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以前登場した頃はもう少し声のトーンも高めで、チャキチャキした感じを意識していました。でも、今や大きな料亭の女将さんです。だから、どっしりと構えて、芯があって腰の据わった感じ、でも相変わらず言う事は言うし、新しいもの好きなところも変わっていない、そんなことを意識しました。そういう意味では、「ときどきやってくる叔母さん」だった頃より、頼りになる雰囲気が増したのではないでしょうか。
長田さんの脚本は、時代性と描きたいメッセージ性を絶妙なあんばいで織り交ぜていらっしゃいますよね。いくら新しい世になったとはいえ、寿恵子と万太郎は、当時の価値観からすると、かなり型破りなキャラクターです。だから、彼らがあまりにもうまく行きすぎたり、周りがすんなり共感したりすると、うそっぽくなってしまい、「こんなことはありえない」と言われかねません。でも、長田さんは周りの人間でしっかり説明してくださるんです。それぞれのキャラクターに、それぞれのボキャブラリー、それぞれの正義があることも忘れていませんし。そういう意味では、どのキャラクターも愛を持って描いてらっしゃるんでしょうね。
久々の登場になりますが、物語が終盤に向かう中、みえとの再会を機に、寿恵子に大きな動きが生まれます。万太郎と共にさまざまな試練を乗り越え、大人になった寿恵子が、新たなステージに進むきっかけになる時間を一緒に過ごしていきます。そこが大きな見どころですが、同時に、寿恵子と一緒に料亭で働く仲居さんたちも、個性的なキャラクターがそろい、居心地の良さを感じさせるシーンも多いので、併せて楽しんでいただけたら幸いです。
(取材・文/井上健一)

「らんまん」(C)NHK
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