「らんまん」田村芽実「大好きな片桐はいりさんのお芝居を研究しました」入念な役作りで挑んだ朝ドラ初出演【インタビュー】

2023年6月12日 / 08:30

 NHKで放送中の連続テレビ小説「らんまん」。“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、明治から昭和へと激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。東京で研究に打ち込む万太郎は、植物学の雑誌を発行するため、下町の大畑印刷所で印刷の修業中。その大畑印刷所の一人娘・大畑佳代を演じているのが、田村芽実。女優・片桐はいりを研究したというコミカルな演技の裏話や初出演となる朝ドラの印象などを語ってくれた。

大畑佳代役の田村芽実 (C)NHK

-朝ドラ初出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

 お話を聞いたとき、ちょうど駅のホームにいたので、思わずマネジャーさんとハイタッチしてしまいました(笑)。ただ、朝ドラは子どもの頃から家族でずっと見てきましたし、日本で一番有名なドラマだと思っているので、出演が決まったときは、うれしさよりも本当にびっくりしました。

-威勢がよくてコミカルな佳代は、「らんまん」の中では新鮮でとても魅力的です。話し方などは普段の田村さんとだいぶ違うようですが、役作りはどのように?

 普段から役を演じる上では、自分の中で「誰かのコピーは絶対にしない」と決めています。例えば、「あのドラマに出ていたあの俳優のイメージで」というのはコピーになりますけど、何人かの方のお芝居を参考に、その要素を混ぜたものは自分のお芝居になると思っています。だから、自分と役がかけ離れている場合、「幼なじみにこういう子がいたな」、「この作品に出ているこの女優さんのこの要素はこの役に合いそうだな」、「この小説のこの人は印象が似ているな」というものを混ぜて自分の中に落とし込む作業をよくやるんです。今回もそういう作業をしました。

-具体的にはどんなものを参考に?

 台本を読んだら、佳代はすごくチャキチャキした女の子という印象だったので、チャキチャキしている自分の友だちを参考にしました。あと、私は片桐はいりさんのお芝居が大好きで、すてきな女優さんだなと憧れているんです。だから、恐れ多いんですけど、佳代もコミカルな役なので、片桐さんのお芝居を細かく研究しました。片桐さんの動画を何度も再生して、「今のこの感情にいつ切り替わったのか」、「どこで声を発したのか」、「なぜそれをこのコンマ0.1のこのタイミングで発したのか」といった感じで。

-その研究の成果はきちんと発揮されていますね。チャキチャキした江戸っ子を演じる上で、苦労した点はありますか。

 台本を読んでいるときは「どう演じよう?」と悩むことだらけでした。でも、スタジオに入ったら、緻密に作られたセットと、周りの役者さんやスタッフの皆さんの温かな雰囲気の中で、自然と江戸っ子になれた気がします。佳代は、場を引っかき回す役回りですが、印刷所の男性陣の皆さんは「蹴とばしても、殴っても、何をしてもいいから」とおっしゃってくれましたし、カメラマンの方や監督からは「やり過ぎぐらいがちょうどいい」と聞いていたので、本当に自由気ままにやらせていただきました。

-佳代の両親、大畑義平と大畑イチをそれぞれ奥田瑛二さんと鶴田真由さんが演じていますが、お二人と親子の雰囲気もよく出ています。親子感を出すに当たって、何かやり取りはありましたか。

 実は3人ともガーデニングが趣味だったんです。だから、休憩中には鶴田さんと水はけが良くなる土の作り方を話し合ったり、奥田さんと「どちらがたくさんチューリップを咲かせたか」という勝負をしたりしていました。ちなみに、奥田さんは30本、私は50本だったので、私が勝ちました(笑)。そんなふうに、とっても和やかにお話させていただいたおかげで、自然と気分が乗っていき、一緒に楽しくお芝居することができました。ただそれも、お二人が不慣れな私が緊張していることをくみ取って、気を使って話し掛けてくださったんだと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む

Willfriends

page top