エンターテインメント・ウェブマガジン
この作品をやる上で、自分が「三好」としてできることってなんだろうとも考えましたし、自分自身が家族との向き合い方について、小さい頃からコンプレックスを感じていることもあって、そこを乗り越えられなかったとしても、自分が何かアクションを起こして一つでも変わることができたら、それが全てこの作品の「三好」という役に投影できるかもしれないと思いました。そういった家族との向き合いの場を設けてというところが、一番心掛けたところというよりは、それが必然だったのかなという気持ちはあります。
厳しいというよりも、一つ一つのシーンに対して、細かく分析しながら考えていらっしゃいます。例えば、私は無意識だったのに、「何で今飲んだの」とか「何で今ここで触ったの」と聞かれました。監督の中では、「三好」にとってはそれが大きな意味があるから、みたいな演出をしてくださいました。そういう意味では、一つ一つの会話のコミュニケーションは、すごく多かったと思います。だから、監督が厳しくてしんどかったというよりも、「三好」という役との向き合い方や、自分の本心との向き合い方でいっぱいいっぱいになっていて、精神的にこんなにきつい現場はないというぐらいでした。でも、そうした中で、的確な、自分には見えなかった視点を教えてくれるような演出をずっとしてくださったので、とても学びになりました。
撮影中のことは、何が正解で、どこがうまくいって、どこがうまくいかなかったのかも、あまり覚えていません。作品として完成したものを見て、自分が携わっていないシーンがこういうふうになっていたのかという思いもありましたが、みんなで構築してきたことや、諦めないで探求していたことが間違っていなかったかなと、ちょっと希望が見える安心感みたいなものがありました。
今、私たちが生きている現実の世界とすごくリンクしていて、人の心をどういうふうに再現したり、表現したり、何を思って、何を生きがいにしたらいいのかということについて、本当にスタッフ、キャストの皆さんが魂を込めて作った作品なので、ぜひたくさんの方に見ていただいて、「自分自身って何だろう。自分は何を思っているのか」「自分はこれが大事だったんだ。これを大切にしていこう」みたいなことを見いだせるような映画になったらうれしいなと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2024 映画「本心」製作委員会
2026年9月29日
K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む
映画2026年9月29日
-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。 とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む
舞台・ミュージカル2026年9月29日
向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む
ドラマ2026年9月28日
-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。 厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただ … 続きを読む
ドラマ2026年9月26日
-劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。 実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む