「登場人物には、私の好きなタイプの男性をずらりと並べました(笑)」森下佳子(脚本)後編【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年12月12日 / 12:00

 間もなくフィナーレを迎えるNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」。1年間、ドラマを楽しんできた視聴者には、気になることもたくさんあったのではないだろうか。17日の最終回の放送を前に、全50回の脚本を手掛けた森下佳子氏が、視聴者の反応や直虎を巡る男たち、出演した俳優のことなど、さまざまなエピソードを語ってくれた。

脚本の森下佳子氏

-視聴者からの反響はどのように受け止めていましたか。

 女友達からの反応がビビッドでした。女の人が「面白い」と言って歴史ものに食い付いてくれたことがとてもうれしく、やりがいを感じました。

-何が女性を引きつけたのでしょうか。

 なんでしょう…? 直虎(柴咲コウ)のキャラクターでしょうか。お姫様ですが、親近感が持てる人ではあったかなと思います。また、政治的な部分になると組織全体のことを説明する必要が出てきますが、私自身もそういうことに関しては飲み込みがよくない方なので、人対人の関係で書いていったところが、見てもらいやすかったのかなと。後は、私の好きなタイプの男性をずらりと並べて「これもいいけど、あれもいい」とやっていたので、そこに素直に反応してくれたのかもしれません(笑)。

-好きなタイプの男性というのは、直親(三浦春馬)や政次(高橋一生)だけでなく?

 みんなかわいいです。之の字(中野直之/矢本悠馬)や六左(奥山六左衛門/田中美央)はいうまでもなく、ちょこっと出てきた山県(昌景/山本龍二)さんですら。近藤(康用/橋本じゅん)さんも、政次が死んだ時は「おまえをはりつけにしてやろうか」ぐらいに思っていましたが、「クララ(殿)が立った!」(第36回、戦で負った脚の傷が癒えた近藤が、再び立ち上がった場面)のあたりからすごく好きになりました(笑)。

-女性の視聴者を意識して書かれた部分はありますか。

 時代劇の良さの一つに、何事もダイナミックということがあります。「好きな相手が明日殺されるかもしれない」、「絶対に好きになってはいけない相手がいる」といった現代のドラマでは成立しにくいかせを簡単に設けることができます。だから、ダイナミックな情緒の動きを話に取り入れ、恋愛もそういうフェーズで書きたいと思っていました。ただ、それに対して反響があるかどうかは未知数でしたね。

-恋愛の話では、直虎の前に直親、政次、龍雲丸(柳楽優弥)という3人の男が登場しましたね。

 直親は、最初からそういうふうに定められていて、時が時なら結ばれたであろう自然発生的な相手です。政次の方は、女性として好きな部分と、主君として対していかなければならない部分の葛藤がありました。とはいえ、直虎にとって政次は恋愛の対象ではありません。それよりもっと深い、2人にしか分からない絆で結ばれた主従という文脈で書いていました。

-直虎と政次が、離れた場所で囲碁を打つ場面は印象的でした。

 アイテムとして囲碁を使いたいという考えは初めからありました。ただ、見えない相手と碁を打つというのは、途中で盛り上がって出てきた案かな。「これができたらすごく一体感があるよね」という(笑)。碁盤を挟んで話しながら、手の内を探り合っていた2人が、年月を重ねて相手の出方を読めるまでになった。その一体感を出すためには、こういう表現もあるかなと思って。

-実際に恋愛関係になったのは、盗賊の龍雲丸でしたね。

 恋愛の相手には、今まで彼女が生きてきた世界とは全く違うところから出てきた人であってほしかった。彼女が成長していく上で広い視野を持つためにも。弱いとはいえ当時、領主といえば支配階級です。それとは全く異なる生き方やバックボーンを持っているけれど、人としては共感できる尊敬できる相手のことを好きになってほしかったんです。

―直虎は僧侶なので、恋愛をせずに物語を進めることは考えませんでしたか。

 女性としてふたをしたまま生きていくという選択肢は、私の中にはありませんでしたねー。そのラインは私の見たい話じゃない、ただそれだけのわがままな理由ですけどね。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

浜辺美波「池松壮亮さんから様々な刺激をいただいています」大河ドラマ初出演で豊臣秀吉の妻・寧々を好演【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年4月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄の秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語は快調に進行中だ。本 … 続きを読む

佐野晶哉「祖母が泣いて喜んでくれました」 連続テレビ小説初出演への意気込み【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年4月11日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

早乙女太一「“劇団朱雀”という新たなジャンルを作るような気持ちで」早乙女友貴「お祭りを楽しむような感覚で」豪華ゲストと共に3年ぶりの公演に挑む 劇団朱雀「OMIAKASHI」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月9日

 大衆演劇の伝統を大切にしつつ現代的な感性や表現を取り入れ、多くの観客を魅了してきた劇団朱雀。2代目座長・早乙女太一率いるこの一座が、2023年5月以来3年ぶりとなる公演「OMIAKASHI」に挑む。  二部構成で一部は芝居、二部は舞踊ショ … 続きを読む

岸井ゆきの「『死』をポジティブに捉えることで、人生を前向きに考えられる」患者の最期をみとる看護師役を通して芽生えた死生観「お別れホスピタル2」【インタビュー】

ドラマ2026年4月3日

 現代医療のセーフティーネットというべき療養病棟を舞台にした沖田×華のコミックを原作に、死を迎える人が最後に出会う人=看護師の目線で死と生を描いた「お別れホスピタル」。2024年に放送されたこのドラマの続編「お別れホスピタル2」が、4月4日 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第12回「小谷城の再会」豊臣兄弟の運命を左右する出会い【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月2日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。3月29日に放送された第12回「小谷城の … 続きを読む

page top