「らんまん」伊礼彼方「浜辺美波さんから“ヤバ藤”と呼ばれました(笑)」ガンガン攻める万太郎の恋敵・高藤雅修を熱演【インタビュー】

2023年6月7日 / 08:20

 NHKで放送中の連続テレビ小説「らんまん」。“日本の植物分類学の父”牧野富太郎博士をモデルに、愛する植物のため、明治から昭和へと激動の時代をいちずに突き進む主人公・槙野万太郎(神木隆之介)の波瀾(はらん)万丈な生涯を描く物語だ。東京で植物学の研究に打ち込む万太郎は、下町の菓子屋の娘・西村寿恵子(浜辺美波)と相思相愛の仲。そんな万太郎の恋敵が、寿恵子に熱烈アプローチをする元薩摩藩の実業家・高藤雅修だ。演じるのは、これまで舞台を中心に活躍してきた伊礼彼方。朝ドラ初出演の感想やガンガン攻める姿勢が注目を集める高藤の役作りについて語ってくれた。

高藤雅修役の伊礼彼方 (C)NHK

-朝ドラ初出演が決まったときの気持ちは?

 ものすごくうれしくて、飛び跳ねました。実は長年、舞台をやってきた中で、表現の幅を広げるため、映像に挑戦してみたいと数年前から思っていたんです。例えば、細かい芝居をしたとき、映像の場合は抜かれ(アップになる)ますよね。同じことを舞台でやった場合、それがきちんと後列まで伝わるかというと、なかなか難しい。だから、俳優としてもう一つ上のステップに行きたいという思いがあって。そんなときに映像のお話を頂き、しかも俳優なら誰もが憧れる朝ドラという夢の舞台。非常にうれしかったです。

-現場の印象は?

 月曜日にその週に撮影するシーンのリハーサルを行い、火曜日から撮影に入るやり方が舞台に近いと感じて、安心して臨むことができました。おかげで、いろんなことを試すこともできました。

-「試すことができた」というのは、具体的にはどんなことでしょうか。

 おでこのしわを寄せる、目をつり上げる、頬の筋肉をちょっと動かす、といった細かい芝居です。それと、ネットニュースにもなった二度見ですね。二度見って、僕は舞台でもよくやるんです。でも、舞台ではそれがフィーチャーされることもなければ、効果音が乗ることもないので、本編を見たときは笑ってしまいましたし、まさかニュースになるとは思いませんでした(笑)。

-最初に台本を読んだときの感想は?

 まず、自分が出演する分しか台本を頂けなかったことにびっくりしました。だから、前後が分からず、どうやって話がつながるのか、イメージできなかったんです。でも、自分のシーンだけ読んでいったら、物語のスパイスになるような役柄なんだろうなと。しかも、あの時代にしてはかなりガツガツいく人で、手の甲にキスをしたり、ダンスをしたり、スキンシップが多い。僕は普段から貴族や女たらしなど、女性とスキンシップをする役が多いので、「なるほど。私に来た理由が何となく分かりました」と、ありがたく読ませていただきました。

-伊礼さんの考える高藤の魅力は?

 僕は舞台でも、悪役やこういう三角関係の恋敵やクズな人間の役をよくやるんです。演じる上で大事にしているのは、悪いやつにも悪いやつなりの正義があるということ。それがないと、ただの薄っぺらい悪役になってしまうので、彼は彼なりの正義で、どうしても譲れないものがあってその選択に至ったという理由づけをするようにしています。だから高藤も、恋敵ではありますが、僕の中では初めて本当の恋をしたという設定にしています。でないと、当時、めかけは珍しくなかったと思いますが、そういう当たり前のことにしてしまうと印象に残らず、恋敵としてのレベルも低くなってしまいます。そうすると、スパイスの役割を果たせず、万太郎の物語がうまく進展していかないんじゃないかと。

-恋敵を演じる上で、万太郎役の神木さんの存在はどのように意識しましたか。

 僕がじかに神木さんのお芝居を見たのは、初めて寿恵子さんのドレス姿を見た万太郎が「きれいじゃ、きれいじゃ…」と連発したシーンと、高藤が寿恵子さんを“お姫様抱っこ”したシーン、あとは音楽会の会場でバラの花束を見た万太郎が「うわあ、きれいじゃのう…」と言っているシーンだけなんです。でもそのとき、すごく天真らんまんな印象を受けて、「なるほど。ということは、この逆をいかなければいけないな」と。台本だけでは発見できないことが多く、共演者の声を聞いたり、存在を感じたりしたとき、初めて自分のキャラクター設定の方向性を理解できることがあるんです。だから、万太郎と直接言葉を交わすことはなくても、神木さんのお芝居を見られたのは、非常にありがたかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田章大「体験したことのない違和感を持ち帰ってくれたら」 アングラ演劇の旗手・唐十郎作品に関西弁で挑む『アリババ』『愛の乞食』【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月18日

 2024年に亡くなったアングラ演劇の旗手・唐十郎の初期作品『アリババ』『愛の乞食』が、全編関西弁で、8月31日から9月21日にかけて世田谷パブリックシアターで二作連続上演される。現実と幻想、現在と過去が溶け合うふたつの物語は、叙情的に紡が … 続きを読む

【映画コラム】7月前半『スーパーマン』『ストレンジ・ダーリン』『「桐島です」』『生きがい IKIGAI』

映画2025年7月18日

『スーパーマン』(7月11日公開)  1938年に発行されたコミックに始まり、何度も映画化されてきたアメコミヒーローの原点をジェームズ・ガン監督が新たに映画化。  いきなり、戦いに敗れ、傷だらけになったスーパーマン(デビッド・コレンスウェッ … 続きを読む

俳優デビュー25周年の上戸彩が15年ぶりの写真集を発売 台湾で幻想的な夜市でのロケから寝起き姿まで多彩な魅力満載

イベント2025年7月14日

 俳優デビュー25周年を迎えた上戸彩の写真集『Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』(宝島社)が、7月10日に発売された。発売記念イベントが、7月12日(土)に大阪で、そして7月13日(日)に東京・紀伊国屋書店 新宿本店で … 続きを読む

JT・モルナー監督「この映画の実現は厳しいと言われた時に、『羅生門』を見れば分かると言いました」『ストレンジ・ダーリン』【インタビュー】

映画2025年7月11日

 シリアルキラーの恐怖に包まれた街を舞台に、とある男女の出会いが予測不能な展開へと突き進んでいく様子を、時系列を巧みに交錯させた全6章の構成で描いたスリラー映画『ストレンジ・ダーリン』が7月11日から全国公開される。米映画批評サイトのロッテ … 続きを読む

鹿賀丈史「演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います」『生きがい IKIGAI』【インタビュー】

映画2025年7月10日

 2024年の元旦に発生した地震で甚大な被害を受け、さらに8カ月後の豪雨によって2度目の災害に見舞われた能登で、ボランティア活動に参加した宮本亞門監督が、復興支援を目的に製作したショートフィルム北陸能登復興支援映画『生きがい IKIGAI』 … 続きを読む

Willfriends

page top