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NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。4月13日放送の第15回「死を呼ぶ手袋」では、次期将軍候補だった徳川家基(奥智哉)が急死するという幕府の一大事が発生。その真相を巡って、対立してきた老中・田沼意次(渡辺謙)と老中首座の松平武元が駆け引きを繰り広げた末、両者が和解するという驚きの決着を見た。ここまで松平武元を演じてきた石坂浩二が、その舞台裏に加え、数多くの作品を経験してきた大河ドラマへの思いを語ってくれた。

(C)NHK
第15回あたりで武元が亡くなるとあらかじめ聞いていましたが、詳しいことは知りませんでした。台本をいただいて読んでみたら、意次との最後の対話が非常に見事な作劇で描かれていて。だから、台本にのっとって一生懸命演じました。ただ、撮影が近づいた頃、現場にいらっしゃった森下(佳子/脚本家)さんから、「第15回を楽しみにしています」と言われたのはプレッシャーでした(笑)。
森下さんの脚本は、何気ないせりふが、後々きちんと生きるように書かれているんです。後から「こうなっていたのか」と気付くことも多く、役者としてはそれを感じとることはなかなか難しいのですが、第15回も、森下さんの計算通りに皆さんの予想を裏切ることができたなら、頑張ったかいがありました。
最終的にあそこで武元は、「今回の件で、私とお前の志が同じであることがよくわかった」と言っているわけです。ただ、その裏にある思いまで詳しく語っているわけではないので、謙さんとはその辺をしっかり話し合った上で、撮影に臨みました。
あの時点で武元は、政治の表舞台を去るつもりだったと思うんです。次の将軍候補として支えてきた家基が亡くなり、自分の役目は終わってしまったわけですから。そこで、後を任せられる人間は誰かと考えてみたら、意次しかいない。政治を動かす力もあるし、世の中も彼の言うような方向に変わってきている様子を見ると。そういう思いで、意次を呼び出したんだと。謙さんとはそんな話をしました。
謙さんとは対立するシーンが多かったので、単調にならないように毎回相談しながら、せりふの言い方やお芝居を工夫していました。中でも、第2回で意次が「もはやこの世はすべて『金』。何をするにも、金が入り用になりまする」と言いながら、長火鉢に火箸で「金」と書いたシーンは、僕と謙さんのお気に入りです。撮影の合間には、2人とも阪神タイガースのファンなので、阪神の話で盛り上がっていました(笑)。

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