杉咲花「どの回の主人公も自分のような気がするし、自分ではない気もしてくる」気鋭の映画監督たちとのタッグで、本人役に挑戦「杉咲花の撮休」【インタビュー】

2023年3月8日 / 08:00

 突然撮影が休みになった俳優の1日を、気鋭の監督と脚本家たちが想像を膨らませて描くユニークなドラマ「撮休」シリーズ第4弾「杉咲花の撮休」がWOWOWで放送・配信中だ(全6話/第1話無料)。今回、主演の杉咲がタッグを組んだのは、映画『ちょっと思い出しただけ』(22)の松居大悟、『窓辺にて』(22)の今泉力哉、『ケイコ 目を澄ませて』(22)の三宅唱という注目の3人の映画監督。その撮影の舞台裏やドラマの見どころを聞いた。

杉咲花(ヘアメーク:小澤麻衣(mod’s hair)/スタイリスト:田中美和子) (C)エンタメOVO

-本人役ということで向き合い方も普段と違ったと思いますが、劇中の「杉咲花」という役はどんなふうに作り上げていったのでしょうか。

 役への向き合い方は、普段とあまり変わらなかった気がします。自分の名前ではありますが、私自身を基準に演じた場合「こうありたい」という理想の自分像を求めてしまう気がして。他者として演じている感覚が強かったです。

-出来上がった台本を読んだときの印象は?

 物語として心から楽しみながら読ませていただきました。ご一緒したかった制作陣の皆さまとの作品が「どんな風に出来上がるのだろう?」という楽しみも大きくて。

-ここは難しかった、ここは面白かったなど、特に印象に残るシーンはありますか。

 とある物まねをするシーンは、難しかったです。腕前を試されている感じがして、「怖い…」と思っていました(笑)。

-松居大悟監督の第1話「丸いもの」ですね。あの物まねはご自身で考えたのでしょうか。

 最初、松居監督に「どうしたらいいでしょう?」と相談をしたら、「大丈夫。思いっきりいこう」みたいな感じで放り出され、本当に頭を抱えました(笑)。ですが最終的には、「風を表すときは、服の裾をパタパタさせた方がいいかも」などと少しずつ肉付けしながら助けてくださいました(笑)。

-苦労のかいあって、とても楽しいシーンでした。松居監督の印象はいかがでしたか。

 松居監督は口数が多いわけではないのですが、とても愛のあるまなざしで現場を見つめていてくださるんです。中でも、第1話の萌歌ちゃんがコインランドリーで歌うシーンは印象に残っています。物語の中に特別な時間として刻まれるシーンである予感はしていたのですが、本番の直前、気付いたら松居さんがじっとこちらを見つめていて。たった一瞬の出来事なのですが、どんな言葉を交わすよりも雄弁で、松居さんの愛情や熱を感じ、本番中に思わず胸が熱くなってしまいました。

-今泉力哉監督の第3話「両想いはどうでも」では、泉澤祐希さんと2人の12分に及ぶ長回しの芝居に驚きました。スケジュール的にも全6話のうち最初に撮影したエピソードだそうですが、撮影は大変だったのでは?

 緊張はしていたのですが、本読みや現場に入ってからの段取り、テストを重ねるうちに、今泉組の空間に身を置くことの心地よさを実感しながら本番に挑むことができたので、プレッシャーからは解放されていました。

-動きがなく、2人で座って会話するだけのシーンなので難しそうですが、間合いが絶妙でくすくすと笑ってしまいました。『窓辺にて』でも12分の長回しを見せた今泉監督らしいシーンですが、今泉組の洗礼を受けた感じでしょうか。

 今泉組の空気を味わえているということへの喜びが大きかったです。今泉監督はとても穏やかな方で、例えば、本番の掛け声なども、本当にさりげなく、緩やかに始まるんです。今泉監督の醸し出すそういった空気感が、現場にいる人々を自然体にさせてくださるんだなと。これまで観客として今泉作品を拝見して、「どうして演者たちはこんなにも伸び伸びと物語の中に存在しているんだろう?」と気になっていたのですが、実際に自分が携わらせていただいてその秘密を知ることができた気がします。

-三宅唱監督の第6話「五年前の話」では花と雪、一人二役を演じていましたね。

 「何が起きているんだ?」みたいな感覚になりますよね(笑)。実際に撮影現場でも、各部署で混乱が多発していました(笑)。

 
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