尾美としのり 演じる平沢常富の活躍に「“さがせ”の頃の方が面白かった、と言われないか心配です」【「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

2025年3月23日 / 20:45

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。3月23日放送の第12回「俄(にわか)なる、『明月余情』」では、戯作者“朋誠堂喜三二”こと平沢常富が、ついにその素性を蔦重に明かして活躍。長い間、どこにいるかわからず、放送のたびにSNSで「オーミーをさがせ」と話題になっていた平沢常富役の尾美としのりが、その舞台裏や役に対する思いを語ってくれた。

(C)NHK

-第12回で、ついに平沢常富が蔦重にその素性を明かしました。初登場の第2回から長い間、オープニングに「平沢常富 尾美としのり」とクレジットされながら、どこにいるかわからない登場の仕方でしたが、どのように受け止めていましたか。

 最初に台本を読んだとき、「大門を通っていく平沢」など、1行にも満たないト書きがあるのを見て「しゃれている」とうれしくなり、喜んで演じていました。現場でも、「なるべく映らないようにした方がいいですよね」、「もうちょっと顔をこっちに向けてください」などと相談し合いながら撮影していました。ただ、出番はほんのわずかでも、扮装(ふんそう)には2時間もかかるので大変でした(笑)。

-第12回では、第2回で蔦重が平賀源内(安田顕)の正体に気付くきっかけとなった「源内先生、その節はお世話になりまして」という言葉を発したのも、平沢だったことが明らかになりました。

 今までせりふはほとんどなかったのですが、実は吉原の常連らしく、あちこちでいろんな人たちと話したり、第10回で吉原を去る瀬川(小芝風花)の花魁道中を見物する群衆に交じって「いい女だね」と声を掛けたりしていたんです。映っているかどうか、わかりませんが(笑)。その分、きちんとせりふを言うようになったときは、とても緊張しました。

-放送のたびにSNSで、「オーミーをさがせ」などと話題になっていましたが、視聴者の反響をどのように受け止めていましたか。

 こんなに注目されるとは想像もしなかったので、プレッシャーを感じています。大河ドラマに出演すると、親戚や身近な人たちが喜んでくれるので、そういう人たちが探してくれたら面白いな、くらいに考えていたんです。でも、そっちの方からは何の連絡もなくて(笑)。これから蔦重とかかわっていくことになりますが、「“オーミーをさがせ”の頃の方が面白かった」と言われないか、心配です。

-それでは改めて、さまざまな文化に造詣が深く、戯作者“朋誠堂喜三二”としても活躍する平沢常富をどのような人物と捉えているか、教えて下さい。

 とても頭がよく、しゃれていて、人生を楽しんでいる人だと思います。吉原で遊んでばかりいるように見えますが、実は秋田佐竹家・留守居役ということで、仕事もできるインテリだと思うんです。その上で、歌舞伎や能、狂言、文楽などの趣味を楽しむ充実した生活を送りながら、自分でも作品を書いたりしているわけですから。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな) 役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ) 役の天野はながドラマの見どころを語ってくれ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

 須永恵(福士蒼汰)と恋人の木下亜子(福原遥)は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在、亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・涼だ … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の … 続きを読む

Willfriends

page top