妻夫木聡「家族のために生きているんだなと思う」 渡辺謙「日々の瞬間の積み重ねが人生になっていく」 北川悦吏子脚本ドラマ「生きとし生けるもの」【インタビュー】

2024年5月3日 / 10:00

-役柄を演じて、ご自身が考えたことや得たものはありますか。

妻夫木 「何のために生きているのか」ということを、より一層考えるきっかけになりました。結婚して子どもができるまではそういうことを考えなかったですし、役者という仕事が好きで、それにまい進するのみと思っていました。言ってみれば、いつ死んでもいいなと思っていたところがあったのですが、今は家族ができて、逆に死ねないなと思っているんですよね。僕は家族のために生きているんだなと、より一層身に染みて感じました。この作品を通じて、改めて「今を生きる」ことが大事なんだ、この1分1秒を生きていることがとても貴重なことだし、例えばコ-ヒ-を飲んでいるその瞬間だけでも、ああおいしい、いい香りだなと幸せを感じられるようになった気がします。

渡辺 この作品は、自殺まで考えるほど追い込まれている陸が再生していく物語だと思っているんです。幸せって、そんなに大きなものではなくて、夜寝る前に布団の中に入ったときに「ああ、幸せ」と感じる、その瞬間の積み重ねであって。北川さんもつらいことや苦しいことがある中で、そういう小さな幸せを日々見つけて生きていらっしゃるんだろうなというのを脚本の中に感じました。僕自身も、例えば、大きな作品に出演できました、それで評価していただきましたとか俳優としての部分はありますが、日々の中にあるさまつな幸せは僕やみんなの中にもあるものですし、それはこのドラマの中にたくさん描かれている気がします。

-劇中で成瀬は病院を抜け出し、陸と共にバイクで人生最後の旅に出ますが、お2人は人生最後にどんなことをしたいと思いますか。

 妻夫木 海外の作品に出てみたいとか欲望は山ほどありますが(笑)、結局、最後は家族のことになりますね。僕が死ぬときは子どもたちはいくつなんだろうとか、毎日変化していく子どもたちを見ているとやりたいことばかりですが、死ぬ瞬間に子どもたちの顔が見られていたらいいのかな、近くにいられなくても、みんなが元気だったらいいのかなと。何が起きるか分からない世の中ですし、今は本当にそれだけです。

-お子さんには、どんな道を歩んでほしいという思いがありますか。

 妻夫木 子どもたちが大人になる頃には、もう少しグロ-バルな世の中になっている気がするので、それに向けて一緒に準備できることがあれば手助けしてあげたいなと思いますし、親としてやるべきことはたくさんあると思います。でも、親がいくら用意してもどう育つかはその子自身ですし、やりたいかどうかをチョイスするのは子どもたちなので、一概に「こう育てよう」とは思っていないです。いつの世の中でも同じだと思いますが、健康で元気でいてくれたら、もうそれで十分です。

-渡辺さんは人生最後に、どんなことをしたいですか。

 渡辺 僕は成瀬と一緒ですね。考えても何も思い浮かばないというか。日々の瞬間の積み重ねが人生なので、例えば1つの作品をやっていても、すごく大変な日もあれば楽しい日もあるし、でも、それが積み重なることで作品になっていくというのが、もっと大きい意味で人生になっていくので、無駄な1日もたくさんありますが、そうやって積み重ねていくんだろうなと思います。

ドラマは、5月6日(月)夜8時からテレ東系で放送。

(C)テレビ東京

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

-おばあちゃん役の風吹ジュンさんとの印象に残ったエピソードがあれば。  とても面倒見のいい方で、何か聞いたら何でも返してくれるし、気を使ってくださいました。本当は僕が気を使わなければいけないのに、風吹さんの方から、「大丈夫よ。頑張ろうね」っ … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

-そんな珠の父・清治は、現代ではありえないほど娘に厳しく接しますね。  厳しい父親の話は、宇野千代さんの著書にも書かれていることです。現代の視点で見るとつらい話ではありますが、当時の家父長制の下では、ああいう側面があったことは事実です。ただ … 続きを読む

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

  -劇中では、渡部篤郎さん演じる珠の父・清治が強烈な存在感を放っています。珠と清治の関係も物語の重要なカギになりそうですが、2人の関係をどのように捉えていますか。  実際のお父様は、宇野千代さんが「ドストエフスキーの小説に出てくる狂人のよ … 続きを読む

page top