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三谷 そうですね、清須会議というのは、会議の席上で初めて歴史が動いた瞬間というふうに言われていて、なんかそこにすごく引かれたんですね。まあ、戦国時代にも胸高鳴るものは感じていたんですが、戦とかではなく“話し合いで歴史が動いた”ということに、子どもながらに胸がときめいたんですね。それ以来ずっと、いつか清須会議をどんな形になるか分からないけど、作品にしたいと考えておりました。
今回、映像化するに当たって、もちろん、フィクションの部分も多々あるので、自分なりの解釈で作ってはいるのですけれども、やっぱり一番今回気を付けたのは、さっきも言ったビジュアルですね。時代劇や歴史ドラマを見ていて、ビジュアルにあんまり凝ったものがないというのが、歴史ファンとしてもどかしさを感じていました。たとえば“はげねずみ”なのになんで“はげねずみ”じゃないんだろうとか、明智光秀は“金柑(きんかん)頭”って信長に呼ばれていたのに、なかなか“金柑頭”の光秀を見たことがない。そもそも“金柑頭”って何なんだろうから始まってですね、今回僕なりの“金柑頭”を作ってみたんですけれども。それから、今日はいないですけれども、織田信長に対しても、できるだけみんなの歴史の本で見た、記憶にある信長に近い信長にしようということで、篠井英介さんにお願いしました。僕の大学の先輩なんですけれども、大学時代に初めてお会いしたときから“この人、信長に似ているなあ”と思っていて、それから約30年かけてようやく実現しました。
あと、かつらもそうなんですけど、織田家の人々を見てお分かりのように、マゲのここの部分が薄いというか、後ろの方にいっているんですね。だからちょっと“べんぱつ”というか、見ようによっては“はげ頭”に見えるんですけれども。実際に信長たちの肖像画などを見るとああいう頭なのですが、時代劇でやるとどうしても見た目があまりカッコよくないので、どうしてもかつら的に毛が多い方を使ってきたわけです。今回は、そこもあえて史実に沿ってビジュアルを作ってみたというこだわりがあります。
三谷 まだ話したいこといっぱいありますけど。
三谷 一言だけですか。
三谷 今回、コメディーではないと言ってたと(画面に)出てましたけれども、実際コメディーではないので。人間喜劇とは言ってますが…。笑いはたくさんあるので、もちろん楽しんでもらえるようには作っているのですが、ギャグみたいなものは一切ないですし、割と真面目にオーソドックスな時代劇として作っています。なので、なるべくふざけないように我慢して(会見も)ここまでやってきたんですが…。例えば、鈴木京香さんは、白塗りで眉を潰して、今はやっていないですけど(劇中では)お歯黒をしていまして。最初はちょっとグロテスクになるのではないかと心配したんですね。怖くなっちゃうのではないかと思ったのですが、やってみるとものすごく似合っていてきれいで、怖いけれども美しいみたいな。
三谷 いや、もう僕は彼女に勧めたんです。眉をそりなさいと。他の仕事も全部この顔で行った方がいいんじゃないかというほど、映画を見ていただければ分かると思いますが似合っています。お歯黒もはやるかもしれない! 小日向さんはすごく頭のいい役かすごく頭の悪い役のどちらかしかやらないというか、大きな引き出しが二つありまして、今回、頭のいい役の方を最大限引き出してやっていただいております。ものすごく頭のいい役をやっていますので、それも見どころの一つかなと思います。
三谷 何が大変かといいますと、これは史実に沿って作っているのですが、旧暦の6月の話なんです。それを今、真冬に撮っているので、ものすごく寒いんです。でも画としては夏のシーンとして描かなければいけないので、なるべく俳優さんに、ロケの場合、どうしても息が白くなってしまうので、息をしないようにしゃべってくださいってお願いしています。
三谷 いえ、無理でした。すごく面白いのは映像を見ると、美術スタッフがいろいろ苦労してくださって、景色がまるっきり夏の景色なんです。枯葉を緑のスプレーで夏っぽくしてくださったり。だから見ているときは夏なんですけれど、役者さんがしゃべると息が白いみたいな。なんかたばこを吸いながらやっているんじゃないかってぐらい息が白く出ちゃうんです。でも、それは今後CG処理で消していくので、それも見どころですね。うわぁ、見事に消えてるな~! というのを楽しんでいただければ。
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