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NHKで好評放送中の連続テレビ小説「らんまん」。“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、明治から昭和へと激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。このところ、新種の植物を発見して世界的に名を挙げ、愛妻・寿恵子(浜辺美波)との間に子どもも生まれるなど、万太郎は絶好調だが、後半戦を迎えた物語はどうなっていくのか。制作統括を務める松川博敬氏に、今後の見どころを聞いた。
第1週から第5週までの高知編は、ロケシーンも多く、時間もぜいたくに使って撮影していましたが、今はロケもほとんどなく、限られたセットの中だけで撮影を進めています。場合によっては、長屋の中だけ、東大植物学研究室の1室だけ、という制限された場所で物語を展開しなければいけません。にもかかわらず、役者さんの演技と演出が見事に呼応し、序盤と比べても遜色ない出来になっているのは、うれしい誤算です。
第14週から第17週にかけては、万太郎くんが新種の植物を発見してどんどん業績を上げ、子どもも生まれて順風満帆に歩んでいく姿が描かれます。ただその一方で、成果を出せずにいる田邊教授(要潤)との溝が深まっていきます。最終的に田邊教授から東大への出入りを禁じられ、そこから万太郎くんの苦難が始まります。容赦なく深い悲しみが描かれていきますが、役者の皆さんも演出陣も覚悟を持って取り組んでいるので、前半とはまた一味違った深みのある人間ドラマが繰り広げられます。