エンターテインメント・ウェブマガジン
柿澤勇人(左)と吉田鋼太郎(C)エンタメOVO
柿澤 僕が鋼太郎さんと初めてお仕事したのは、「デスノート THE MUSICAL」でした。そのときから、鋼太郎さんの背中追い続けて、ずっと食らいついています。楽屋にお邪魔させてもらって、芝居について教えていただいたり、役者としての悩みを聞いてもらったり、今後、僕はどうやって生きていけばいいのかというお話までさせていただいたり。そうした時間を過ごさせていただいて、鋼太郎さんが本当にたくさんの人に愛されて慕われているというのもすごく感じました。こんなにも年齢が離れている大先輩なのに、すごくフランクに僕の意見も聞いてくれるんですよ。こんな言い方は失礼かもしれませんが、かわいらしいし、チャーミング(笑)。その後も、何作品もご一緒させていただき、稽古場でもいろいろと試させていただいて、いろいろなメソッドも教えていただいて。稽古場はワクワクする要素がいっぱいありました。
吉田 半世紀以上前から、シェークスピアは敷居が高いとか、難しいと言われ続けていますよね。少なくとも僕が演劇を始めた1970年代の後半にはすでにそういわれていました。その頃、僕は「シェイクスピア・シアター」という劇団に入り、100人入れば満杯という小劇場で、ジーパンにTシャツ姿でパイプ椅子だけのセットでシェークスピア作品を上演していて、それが大好評だったんですよ。ジーパンにTシャツというのは、現代に生きている人たちにも、身近な物語なんだよというアピールですよね。その影響で、僕は今も分かりやすくなければやる意味はないと思っています。ただ、もう1つ言えるのが、お客さまの中にも、知的興味がないと楽しめないということです。面白くするためにといって改ざんしたり、ぐちゃぐちゃなものにしてしまっては意味がないので、あくまで原型はきっちりとどめつつ楽しませなくてはいけない。でも、それはなかなか難しい。そうすると、僕らにもお客さまにお願いがあって、お客さまたちも知的興味を持って観劇に来ていただきたいのです。それがあるとお互いにWin‐Winなんじゃないかと思います。僕たちも僕たちでこの作品を伝えようとしている。ある意味、これは僕たちとお客さまの勝負のようなところがあるんです。こんなことを言うと、ますます面白くなさそうと思われてしまうと思うので、はたしてこの発言でいいのかなと思いますが(笑)、そうした覚悟を持って見に来ていただくのが大事かなと思います。絶対に面白い作品なのは間違いないです。世界最高峰だといわれている戯曲ですから。ストーリーも登場人物たちの行動も面白いし、キャラクターも豊か。ずっと心に残る、一生の財産になる作品です。
柿澤 僕は、まだまだシェークスピアを語れるほどではないですが…「ハムレット」の戯曲を読んでいると、僕自身も読み方が分からず、意味も分からないという言葉もたくさんあります。使っている言葉は現代語でも日常で使う言葉ではないので、やはり難しいんですよね。ですが、そこで語られていることは、2024年に生きている僕たちにも刺さる物語です。今は、人間関係がどんどん希薄になって、携帯電話だけでもやり取りできる時代ですが、この作品からは人とはなんだとか、愛とはなんだといった普遍的なテーマを感じることができます。そして、普段、僕たちが日常で思っていても表に出せない感情を表に出して演じている俳優たちを見るときっと引き込まれると思うんです。それは、舞台ならでは、シェークスピアならではのエネルギーだとも思うので、それを皆さまに劇場で受け取っていただけるのではないかと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1「ハムレット」は、5月7日~26日に彩の国さいたま芸術劇場 大ホールほか、宮城、愛知、福岡、大阪で上演。
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1「ハムレット」
ドラマ2025年7月5日
-そのほか、撮影を通じて特に印象に残ったことがあれば教えてください。 安田 撮影が終盤に差し掛かった頃、原作者のキム・スジンさんにお目にかかる機会があったんです。キム・スジンさんは、それぞれのキャラクターに、ものすごく細かいバックボーンを作 … 続きを読む
ドラマ2025年7月5日
-松本さんとは初共演ですね。現場での印象は? 「はい、行くよ!」って声をかけて引っ張っていってくださる兄貴肌です。スタッフの皆さんとも積極的にコミュニケーションを取っていらっしゃる姿も見ますし、松本さんの存在で撮影現場全体が活気づいている … 続きを読む
映画2025年7月4日
-陽彩はいわゆる“毒親”の母と2人で暮らすうち、自分の人生に期待を持てなくなってしまった人物です。そういう役と向き合うお気持ちはいかがでしたか。 南 陽彩にとって、親や家族は、居場所であると同時に、自分を縛る呪いのようなものでもあったと思う … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月4日
2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。 物語の舞台は歌舞 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年7月3日
▽長い時を刻む、大衆文化とは異なる魅力 -Kカルチャーが世界で注目される今、今回のような舞台表現はKカルチャーの中にどう位置づけられると思いますか? K-POPや映画などの大衆文化も素晴らしいですが、伝統芸術はそれよりもはるか以前から続い … 続きを読む