同じ目的を持っていた直虎と万千代は、さまざまな事情から一度立場が分かれた後、再び関係が戻って、以前よりさらに強い絆で結ばれます。川に例えるなら、同じ川から出た流れが一度別れた後、再び一つになってさらに大きな川に流れ込み、最終的には海に出ていく…そんなイメージになればいいなと思っていました。

-演じてくれた俳優の皆さんのことを伺います。映像を見て、いい意味で裏切られたという方はいますか。

 たくさんいて切りがありませんが、最近驚いたのは家康役の阿部サダヲさんです。万千代に「色小姓にならぬか」と迫るくだりは、もっとコメディー寄りになるかと思っていたら、かなり生々しい感じで…(笑)。ドキドキしました。

-他には?

 信玄(松平健)が踊り出したときもびっくりしました。打ち合わせでは冗談で言っていたんです。「サンバのリズムとともに、赤い軍団が侵攻してくる」みたいなことを。そうしたら、松平(健)さんの方から「僕、踊った方がいいよね」と言ってくださって。実際に踊っているのを見たときは、ものすごい衝撃でした(笑)。松平さんすてき過ぎる! 他には、第43回で植林をする場面、「甚兵衛の松じゃ」と言った直虎の顔を見ずに「なんですか、そりゃあ」と答える甚兵衛役の山本學さんのお芝居にも驚かされました。「見ないか!あぁ、見ないわーって」納得しました。山を背負って立つ殿の立ち姿も良かったです。大地から生えてきたような力強さと美しさ。他にもたくさんあり過ぎて、説明し切れません(笑)。

-役を役者さんに寄せて書かれたことはありますか。

 演者が決まる前は、誰かを想定して書くことはあまりしませんが、決まるとどんどん引っ張られることはあります。例えば、菅田くんといえば“キレ芸”。史実に残る直政(万千代)も“人斬り兵部”、“赤鬼”などといわれていたので、これはキレてもらわないと…と思ってやりました。また、六左は史料には名前しか残っていないので、初めてお会いした田中さんからイメージを頂きながら色付けして行きました。

-人助けをする“竜宮小僧”の伝説が随所で効果的に使われていました。どんな思いがあったのでしょうか。

 竜宮小僧は、そういう人がいてくれればいいという祈りであり、そういう人であれという訓戒でもあります。直虎さんが行きつく先は、結局そこなのかもしれません。彼女には井伊谷という場所でそれを成した後、もっと大きな範疇(はんちゅう)でそういう人になってほしいという思いが私の中にありました。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

舞台「キングダムII ―継承―」三浦宏規・高野洸・山本千尋・山口祐一郎、「死力を尽くさなければいけない」作品に再び挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月12日

 累計発行部数1億2000万部を突破した、原泰久による大ヒット漫画を原作とした舞台の第2弾となる「キングダムII ―継承―」が、8月9日から上演される。本作は、苛烈な戦乱の中にある中国・春秋戦国時代を舞台に、戦災孤児の少年・信と、のちの始皇 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第22回「播磨大誤算」戦国の世の難しさを印象付けた播磨攻略戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年6月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。小一郎と秀吉が播磨攻略に難渋する様子を描いた6月7 … 続きを読む

山本耕史、「RENT」に続き全編英語上演に挑む「ゼロからのスタートだけどやるしかない」 日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年6月11日

 山本耕史が、ゆりやんレトリィバァとブロードウェイで活躍するキャストとともに挑む、日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」が、8月19日から上演される。本作は、1997年に映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネー … 続きを読む

吹越満 俳優になった理由は「映画に出たかったから」昭和の文豪・谷崎潤一郎原作の『鍵』で主演【インタビュー】

映画2026年6月10日

-久しぶりの主演作を経験し、お芝居について改めて気づいたことはありますか。  今後は、今までとは違うお芝居のアプローチに挑戦していってもいいのかな、と考えるきっかけになった気がします。現場で「ああすればよかった」、「こうすればよかった」とい … 続きを読む

【映画コラム】5月の公開映画から

映画2026年6月5日

『サンキュー、チャック』 (5月1日公開)★★★ チャックとは一体何者なのか  大規模な自然災害と人災が次々と地球を襲い、世界は終わりを迎えつつあった。すると、街頭やテレビ、ラジオに突如として、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい … 続きを読む

page top