「この映画を見て、元気を出してもらえたらいいなってすごく思います」神木隆之介『大名倒産』【インタビュー】

2023年6月20日 / 12:00

 ある日突然、徳川家康の子孫だと告げられて越後丹生山(にぶやま)藩の若殿(プリンス)となった松平小四郎。庶民から殿さまへの大出世かと思いきや、実は丹生山藩は25万両(現在の価値で100億円)もの借金を抱えていた。しかも、借金が返済できなければ、殿は責任を取って切腹に。さあどうする、小四郎…。浅田次郎の時代小説を前田哲監督が映画化した『大名倒産』が6月23日から全国公開される。本作で主人公の小四郎を演じた神木隆之介に話を聞いた。

神木隆之介(スタイリスト:TAKAFUMI KAWASAKI/ヘアメーク:MIZUHO(VITAMINS))

-今回、小四郎という役を演じる上で、何か意識したことはありますか。

 今回は原作とは大きく違うところもあったので、別の作品だと思って演じさせていただきました。脚本を読ませていただくと、話もとてもシンプルでしたし、借金を返す、そのためにはどうしたらいいのかというのが大きなテーマだったので、ただただ、どうやって借金を返済したらいいんだろうという、困った感じでやりました。また、キャラクター自体も、そんなに複雑ではなかったし、コメディーなので、表現の仕方も、分かりやすくリアクションを取ったりしたので、役作りとか、バックボーンみたいなことはあまり気にせずにできました。

-小四郎と自分が似ていると思ったところはありましたか。

 小四郎の方がずっと上ですが、平和主義者という点では、ある程度似ているとは思います。小四郎の優しさや器の大きさ、人に寄り添えるような人間性というのを尊敬していたので、気持ちよく演じられました。憧れのような、こんな優しい人になれたらいいなということはすごく思いました。自分には、まだまだ足りない部分が多いなと感じました。

-神木さんは自分の性格を「基本的におめでたいやつ」と表現していますが、この映画にはそれがとても出ていた感じがしました。

 確かに、小四郎には優しいだけではなくて、「すぐにだまされそうだな」と思わせるところがあって、くすっと笑えます。それも笑わそうとしているのではなく、「ばかだな」とか「お人好しだな」「大丈夫かな」と不安がらせて笑わせるところがいいと思いました。その中で、最終的に「ばかなやつだけど、精いっぱい頑張っている」というところを、皆さんに伝えられたらいいと思いました。だから、おめでたいやつという印象を持ってくださったのは、すごくうれしいです。

-時代劇初主演についてはいかがでしたか。

 やっぱり、所作が難しかったです。リアクションやせりふ回しは現代風でしたが、所作だけは当時のものだったので。しかも、“殿っぽくない殿”というのをテーマとしてやっていたので、頭の下げ方や角度などは、小四郎っぽいものにしました。自分が藩主なのに、相手が目上だと本能的に感じてしまって、すごく頭を下げてしまうところは、小四郎の生い立ちが抜けていないというのを表現したくて、それは、所作の先生にもお伝えして、やらせてもらいました。でも、座り方や手のつき方、歩き方、はかまのさばき方などは、時代劇だなというのをすごく実感したので、そこはやっぱり難しかったです。コメディーなので、ばっとリアクションをしたいけど、でも、相手が目上の人だから、ちゃんと所作をやってから、相手の前に行ってみないといけないような間があったりもしたので、その間をどう埋めようかなとか、動きが崩れないようにやるところは、結構苦労しました。

-本格的に時代劇を体験してみて、例えば大河ドラマに出てみたいとか、もっと時代劇をやってみたいというような意識が湧いてきましたか。

 湧いてきませんでした(笑)。とても難しいと思いました。特に、順序があったりするので所作が難しいと思いました。でも、ありがたいことに、次(NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」)は、時代は違いますが、酒屋の当主の役だったので、その経験が生かせたと思いました。

-前田哲監督は「この映画ではリーダー論をやりたかった」と言っていましたが、そういう監督の意図を聞いて、どう思いますか。

 リーダーということについては、やる前に少しだけ監督と話した記憶があります。そのときに、「小四郎は、もともとはリーダーではなかった人間なので、人に寄り添うことができるリーダーであったらいいと思います」とお伝えしました。リーダーというと、恐怖で支配する人もいるし、みんなを動かすような人がリーダーだというイメージもあります。でも、小四郎を見ていると、家臣たちときちんと向き合おうとする誠意が相手にちゃんと伝わって、彼が頑張る姿をみんなが見て心を動かされて、この人のために頑張りたいと思えるのがいいリーダー、すてきなリーダーの姿であるのかなということは思いました。

 
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