【インタビュー】舞台「いのち知らず」仲野太賀 親友役の勝地涼に「シンパシーを感じている」

2021年10月1日 / 08:05

 勝地涼と仲野太賀が主演する、M&Oplaysプロデュース「いのち知らず」が10月22日から開幕する。本作は、とある山間の研究所を舞台に、その施設の目的も知らずに門番として雇われている2人の若者と、やはりその施設で雇われている年配の男との交流を通して、「命」の意味と男同士の「友情」の真価を問う。勝地、仲野、新名基浩、光石研に加え、作・演出の岩松了も出演し、男性キャスト5人が謎の研究室で繰り広げられる陰謀に迫る。仲野に岩松作品への思いや、本作への意気込み、勝地との共演について聞いた。

仲野太賀(ヘアメイク:高橋将氣/スタイリスト:石井大) (C)エンタメOVO

-岩松作品には、2019年上演の「二度目の夏」に続いての出演になりますね。本作への出演が決まったときの気持ちを教えてください。

 岩松さんの作品は、今回が5度目の出演になりますが、何度ご一緒させてもらってもすごく緊張感がありますし、毎回、始まる前には武者震いします。それはやはり、何度やっても分かった気になれない、何か自分には届かないものがあるからだと思います。岩松さんの作品には、そういう憧れに近い思いがあるんです。(岩松作品は)難解だと言われることもありますが、僕自身がさまざまな現場に行って経験を積んだからこそ分かる、岩松さんの深さや奥行きの広さは毎回、改めて感じます。僕は、岩松さんの作品に出ている自分がすごく好きですし、(出演することで)浄化されたような感覚を覚えます。きっと今回も、喜びをかみ締めながら演じるんだと思います(笑)。演劇は、映像作品と違って残るものではありませんが、自分を最大限表現して、人の記憶に残るものになればいいな思っています。

-「岩松さんの作品に出ているときの自分が好き」というのはどんなところですか。

 岩松さんから「分からないっていいことだ。分からないというのは自分のキャパの外にあるものだから、分からないという感情と出会うことで自分を知れる」と、以前教えていただいたのですが、まさに岩松さんの作品はそれがあるんだと思います。必死に何かを分かろうとしたり、何かを追い掛けたりしている、もがいてる自分が好きなのかもしれないです。分かりきったことをやるより、「もしかしたらこうなんじゃないか」とがむしゃらになっていると、新しい自分を知れる気がして、その発見がうれしいのかもしれません。

-今回は、男性5人でのお芝居ですね。

 どんな役でも存在感を残せる素晴らしい俳優さんがそろっていると思います。少数精鋭で岩松さんの作品をやるというのは、隙がないというか…、このメンバーだったらどの角度でも、どんなフォーメーションでもできるという気がします。サッカーでいうと「最高のミッドフィルダーがそろった」(笑)。岩松さんの作品は、女性を魅力的に描いている作品が多いと思いますが、その中で、男5人でどんな作品になるのかすごく楽しみです。

-勝地さんとは、今回は親友という役柄ですが、普段はどんな関係ですか。

 以前ドラマでご一緒したときにすごくかわいがっていただいて、そこからは、いろいろなことを共有できる先輩です。年は6歳ぐらい離れているんですが、お互いにシンパシーを感じている部分があるんだと思います。演じる役も近いものがありますし、そういう意味でもお互いに気持ちが分かりやすいのかもしれません。

-仲野さんから見た、勝地さんはどのような人ですか。

 すごく男気があって、人を敬う気持ちが強い、律儀な方です。でもすごく面白くて…。俳優として人に対してどう振る舞うべきかなどを教えてくれます。

-映像作品でも活躍している仲野さんですが、舞台作品の稽古場では、どんなことを意識していますか。

 この作品に限らず、稽古は失敗してもいい場所なので、いかにたくさん試して失敗して、自分の中で道筋を決めていくかが大切だと思います。そういったトライアル・アンド・エラーができるのが稽古場なので、今回もできる限り挑戦をしていきたいと思っています。映像作品の場合は、そういった稽古の時間というのはほとんどありませんが、演劇は稽古場での「挑戦の時間」も大事です。何も気にせずに役と向き合える時間だと思いますので、とことん向き合っていきたいと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

Willfriends

page top