【軍師官兵衛インタビュー】速水もこみち「男性からも憧れてもらえるように演じたい」 黒田家家臣・母里太兵衛役

2014年2月28日 / 20:20

母里太兵衛を演じる速水もこみち

 NHKで放送中の大河ドラマ「軍師官兵衛」に母里太兵衛(もり・たへえ)役で出演している俳優の速水もこみちが、インタビューに応じ、役に懸ける思いや岡田准一ら共演者との関係性を語った。

 物語は智力をもって戦い、生涯五十幾度の合戦で一度も敗れなかった黒田官兵衛(岡田)の生涯と乱世の終えんを描く。

 速水が演じる太兵衛は、黒田家に仕える“黒田二十四騎”の一人でやりの名手。腕は立つものの口下手で荒くれ者の太兵衛は、黒田家旧臣・母里の姓を賜り五つ年上の善助(濱田岳)と義兄弟になってからは、善助に素直に従い、戦いでは常に先陣を切る勇猛果敢な忠臣となっていく。

 

-岡田さん、濱田さんにもお話を聞き、黒田家家臣団の結束の強さが伝わってきましたが、絆の強さをどのように感じていますか。

 絆の強さは、岡田さんが現場で常に官兵衛でいて下さるということにつながると思います。最初はみんなどうしていいか分からず迷いもあったと思うのですが、アドバイスというかヒントを下さったり、一緒になっていい作品を作っていこうという思いが強い。そういうこともあって、はじめの方からいいコミュニケーションが取れました。あと、地方ロケで皆さんとご飯に行った時に、5件はしごして回ったこともあって(笑)、撮影の方でも結束の強さにつながりました。

-善助役の濱田さんとは、実際の年は逆転しますがいいコンビ役だと思います。速水さんにとって濱田さんはどのような俳優さんですか。

  ドラマでは濱田さんが一番年上の役なので盛り上げ役です。無理にみんなを盛り上げているというより、キャラなのかどこかかわいらしいところがあります。いじられキャラというか、いじりやすい。合間にもよく殿(岡田)にちょっかいを出されていて、殺陣のまねをしながら斬られているのを何度か見ました(笑)。撮影に当たっては、濱田さんが善助という人間をどのように演じていくかを一つ一つ考えてやっていらっしゃるんだと感じます。そういうところを見るととてもすてきな俳優さんだなと思います。

-太兵衛の一番の魅力はどこでしょうか。

 暴れ回ることもありますが、気持ちの部分で黒田官兵衛にしっかり付いていこうと決め、貫くところでしょうか。「自分が死ぬまでずっと一緒にいるんだ」という決意がすごく人間らしいな、と。大変な時代で、太兵衛だけではなく善助も九郎右衛門(高橋一生)も同じだと思いますが、内面的な部分ですごく魅力を感じます。

-速水さんは太兵衛をどのように捉えて演じていますか。

  太兵衛は意外に資料が少なくて、どこで調べても大酒飲みの荒くれ者ということしか載っていないんです。あとは“日本号”というやりを福島正則から飲み取ったという話。資料が少なかったので、日本号が九州にあると聞いてそれだけを日帰りで見に行きました。見たら、すっと役に入れたというか。とにかく長いやりだったので、こういうやりを振り回したんだというイメージで、と今回はシンプルに分かりやすく演じようと思いました。性格的にも分かりやすい人間を演じようと思って現場に入りました。でも大変です。「ワーッ」と言っていることが多いので、声が枯れてしまうことがあります。

-久しぶりに演じる男っぽい役ということで、いろいろ経験したことを生かしていきたいなど目標はありますか。

 岡田さんのように、色っぽい男を目指していきたいなと思います。けれど、それは個人的になってしまうかな(笑)。男性から見て憧れてもらえるような男性像というか、そういう母里太兵衛を演じたいです。

-太兵衛は役柄的には荒くれ者ですが、演じていて荒くれ者になるスイッチみたいなものはありますか。

 日ごろのストレスをそこで発散します(笑)。前からやりたかった男らしい役でもあるので、気持ちよくせりふを言っています。スイッチは何だろう…? でも、現場がそういう空気にしてくれます。高橋さんや濱田さん、岡田さんが引っ張って下さるので、割とすんなりと入っていけます。

-太兵衛と速水さんとの共通点はありますか。

 今の自分と比べると時代が違うので分かりにくい部分があると思うんですが、「困っている人がいたら助ける」という気持ちでしょうか。山で何者かに襲われるシーンがあって、自ら前に出て助けたりするんですが、そういう人間っぽいところに魅力を感じました。不器用なんだけど、困っている人がいたら助けるという瞬間、自分に似てたりするのかなと思います。他は、けんかっ早かったり、イラッとしたらすぐ人をぶん殴ったりもしますが、今の時代それではまずいので(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田章大「体験したことのない違和感を持ち帰ってくれたら」 アングラ演劇の旗手・唐十郎作品に関西弁で挑む『アリババ』『愛の乞食』【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月18日

 2024年に亡くなったアングラ演劇の旗手・唐十郎の初期作品『アリババ』『愛の乞食』が、全編関西弁で、8月31日から9月21日にかけて世田谷パブリックシアターで二作連続上演される。現実と幻想、現在と過去が溶け合うふたつの物語は、叙情的に紡が … 続きを読む

【映画コラム】7月前半『スーパーマン』『ストレンジ・ダーリン』『「桐島です」』『生きがい IKIGAI』

映画2025年7月18日

『スーパーマン』(7月11日公開)  1938年に発行されたコミックに始まり、何度も映画化されてきたアメコミヒーローの原点をジェームズ・ガン監督が新たに映画化。  いきなり、戦いに敗れ、傷だらけになったスーパーマン(デビッド・コレンスウェッ … 続きを読む

俳優デビュー25周年の上戸彩が15年ぶりの写真集を発売 台湾で幻想的な夜市でのロケから寝起き姿まで多彩な魅力満載

イベント2025年7月14日

 俳優デビュー25周年を迎えた上戸彩の写真集『Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』(宝島社)が、7月10日に発売された。発売記念イベントが、7月12日(土)に大阪で、そして7月13日(日)に東京・紀伊国屋書店 新宿本店で … 続きを読む

JT・モルナー監督「この映画の実現は厳しいと言われた時に、『羅生門』を見れば分かると言いました」『ストレンジ・ダーリン』【インタビュー】

映画2025年7月11日

 シリアルキラーの恐怖に包まれた街を舞台に、とある男女の出会いが予測不能な展開へと突き進んでいく様子を、時系列を巧みに交錯させた全6章の構成で描いたスリラー映画『ストレンジ・ダーリン』が7月11日から全国公開される。米映画批評サイトのロッテ … 続きを読む

鹿賀丈史「演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います」『生きがい IKIGAI』【インタビュー】

映画2025年7月10日

 2024年の元旦に発生した地震で甚大な被害を受け、さらに8カ月後の豪雨によって2度目の災害に見舞われた能登で、ボランティア活動に参加した宮本亞門監督が、復興支援を目的に製作したショートフィルム北陸能登復興支援映画『生きがい IKIGAI』 … 続きを読む

Willfriends

page top