米倉涼子さん、ブロードウェーミュージカル「CHICAGO(シカゴ)」に主演

2012年7月6日 / 16:30

躍動感あるダンスも披露した

ブロードウェーに立つことは、ラッキーなチャンス

Q 日本人女優がブロードウェーの舞台に立つのは、54年ぶりのことですが、どう思いますか。

A ラッキーなことだと思います。落ち着いて考えてみると、なぜ私なのか分からないんです。私は、リクエストはしましたが、ミュージカルはシカゴしかやったことがなくて、ミュージカル自体がなんなのか分かっていないのに、ラッキーだなって思う。せっかくこういうチャンスを与えてくれたんだから、私だけの力ではないので、スタッフ皆さんの日本からシカゴを愛する気持ちとか本当に重なって、このように実現できているので“失敗はしない”とは言い切れないんですけど“やれたね”っていう証だけは残したいと思っています。野茂(英雄)さんがメジャーリーグに行った時、本当に大変だったんだろうなって思いました。そういう人たちって、なんか背負わなきゃいけないことってあると思うんですね。私は、ハリウッドを目指しているわけでも、何かを目指しているわけでもないんですけど、なんでも初めてっていうのは大変なんだねって。もちろん、アメリカ側もブロードウェーでシカゴは1975年から上演されてきたわけだし、プライドとかいろんなものがあると思うから、なぜゆえ日本人なんだっていう気持ちもどこかしらあると思うんですよね。だから、そういう扉が少し開き始めたことがすごいことだし、うれしいことだし、やりがいのあること。なんですけど、閉じかけられるところもたくさんあるので、そういうこともいい経験にして楽しんでます。嫌なこともたくさんあるけれど、私からもガーガー言うし、周りからも言われるし。でも、だからこそ出来上がっているのがいまの形なんだと思います。

Q そうとうシカゴにほれ込んでいるんですね。

A 上には上がいると思うけど“あー、しばらくは(シカゴは)いいかな”って思ったことは一度もない。すごく、それが、うれしいなって思うんです。

Q 会見の時の涙が印象的だったのですが。

A いまでも、こうして話をしているだけでもうるうるしてしまうんですけど、その理由が私にも分からないんです。

Q ブロードウェーの舞台に立ったら分かるかもしれませんか。

A さあ~、分かったらいいなって思います。でも、分からなくてもいいかな。単純に好きっていうだけだから。森光子さんが『放浪記』をやり続けているじゃないですか。やっぱり、好きじゃないとできないと思うんですよね。いくらお金があるからって、いくら人から称賛されているからって、やっぱり自分が好きじゃなきゃ、あんなに長くはできないと思うんです。ブロードウェーに立っている人たちだって、私の何百倍もやっている。今もやり続けているし、やり続けたいんだと思います。それは、やはり好きだからなんだと思います。好きっていう気持ちは、いろんなことに作用してくる感じがして、嫌いなのにやっていたら、人から「いいね」という評価はしてもらえないと思います。

Q ブロードウェーに立つことは、女優米倉涼子にとって何をもたらすのか。

A 立ってみないと分からないですね。ひとつの作品に対して、本来はみんなでやるものなのに、こんなに孤独に、ずっと独りでレッスンをしていて、こういう状態って苦手なんですね。周りに人がいて、それを意識して、切磋琢磨(せっさたくま)していくのが好き。誰もいない中で独りでやるのは、ちょっとしんどくて…。本格的なレッスンを始めたのは、今年の3月ぐらいからですが、すごくいい経験だと思っています。しかも、私がずっと、ずっとやりたかった演目で、いま自分がすごく興味がある舞台で、しかもミュージカルで、さらにシカゴ。やったら、すごく悔いが残ることはたくさんあると思うんですね。ああすればよかった、こうすればよかった、あれはもうちょっとできたかもしれないとか…。あると思うんですけど、これをやれたっていうだけで、ぶっちゃけ、この現実に悔いはないです。やればまた、欲は出てくると思うんですけど。

………もう、女優を辞めてもいいかも…っていうぐらいうれしいことですね。辞めないとは思うけど、そのぐらい大きな喜びなんです。


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「場所と人とのリンクみたいなのものを感じながら見ると面白いと思います」今村圭佑撮影監督『青春18×2 君へと続く道』【インタビュー】

映画2024年5月9日

 18年前の台湾。高校3年生のジミー(シュー・グァンハン)はアルバイト先で4歳年上の日本人バックパッカーのアミ(清原果耶)と出会い、恋心を抱く。だが、突然アミの帰国が決まり、落ち込むジミーにアミはあることを提案する。現在。人生につまずいた3 … 続きを読む

田中泯「日本の政治に対する僕自身の憤りに通じる部分も多かった」世界配信となる初主演のポリティカル・サスペンスに意気込み「フクロウと呼ばれた男」【インタビュー】

ドラマ2024年5月9日

 あらゆるスキャンダルやセンセーショナルな事件を、社会の陰に隠れて解決してきたフィクサー、“フクロウ”こと⼤神⿓太郎。彼は、⼤神家と親交の深かった次期総理候補の息⼦が謎の死を遂げたことをきっかけに、政界に潜む巨悪の正体に近づいていくが…。先 … 続きを読む

海宝直人&村井良大、戦時下の広島を舞台にした名作漫画をミュージカル化 「それでも生きていこうというエネルギーをお見せしたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年5月9日

 太平洋戦争下の広島県呉市に生きる人々の姿を淡々と丁寧に描いた、こうの史代氏による漫画「この世界の片隅に」がミュージカル化され、5月9日から上演される。主人公の浦野すず役をWキャストで務めるのは、昆夏美と大原櫻子。すずが嫁ぐ相手の北條周作を … 続きを読む

「ジョンは初恋の人、そしてかけがえのない友達」『ジョン・レノン 失われた週末』メイ・パン【インタビュー】

映画2024年5月9日

 ジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻が別居していた「失われた週末」と呼ばれる、1973年秋からの18カ月の日々。その時ジョンは、彼とヨーコの元・個人秘書で、プロダクション・アシスタントを務めていた中国系アメリカ人のメイ・パンと恋人関係にあった … 続きを読む

北村匠海「長谷川博己さんのお芝居は、やっぱり迫力がすごい」 日曜劇場「アンチヒ-ロ-」【インタビュ-】

ドラマ2024年5月8日

 長谷川博己が主演を務める日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS系)が放送中だ。本作は殺人犯をも無罪にしてしまう“アンチ”な弁護士・明墨正樹(長谷川)の姿を描き、視聴者に“正義とは果たして何なのか? ”“世の中の悪とされていることは、本当に悪い … 続きを読む

Willfriends

page top