【芸能コラム】直虎と氏真 今を生きる人々の胸に響く敗者たちの生きざま 「おんな城主 直虎」

2017年12月9日 / 17:51

今川氏真を演じた尾上松也

 12月に入り、いよいよ最終回が近づいてきたNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」。いよいよ次回、明智光秀(光石研)が本能寺の変を起こすなど、ここにきて風雲急を告げる事態となっている。万千代(菅田将暉)と共に徳川家の繁栄を目指して動き始めた直虎(柴咲コウ)の物語はどこへ向かうのか。一瞬たりとも目が離せない。

 放送開始から1年。振り返ってみれば、少女だったおとわは出家して次郎法師を名乗り、直虎の名で城主を務め、井伊家がつぶれた後は徳川家康(阿部サダヲ)に仕える万千代を支えるなど、人間的な成長を見せてきた。

 ただし、直虎の成長が社会的な成功と一致していないことは、このドラマを見続けてきた視聴者であれば、よく分かっていることだろう。もともと、小さな井伊谷の領主に過ぎなかった直虎だが、武田と徳川の戦に巻き込まれて井伊家がつぶれた時点で、歴史からは完全に姿を消した。だが、その後も直虎は生き続けた。万千代の徳川家への仕官と井伊家の再興が成ったのは、直虎がいたからこそだ。

 そしてもう1人、戦国の敗者でありながら乱世を生き抜き、家名を保った人物がいる。それが今川氏真(尾上松也)だ。

 一大勢力を築いた戦国大名・今川義元(春風亭昇太)の嫡男として生まれ、家督を継ぎながらも父の死後、戦に敗れて今川家を滅亡に導いた。その後、紆余(うよ)曲折を経て徳川に下ったものの、かつての家臣・家康の庇護(ひご)を受けて生きることは、普通なら相当な屈辱に違いない。同じような状況に置かれ、潔く死を選んだ武将もいたはずだ。だが氏真はこれを受け入れ、生き抜くことで家名を明治までつないだ。物語終盤にきて本能寺の変に関わるなど、思わぬ活躍に喝采を送っている視聴者も多いのではないだろうか。

 
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