山田孝之 服部半蔵役は「人としての揺らぎが見えるシーンが多い」【「どうする家康」インタビュー】

2023年2月5日 / 20:50

 NHKで放送中の大河ドラマ「どうする家康」。2月5日放送の第5回「瀬名奪還作戦」では、主人公・松平元康(後の徳川家康/松本潤)の家臣・服部半蔵が登場。一般に「忍者」のイメージが強い服部半蔵だが、本作では「忍者ではないが、忍者の代表」という一癖あるキャラクターだ。演じる山田孝之が、役に懸ける思いを語ってくれた。

服部半蔵役の山田孝之(左)と本多正信役の松山ケンイチ (C)NHK

-ついに服部半蔵が登場しましたが、本作におけるその人物像をどう解釈していますか。

 第5回では、亡き父から「忍びはやるな」と言われていたことも明かされましたが、半蔵は、そもそもできることなら争いを避けて生きたい人。ただ、時代的にも避けられない争いも多いし、自分は伊賀に生まれた宿命もある。それは理解しつつも、やはり争いたくない…という悩みや葛藤を抱えていたのかなと思います。その一方で、幼い頃見ていた忍びとして活躍する父の姿に、少なからず誇りや憧れも持っていただろうと想像しています。いざ任務につくとなれば、ほんのわずかですが、憧れていた父と同じ働きができる喜びもあったのかなと。

-なるほど。

 でも、結果的に父は自分に忍びを勧めなかった。父はさまざまな出来事に巻き込まれ、もしかしたら甲賀との対立の中で亡くなったのかもしれない。その上での言葉だったことを考えると、やはり引き受けない方がいいのかなと、本多正信(松山ケンイチ)の誘いに対してためらう半蔵の思いを解釈しました。

-そんな半蔵を演じる上で心掛けていることは?

 脚本にあるせりふをベースにしながら、描かれていない半蔵の過去や、父のことを想像で足して、人物像を組み立てていきました。史実が本当なのかは誰にも分かりませんし、今作においては、僕に与えられた服部半蔵をどう生きるかということだけだと思っています。

-半蔵を元康に引き合わせた本多正信との関係性について教えてください。

 正信と半蔵は、貧しい暮らしの中で死に物狂いで生きていますし、近いマインドを持った人だとは思います。でも、これは正信に限らずですが、半蔵は基本的に人を信用しておらず、警戒心も強い。どのシーンでも人とほぼ目を合わせないんです。「目は口ほどに物を言う」という言葉もありますが、目をしっかり見ると相手に情報を与えてしまうこともあると思うので。

-ところで半蔵は、初登場の第5回で元康から命じられた「今川領に潜入して、瀬名(有村架純)を奪還する」という任務にいきなり失敗してしまいました。

 鵜殿長照(野間口徹)らに襲われた瞬間、「なんでバレているんだ」と思考停止して、怖くなり動けなくなってしまいました。しかも、そんな自分を救ったせいで、多くの仲間が命を落としてしまった。冷静に考えれば、相手方にバレた場合も想定しておかなければならなかったし、そうなっても動けるように日頃から準備しておくべきだったんですよね。忍びではありませんが…。忍びとしての身体能力は低いですし、戦いたくないので日頃からトレーニングもしておらず、手裏剣一つ投げられない。とはいえ最低限自分が準備しておけば、仲間が犠牲になることもなかったのかと自分を責めたし、絶望したと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

佐々木大光、主演舞台でダンサー役「夢に向かうフレッシュさやエネルギーを出していきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年2月11日

 佐々木大光が主演を務める舞台、LEGEND STAGE PRODUCE「ダッドシューズ 2025」が3月8日から上演される。本作は“ダッドシューズ”と呼ばれる古臭いデザインのシューズをたまたま手に入れた主人公の若木翔と、そのシューズに魂を … 続きを読む

「いろんなことを考えて感じられる映画。こんな映画はどこにもないと思います」久保史緒里、ファン・チャンソン 『誰よりもつよく抱きしめて』【インタビュー】

映画2025年2月10日

 絵本作家の良城(三山凌輝)と書店員の月菜は、海沿いの街で一緒に暮らしている。学生時代から互いを大切にして交際を続けていたが、良城の強迫性障害による潔癖症で、2人は手もつなげずにいた。思い悩む月菜の前に、恋人と触れあっても心が動かないイ・ジ … 続きを読む

山口乃々華、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース音楽劇「愛と正義」 壮大なヒーローの世界で描かれる夫婦関係も魅力【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年2月8日

 ダンス&ボーカルグループE-girlsとしての活動から、本格的に女優業へと進出し、数々のミュージカルや舞台に出演している山口乃々華。その山口が、2月21日から上演されるKAAT 神奈川芸術劇場プロデュース 音楽劇「愛と正義」に出演 … 続きを読む

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第五回 「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」唐丸、平賀源内…多彩なキャラクターが実感させる世界観の広がり【大河ドラマコラム】

ドラマ2025年2月7日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。2月2日に放送された第五回「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」では、前回、版元の仲間入りをすることができなかった主人公“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)がいったん立ち止まり、再 … 続きを読む

【週末映画コラム】『大きな玉ねぎの下で』/『野生の島のロズ』

映画2025年2月7日

『大きな玉ねぎの下で』(2月7日公開)  夜はバー、昼はカフェとして営業する「Double」という店で、夜と昼に別々に働く丈流(神尾楓珠)と美優(桜田ひより)。2人は業務連絡用のノートでつながり、次第にそこに趣味や悩みもつづるようになり、互 … 続きを読む

Willfriends

page top