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でも、同一性というのは非常に厄介で、これは本当に同じ人なのかという疑問を持つわけです。本当は同一人物じゃないけど、それをメタファーとして見せているだけなのかもしれないし、もっと高尚に考えれば、その存在自体が本当にいるのかどうかすら分からない。災いが起きる人だけに見えている存在で、ほかの人には見えていないということなのかとか、いろいろと考えられる。台本では「あの男」という役だけど、彼は何が好きで、どういう学校を出て、本当はどういう職業をしていて…とかが一切書かれていないんですけど、こういうふうに役をちりばめた時に、橋渡しをした方が表現としても分かりやすいんじゃないかなと。だから、それを見つけた時はうれしかったし、監督たちがそれを受け入れてくれたのもうれしかったです。
それほど大変ではないです。断片をつなげば割と簡単なんです。どういう人でやるかというのをまず決めて、その人がおかしな行動をしてるということ。だから、そのおかしな行動の部分は別に考える必要はなくて、普段どういう生き方をしているのかを考えます。バックグラウンドというか、どういう髪形で、どういう服を着ていて、どんな趣味で、何時に起きて、何を食べてみたいな。そこは実際には出てこないですけど、それを決めれば難しくはないですね。
僕の中では6人全員にモデルがいるんです。いろいろと考えてモデルを見つけて、その人の物まねをずっとしていた感じです。1話と2話は現場で誰の物まねかを発表したんです。でも、3話、4話あたりはもう僕しか知らない人で、4話は昔の無名の俳優さん。6話だけ“香川照之という俳優”でやったつもりです。自分でせりふを覚えているうちに、この役だったらこう言いたいなという人を引っ張り出すんです。そういうしゃべり方をしていた人がいるんですよ。それで、その人の特徴などを考えるとぴったりな感じだと思いながら、全話スルスルっと出てきたので、僕の台本にはその人たちの名前が書いてあります。
さまざまな映画のオマージュカットも取り入れながらも、解決しない上にスカッともしないという新たなスタンスを、関さんと平瀬さんという2人の監督が勇猛果敢に提示するというのが、このドラマの見どころだと思います。でも、それに対して「何じゃこりゃ」という方もいれば、「これがいいね」という方もいるし、「さっぱり分からん」という方もいれば、「これは自分自身だ」という方もいらっしゃる。そういうことでいいと思うんです。ドラマの新しい裾野が広がっていることの一例だと思うし、不思議な魅力がある。それはこの5月のユニットがいつも提示するもので、そこは信頼できます。
解決する部分やスカッとする部分がなくて混沌(こんとん)としているドラマなので、本当に視聴者の方の判断に委ねるところが大きいと思います。こちら側が与えているわけではなくて、見る側が判断していくという形は、やはり今の時代の流れなのかなと思います。新しいドラマを提示してみますので、ぜひ見てみてもらってもいいでしょうかという感じですね。
(取材・文・写真/田中雄二)

(C)WOWOW
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