映画『清須会議』の製作発表 全く新しい歴史エンターテインメント作品

2012年12月29日 / 22:24

――三谷監督にお伺いいたします。清須会議(という題材が)が子どものころからお好きだったということですが、どこに興味があったのか教えていただけますか。もう一点、見た目も史実をかなり重視されているということですが、映像化する上で、史実とフィクションの兼ね合い、バランスはどのように取る心構えでいらっしゃいますか。

三谷 そうですね、清須会議というのは、会議の席上で初めて歴史が動いた瞬間というふうに言われていて、なんかそこにすごく引かれたんですね。まあ、戦国時代にも胸高鳴るものは感じていたんですが、戦とかではなく“話し合いで歴史が動いた”ということに、子どもながらに胸がときめいたんですね。それ以来ずっと、いつか清須会議をどんな形になるか分からないけど、作品にしたいと考えておりました。
 今回、映像化するに当たって、もちろん、フィクションの部分も多々あるので、自分なりの解釈で作ってはいるのですけれども、やっぱり一番今回気を付けたのは、さっきも言ったビジュアルですね。時代劇や歴史ドラマを見ていて、ビジュアルにあんまり凝ったものがないというのが、歴史ファンとしてもどかしさを感じていました。たとえば“はげねずみ”なのになんで“はげねずみ”じゃないんだろうとか、明智光秀は“金柑(きんかん)頭”って信長に呼ばれていたのに、なかなか“金柑頭”の光秀を見たことがない。そもそも“金柑頭”って何なんだろうから始まってですね、今回僕なりの“金柑頭”を作ってみたんですけれども。それから、今日はいないですけれども、織田信長に対しても、できるだけみんなの歴史の本で見た、記憶にある信長に近い信長にしようということで、篠井英介さんにお願いしました。僕の大学の先輩なんですけれども、大学時代に初めてお会いしたときから“この人、信長に似ているなあ”と思っていて、それから約30年かけてようやく実現しました。
 あと、かつらもそうなんですけど、織田家の人々を見てお分かりのように、マゲのここの部分が薄いというか、後ろの方にいっているんですね。だからちょっと“べんぱつ”というか、見ようによっては“はげ頭”に見えるんですけれども。実際に信長たちの肖像画などを見るとああいう頭なのですが、時代劇でやるとどうしても見た目があまりカッコよくないので、どうしてもかつら的に毛が多い方を使ってきたわけです。今回は、そこもあえて史実に沿ってビジュアルを作ってみたというこだわりがあります。

――その他にいかがですか。

三谷 まだ話したいこといっぱいありますけど。

――それでは監督に最後に一言いただければと思います。

三谷 一言だけですか。

――時間が許す限りどうぞ。

三谷 今回、コメディーではないと言ってたと(画面に)出てましたけれども、実際コメディーではないので。人間喜劇とは言ってますが…。笑いはたくさんあるので、もちろん楽しんでもらえるようには作っているのですが、ギャグみたいなものは一切ないですし、割と真面目にオーソドックスな時代劇として作っています。なので、なるべくふざけないように我慢して(会見も)ここまでやってきたんですが…。例えば、鈴木京香さんは、白塗りで眉を潰して、今はやっていないですけど(劇中では)お歯黒をしていまして。最初はちょっとグロテスクになるのではないかと心配したんですね。怖くなっちゃうのではないかと思ったのですが、やってみるとものすごく似合っていてきれいで、怖いけれども美しいみたいな。

――鈴木さんが似合っていると言われ、複雑な顔をされてますが。

三谷 いや、もう僕は彼女に勧めたんです。眉をそりなさいと。他の仕事も全部この顔で行った方がいいんじゃないかというほど、映画を見ていただければ分かると思いますが似合っています。お歯黒もはやるかもしれない! 小日向さんはすごく頭のいい役かすごく頭の悪い役のどちらかしかやらないというか、大きな引き出しが二つありまして、今回、頭のいい役の方を最大限引き出してやっていただいております。ものすごく頭のいい役をやっていますので、それも見どころの一つかなと思います。

――キャストの皆さん以外で何か、見どころというかこだわられた点はありますか。

三谷 何が大変かといいますと、これは史実に沿って作っているのですが、旧暦の6月の話なんです。それを今、真冬に撮っているので、ものすごく寒いんです。でも画としては夏のシーンとして描かなければいけないので、なるべく俳優さんに、ロケの場合、どうしても息が白くなってしまうので、息をしないようにしゃべってくださいってお願いしています。

――それはできるものなんですか。

三谷 いえ、無理でした。すごく面白いのは映像を見ると、美術スタッフがいろいろ苦労してくださって、景色がまるっきり夏の景色なんです。枯葉を緑のスプレーで夏っぽくしてくださったり。だから見ているときは夏なんですけれど、役者さんがしゃべると息が白いみたいな。なんかたばこを吸いながらやっているんじゃないかってぐらい息が白く出ちゃうんです。でも、それは今後CG処理で消していくので、それも見どころですね。うわぁ、見事に消えてるな~! というのを楽しんでいただければ。

――それはここにいらっしゃる方だけの見どころですね。ありがとうございました。本当にたくさんの見どころがある作品です。来年の11月の公開を予定しておりますので、ぜひ楽しみにしてください。これにて映画『清須会議』製作会見を終わらせていただきます。

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

瀬戸利樹、セラピスト役は「マッチョな体も見どころ」 役作りは「実際に施術を見学して、レクチャーを受けました」

ドラマ2024年4月24日

 現在放送中のドラマ「買われた男」で主演を務める瀬戸利樹が取材に応じ、本作の魅力や役作りについて語った。  本作は、三並央実氏と芹沢由紀子氏による漫画『買われた男~女性限定快感セラピスト~』が原作。セックスレスの主婦、芸能人、女社長、風俗嬢 … 続きを読む

Willfriends

page top