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Q 日本人女優がブロードウェーの舞台に立つのは、54年ぶりのことですが、どう思いますか。
A ラッキーなことだと思います。落ち着いて考えてみると、なぜ私なのか分からないんです。私は、リクエストはしましたが、ミュージカルはシカゴしかやったことがなくて、ミュージカル自体がなんなのか分かっていないのに、ラッキーだなって思う。せっかくこういうチャンスを与えてくれたんだから、私だけの力ではないので、スタッフ皆さんの日本からシカゴを愛する気持ちとか本当に重なって、このように実現できているので“失敗はしない”とは言い切れないんですけど“やれたね”っていう証だけは残したいと思っています。野茂(英雄)さんがメジャーリーグに行った時、本当に大変だったんだろうなって思いました。そういう人たちって、なんか背負わなきゃいけないことってあると思うんですね。私は、ハリウッドを目指しているわけでも、何かを目指しているわけでもないんですけど、なんでも初めてっていうのは大変なんだねって。もちろん、アメリカ側もブロードウェーでシカゴは1975年から上演されてきたわけだし、プライドとかいろんなものがあると思うから、なぜゆえ日本人なんだっていう気持ちもどこかしらあると思うんですよね。だから、そういう扉が少し開き始めたことがすごいことだし、うれしいことだし、やりがいのあること。なんですけど、閉じかけられるところもたくさんあるので、そういうこともいい経験にして楽しんでます。嫌なこともたくさんあるけれど、私からもガーガー言うし、周りからも言われるし。でも、だからこそ出来上がっているのがいまの形なんだと思います。
Q そうとうシカゴにほれ込んでいるんですね。
A 上には上がいると思うけど“あー、しばらくは(シカゴは)いいかな”って思ったことは一度もない。すごく、それが、うれしいなって思うんです。
Q 会見の時の涙が印象的だったのですが。
A いまでも、こうして話をしているだけでもうるうるしてしまうんですけど、その理由が私にも分からないんです。
Q ブロードウェーの舞台に立ったら分かるかもしれませんか。
A さあ~、分かったらいいなって思います。でも、分からなくてもいいかな。単純に好きっていうだけだから。森光子さんが『放浪記』をやり続けているじゃないですか。やっぱり、好きじゃないとできないと思うんですよね。いくらお金があるからって、いくら人から称賛されているからって、やっぱり自分が好きじゃなきゃ、あんなに長くはできないと思うんです。ブロードウェーに立っている人たちだって、私の何百倍もやっている。今もやり続けているし、やり続けたいんだと思います。それは、やはり好きだからなんだと思います。好きっていう気持ちは、いろんなことに作用してくる感じがして、嫌いなのにやっていたら、人から「いいね」という評価はしてもらえないと思います。
Q ブロードウェーに立つことは、女優米倉涼子にとって何をもたらすのか。
A 立ってみないと分からないですね。ひとつの作品に対して、本来はみんなでやるものなのに、こんなに孤独に、ずっと独りでレッスンをしていて、こういう状態って苦手なんですね。周りに人がいて、それを意識して、切磋琢磨(せっさたくま)していくのが好き。誰もいない中で独りでやるのは、ちょっとしんどくて…。本格的なレッスンを始めたのは、今年の3月ぐらいからですが、すごくいい経験だと思っています。しかも、私がずっと、ずっとやりたかった演目で、いま自分がすごく興味がある舞台で、しかもミュージカルで、さらにシカゴ。やったら、すごく悔いが残ることはたくさんあると思うんですね。ああすればよかった、こうすればよかった、あれはもうちょっとできたかもしれないとか…。あると思うんですけど、これをやれたっていうだけで、ぶっちゃけ、この現実に悔いはないです。やればまた、欲は出てくると思うんですけど。
………もう、女優を辞めてもいいかも…っていうぐらいうれしいことですね。辞めないとは思うけど、そのぐらい大きな喜びなんです。
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