音月桂「今は毎日新しい発見ができる」 ドラマ「ハニー・トラップ」でも存在感

2013年11月5日 / 18:03

小澤征悦とは初共演

――音月さんは今まで舞台でご活躍されてきたわけですが、映像のお仕事となると戸惑いもありましたか?

 舞台だと1カ月ぐらい稽古期間があって、その間にいろいろトライしてみるんです。セリフの言い方や表現法を変えてみたりと。それで、その1カ月の試行錯誤の結果、出来上がったものを初日に持っていくっていう形なんですが、ドラマだとそうもいかないですからね。それこそ初めてお会いして、すぐにお芝居するわけですから、瞬時に臨機応変に動かないといけないんだという戸惑いはありました。現場に入る前に、一応自分で「こうしてみよう」と考えてはいくんですけど、相手の方がどう演じるのかを感じながら現場で柔軟に対応していかなくてはと思っています。自分が演じる役のキャラクターはもちろん意識して作っていますが、あまり「コレ!」って決め付け過ぎず、監督さんやキャストの皆さんを信頼して、うまく身を委ねていければと思っています。

――発声など、技術的なものも全く違う?

 全然違いますね。私、もともと声が大きいので(笑)。舞台はオーバーリアクションなので、表情にしてもナチュラルなものに変えて、それが映像のお芝居では普通なんだと意識を改革するのに時間がかかりました。ドラマで演じるときも、もちろん衣装も着ていますし、お化粧もしていただくんですが、素の自分が透けて見えているような感覚に陥るんですよ。演じているというより、そこに生きている、というか。あと、やっぱり一番大きいのは性別問題(笑)! 女性を演じるってことですね。男役として15年間舞台に立って、学校での期間も入れると計17年間男を究めようとして生きてきたので、それを取り払って、素の自分、それこそ女性を出していけるうれしさもありますが、やはり戸惑いも大きいんです。今は新しい人生を一からスタートしている気分です。

――では、最近のテーマは“男っぽさをいかに抜くか”という感じなんですか?

 そうですね。ファッションもボーイッシュな服装の方が好きなので、意図的に変えていかなくっちゃと思っています。服を買いに行っても、今までは素通りしていた女性らしいものが置いてある売り場で、「あ! ここ見なきゃ!」みたいな感じです。でも、今までの自分を捨てちゃうという考えではなくて、新しい引き出しを増やすという気持ちでいようと思っているんです。夏物をしまって、衣替えをしたみたいな感覚。新しい服を増やすように、新しい感覚の引き出しをつくっていると考えたら、すごく楽しい作業です。なかなか人生でこんな経験ができることもないでしょうから、今は毎日新しい発見ができて挑戦して良かったと思っています。

――最後にドラマの見どころをお願いします。

私自身も内容を知っているはずなのに、ハラハラドキドキしながら放送を見ています。キャストの皆さんそれぞれがこだわりをお持ちで、良い意味で“濃い”方ばかりなので、これから先の展開も誰が怪しいのか、どこにトラップがあるのか分からないんですよね。視聴者の方も一緒になって、心理戦を楽しんでもらいたいです。それがミステリードラマの醍醐味(だいごみ)だと思いますね。本当に一筋縄じゃいかないです!

 

 

【プロフィール】

おとづき・けい 1980年6月19日生まれ、埼玉県出身。96年に宝塚音楽学校に入学し、98年宝塚歌劇団に84期生として入団。「ロミオとジュリエット」で雪組トップスターに就任。12年12月に退団。以後、女優業を開始し、ドラマ「フレネミー‐どぶねずみの街‐」(日本テレビ系)、「警部補 矢部謙三2」などに出演。

 

【番組情報】

ハニー・トラップ

フジテレビ系

毎週土曜午後11時10分~11時55分。

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作『宝島』/純文学風ミステリーの趣『遠い山なみの光』

映画2025年9月18日

『遠い山なみの光』(9月5日公開)  1980年代のイギリス。日本人の母とイギリス人の父との間に生まれロンドンで暮らすニキ(カミラ・アイコ)は、大学を中退し作家を目指している。ある日、彼女は執筆のため、異父姉の景子が亡くなって以来疎遠になっ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】レジェンドたちの「朝鮮の旅」たどった写真家の藤本巧さん

2025年9月18日

▼新しい美の概念  志賀直哉や武者小路実篤らと文芸雑誌『白樺』を創刊し、西洋美術を紹介していた柳宗悦(1889-1961)は、浅川兄弟との関わりで初めて朝鮮に興味を持つことになる。  「(彫刻家を目指していた)伯教さんは『白樺』を読み、柳先 … 続きを読む

エマニュエル・クールコル監督「社会的な環境や文化的な背景が違っても、音楽を通して通じ合える領域があるのです」『ファンファーレ!ふたつの音』【インタビュー】

映画2025年9月18日

-劇中に流れるさまざまな曲は、全て監督のチョイスですか。  音楽は全て私のチョイスです。こういうシーン、こういう状況だったらこの音楽は意味があるかなと考えながら一つ一つ選んでいきましたが、いろんな人たちの意見も聞きましたし、私自身もたくさん … 続きを読む

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

-お芝居に悩んだり、難しさを感じたりすることはありませんでしたか。 前田 たくさんあります。でもその都度、松井監督と相談しながら進めていきました。迷ったときは、松井監督を信じればいい、という信頼関係が出来上がっていたので。 窪塚 松井監督は … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

-ルンメイさん、夫・賢治役の西島秀俊さんの印象はいかがでしたか。 ルンメイ 今回西島さんと一緒にお仕事ができたことはとても光栄でした。西島さんは経験豊かな方なので、私は現場でとても安心して演技をすることができました。西島さんがいろんなエネル … 続きを読む

Willfriends

page top