玉置玲央「柄本佑くんのおかげで、幸せな気持ちで道兼の最期を迎えられました」強烈な印象を残した藤原道兼役【「光る君へ」インタビュー】

2024年5月5日 / 20:45

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。5月5日放送の第十八回で、主人公まひろ/紫式部(吉高由里子)にとっては母のあだに当たる藤原道長(柄本佑)の兄・藤原道兼が壮絶な最期を迎えた。衝撃の第一回から物語の原動力の一つとなり、視聴者に強烈な印象を残した道兼を熱演した玉置玲央が、最期のシーンの舞台裏を含め、撮影を振り返ってくれた。

(C)NHK

-道兼が壮絶な最期を迎えましたが、弟の道長が立ち会う場面は、台本にはなかったそうですね。

 実は台本では、見舞いに来た道長に対して、疫病の伝染を恐れた道兼が御簾(みす)越しに「お前が倒れればわが家は終わる。二度と来るな」と追い返すことになっていたんです。でも、リハーサルの時、佑くんが「道長が御簾の中に入り、道兼に寄り添う」という芝居を提案してくれて。その時は結論が出ず、「検討する」ということになったのですが、撮影当日、佑くんが改めて「道長は寄り添うと思います」と主張し、演出の中泉(慧)さんも納得してくださり、あの場面が生まれました。

-心打たれるシーンでした。

 しかも、最期に寄り添ってくれたことは、道兼にとって転機となった第十五回の「道長に救われた」という思いが、一方的なものではなかったことがわかる瞬間でもあったんです。撮影の時はカメラが止まった後も、せきが止まらない僕の背中を、佑くんが優しくさすってくれて。つくづく、佑くんが道長でよかったなと。いろんな思いが湧き上がり、これで自分の役割を全うできると、幸せな気持ちで最期を迎えられました。

-道兼は笑いながら最期を迎えましたが、あの笑いにはどんな意味が?

 思い返してみると、単純な笑いではなく、あそこにはいろんな思いが入り混じっていた気がします。今までの所業を振り返って気付いた自分の愚かさ、父や兄に続いて自分が死を迎えて気付いた「人は必ず死ぬ」ということへのむなしさ、あるいは道長が自分の最期に寄り添ってくれたことへの喜び、それと同時に、今までの道長に対する自分の振る舞いを申し訳なく思う気持ち…。そういういろんなものが入り混じった笑いだったのかなと。

-ここで改めて、道兼と道長の関係についてお聞かせ下さい。

 元々、道兼は道長のことが大嫌いでした。父の兼家(段田安則)が道長に向かって、「わしだって三男坊だ」と気さくに語るシーンがありましたが、道兼には父とそんなやり取りはできない。だから、そのシーンを見たとき、「うらやましい」と思ったんです。でも同時に、道長のそういうところが嫌いだったんだろうなと。

-そんな道長との関係が大きく変化したのが第十五回でした。

 最も信奉し、自分の中の柱だった兼家が亡くなったとき、崩れてしまった道兼を救ってくれたのが、道長でした。それまで散々ひどいことをしてきたのに、道長はボロボロになった道兼を迎えにきて、「兄上は変われます」と、その時最も必要な言葉を、逃げずに真正面からぶつけてくれた。それは、とてもエネルギーの要ることで、道長の中でも乗り越えなければいけないハードルがたくさんあったはずです。でもそのおかげで、道長に対する感情がガラッと変わった。同時に、道兼の中で「汚れ役」の目的が、今までのような「自分の出世欲のため」ではなくなり、「誰かのため」の「汚れ役」を引き受けるようになった。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

「ローマの共和制の問題点は、今の世界が直面している数々の問題と重なる部分が多い」『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』コニー・ニールセン【インタビュー】

映画2024年11月15日

 古代ローマを舞台に、皇帝の後継者争いの陰謀に巻き込まれ、剣闘士(グラディエーター)として壮絶な戦いに身を投じる男の姿を描いたスペクタクルアクション『グラディエーター』。巨匠リドリー・スコットが監督し、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5 … 続きを読む

Willfriends

page top