「宮藤官九郎さんの脚本が面白いので、新しい大河ドラマのファンが増えるのでは」役所広司(嘉納治五郎)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年1月18日 / 14:49

 いよいよ本格的に始動した大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。主人公・金栗四三(中村勘九郎)をやがて日本人初のオリンピック出場へと導く人物が、講道館柔道の創始者として知られ、アジア初のIOC委員も務めた「日本スポーツの父」嘉納治五郎だ。演じるのは、「花の乱」(94)以来、25年ぶりの大河ドラマ出演となる役所広司。撮影の舞台裏やドラマの見どころを語ってくれた。

嘉納治五郎役の役所広司

-久しぶりの出演となる大河ドラマの手応えは?

 オリンピックにまつわる日本の歴史を描く物語は、大河ドラマにふさわしい企画ですね。しかも、2020年の東京オリンピックに向けてという意味でも最高のタイミング。僕自身、スポーツ観戦が大好きで柔道もよく見ていますが、金栗さんはもちろん、嘉納さんがこんなにオリンピックのために尽力した方だったとは知りませんでしたから。宮藤官九郎さんの脚本を読んで、今までの大河ドラマとは一味違った面白さを感じます。新しい大河ドラマのファンが増えるのではないでしょうか。

-嘉納治五郎の印象は?

 実に立派な人です。あの時代に確かな語学力を持ち、オリンピックを世界平和と結び付け、猛反対を受けながらも、日本を初めてストックホルムオリンピック出場へと導いた。この人がいなかったら、日本のスポーツはどうなっていたんだろうと。それぐらいのことを感じさせる人物です。ただ、このドラマでは陽気で楽観的な部分が強調され、周りに迷惑ばかりかける人物として描かれていますが(笑)。でも、「歴史が動くときは、こういう人物が必要だ」と思わせる説得力があります。

-演じる上で心掛けていることは?

 宮藤さんが脚本に描いた嘉納治五郎に歩み寄ることを一番に考えています。現場では、監督やスタッフがみんな「治五郎さん」と呼んでくれるのですが、そういう親しみの湧くキャラクターです。私財を投げ打ってスポーツとオリンピックのために尽力し、莫大な借金を残したまま亡くなったような人でありながら、どこか憎めないところがある。そういう「治五郎さん」の呼び名にふさわしい雰囲気が出せればと。

-宮藤官九郎さんの脚本の印象は?

 やっぱり面白いですね。大胆な展開がある一方で、繊細なところはとても繊細。しかも今回は、僕らが演じるオリンピックの話と、ナビゲーターを務める古今亭志ん生(ビートたけし)を中心とした落語家の話が並行して進んでいきます。台本を読んで話は知っていても、落語の方がどんな映像になっているのか全く分からないので、一つになったときにどんな面白いものになるのか、僕自身も楽しみにしています。

-主人公の金栗四三を演じる中村勘九郎さんの印象は?

 撮影が始まって最初に姿を見たとき、既にマラソンランナーらしい体形に出来上がっている上に、地方から出てきた人の雰囲気もよく出ていました。素晴らしい役作りをしているなと。一緒にお芝居をしてみても、やっぱりエネルギーのある素晴らしい俳優という印象を受けました。

-現場は、勘九郎さんを中心に動いている感じでしょうか。

 勘九郎くんの役作りが素晴らしいので、僕は金栗四三に関わる人物として、うまく盛り上げていきたいと考えています。主人公が輝いていないと、ドラマは面白くありませんから。そういう意味では、出演者全員が金栗四三を盛り上げていく役割を背負っています。ですから、僕もそんな金栗四三の骨の一本になれればと。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

香川照之「僕の中では6人全員にモデルがいました」「連続ドラマW 災」【インタビュー】

ドラマ2025年4月4日

 世界が注目する監督集団「5月」が仕掛ける完全オリジナルのサイコサスペンス「連続ドラマW 災」(全6話)の放送・配信が、4月6日(日)からWOWOWでスタートする。主演の香川照之が演じるのは、人に“災い”をもたらす“ある男”。姿を変え、口調 … 続きを読む

【週末映画コラム】壮大な“時間旅行”を定点観測で描く『HERE 時を越えて』/チームワークを旨とした戦争冒険映画『アンジェントルメン』

映画2025年4月4日

『HERE 時を越えて』(4月4日公開)  地球上のある場所。恐竜が闊歩(かっぽ)する時代が過ぎ、やがて氷河期を迎え、その後オークの木が育ち、先住民族の男女が出会う。やがてその場所に家が建てられ、幾つもの家族が入居しては出ていく。  194 … 続きを読む

草笛光子「老女がはちゃめちゃな、摩訶不思議な映画ですから覚悟してご覧ください(笑)」『アンジーのBARで逢いましょう』【インタビュー】

映画2025年4月3日

 突然町に現れ、いわくつきの物件でバーを開店した白髪の女性と町の人々との不思議な交流を描いたファンタジー映画『アンジーのBARで逢いましょう』が4月4日から全国公開される。本作で主人公のアンジーを演じた草笛光子に話を聞いた。 -まず、出演に … 続きを読む

門脇麦、「芝居に対してすごく熱い」田中圭と夫婦役で5度目の共演 舞台「陽気な幽霊」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月2日

 田中圭を主演に迎え、若村麻由美、門脇麦、高畑淳子ら豪華共演者で贈る舞台「陽気な幽霊」が5月3日から開幕する。本作は、20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードによるウェルメイド・コメディー。1945年にはデヴィッド・リーン監督により映画化も … 続きを読む

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『 … 続きを読む

Willfriends

page top