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その一方で、中には「三成と家康がこんなに仲がいいわけない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも僕は「もしかしたら、仲が良かったかも」と思っていますし、そういうロマンを持って古沢さんも脚本を書いていらっしゃるはずです。これは、歴史ドキュメンタリー番組ではなく、「こうだったら面白いな」というロマンを描くエンターテインメントなので、視聴者の皆さんには、ぜひ柔軟に受け止めていただければ幸いです。
彼は嵐で活動していた頃から、コンサートの演出などをやってきたので、リーダーシップをとるのは上手ですよね。この作品をどういう方向に持っていこうかと常に考え、現場の士気を高め、スタッフの意見を聞きながら、少しでもいいものにしようとする。改めて、その情熱のすごさを実感しました。
僕はこの作品をずっと見てきましたが、現場で実際に松本と会ってみて、改めて「立派な家康公だな…」と感じました。いろんな方と相談しながら、彼なりに長期の撮影の中での演技プランを計算してやってきたのでしょうけど、家康公が染みついていますよね。その吸収力はすごいなと。でも同時に、本番になるとそんな計算は忘れて動物的に心が動き、家康公になり切っている。彼は「役者としてはあまり自信がない」と言っていましたが、その姿を見ていると、決してそんなことはない。素晴らしい役者だと思います。
僕は、彼がこれまで色々と悔しい思いをしてきたことも知っていますが、その悔しさをバネに自分の力で道を切り開き、華々しい成果を上げてきました。そんなふうに不屈の闘志でここまで歩んできた彼の人間性は、この作品からもにじみ出ています。役者にとって、1年以上も続けて同じ役を演じる機会は、大河ドラマくらいしかありません。僕も、これまで長く役者をやってきましたが、一度も経験のないことですから。その分、難しさやプレッシャーを感じることもあったはずですが、おかげで一皮も二皮もむけたと思うので、ファンの皆さんも驚いているのではないでしょうか。ぜひ今後も、いろんなことにチャレンジしてほしいですね。
隠居した三成が、いかに兵を挙げることになるのか。そこに注目していただけたら。「厭離穢土欣求浄土(おんりえどごんぐじょうど)」を旗印に掲げていた家康と同じく、「戦なき世を目指す」という志は本来、三成も一緒なんですよね。同じ思いを持って戦乱の世を歩んできたはずなのに、なぜ三成が未曾有の大戦を仕掛けることになるのか。そこが大きなポイントになってきます。関ヶ原の合戦の場面では、三成の内にある家康に対する思いを強く出すことを心掛けて演じさせていただきました。ぜひご期待ください。
(取材・文/井上健一)
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