【インタビュー】ドラマ「おいハンサム!!」吉田鋼太郎、アドリブを封印して挑む“昭和のお父さん”「生き残りの姿をこの作品で見せられれば」

2021年12月22日 / 16:07

 吉田鋼太郎が主演する、東海テレビ×日本映画放送 共同制作連続ドラマ「おいハンサム!!」が、1月8日から放送される。本作は、融通が利かない父・伊藤源太郎と、男を見る目がない三姉妹、そして全てを超越した母が織りなす、新しい形のホームドラマ。令和を生きる、昭和なおやじ・源太郎を演じる吉田に、撮影の裏側や意気込みを聞いた。

伊藤源太郎役の吉田鋼太郎 (C)エンタメOVO

-伊藤理佐さんの漫画を原作に、恋と家族とゴハンをテーマに描くファミリードラマということですが、撮影を通して、どんなドラマになると感じていますか。

 まず、漫画が原作ではありますが、それは切り離して考えていただいた方がいいのかなという気がします。漫画にはたくさんの登場人物が出てきますが、今回は伊藤源太郎を中心としたホームドラマです。漫画のテイストは残していきつつ、新しいものにしていきたいと思っています。

 僕は、頑固親父が出てきて、お父さんに手を焼くホームドラマと聞くと、「寺内貫太郎一家」(1974年からTBS系列で放送されたテレビドラマ)を思い出します。源太郎もその寺内貫太郎に似ているところが多くあります。もちろん、時代は令和なので、ちゃぶ台をひっくり返したり、息子を投げ飛ばしたりはしませんが、そのテイストはしっかりと残っています。口数が少なく、娘たちへの愛を伝えたいのに、面と向かって口に出すことはできない。それでも頑張っている「昭和のお父さん」が、全編を通して描かれています。

-最初に、台本を読んだときはどんな感想を持ちましたか。

 このドラマの監督は、山口雅俊さんとおっしゃる有名な監督が務められています。彼は、天才といわれている監督で、こだわりが強いことでも知られる方です。今回、台本も監督が書いているんですが…、それが読んだだけではよく分からない台本なんです、抽象的な描写が多くて。ト書きには「なにがしかの会話がここで行われる」と書いてあるんですが、役者としては、その“なにがしかの会話”を書いてほしいんですよ(笑)。そういった独特の台本なので、そこからはなかなかくみ取ることが難しいというのが正直な感想です。その分、想像を膨らませて現場に入りますが、現場でもサプライズが次々と起こります。撮影当日に20秒ほどのせりふが追加されたり、台本と全く違う動きを指示されたり…。役者としては大変ですが、やる気を喚起させられますし、監督と役者のいい意味でのバトルみたいなものが繰り広げられる現場です。

-では、演じる上ではどんなところを意識していますか。

 今、お話したようにサプライズが起きる現場なので、非常にラフに撮影しているイメージを持たれるかと思いますが、実は監督は非常に緻密な計算をされています。僕はアドリブを挟んでいくのが好きなので、面白くなるなら監督や共演者の了解をとってどんどん入れていきたいタイプなのですが、今回はやらない方がいいと感じて、アドリブなしにしようと思っています。監督が一生懸命に考えられたせりふなので、監督の思惑通りに演じた方がきっと面白いものができあがるんじゃないかと思います。

-アドリブを封印することで、演じる上での歯がゆさみたいなものは感じていますか。

 アドリブはごまかしでもあって、できていないところをそれで補うという面もあるので、それをやめたときに自分がどういう表現をできるのかということは考えています。「背中で語る」ではないですが、書かれていないことを立ち居振る舞いや空気で出していかないといけないと思っていますので、どうぞ楽しみにしていてください。できるかは分かりませんが(笑)。

-吉田さんから見た、源太郎の魅力は?

 源太郎は、娘たちに言いたいことを言えず、周りくどい表現方法でしか思いを伝えられないシャイなところがありますが、昭和の時代のお父さんは、そういう人が多かったような気がします。泥酔していると、その思いがこぼれて、突然娘に「愛してる」と言ってしまう。でも、普段は「ありがとう」も「ごめんなさい」も言えない。本当は言いたいけれど、言えないんです。その気持ちは僕も理解できるし、僕の祖父も父もそういう人でした。それは、かわいいといえばかわいいんじゃないかなと思います。

 
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