市川実日子、俳優業のこだわりを語る 「私の喜びの大半を占めているのは、人とものを作ること」【インタビュー】

2023年1月18日 / 17:00

 市川実日子が主演するドラマ「A table!(ア・ターブル)~歴史のレシピを作ってたべる~」がBS松竹東急で放送中だ。本作は、歴史料理研究家・遠藤雅司の著書『歴メシ!決定版 歴史料理をおいしく食べる』が原作。吉祥寺で暮らす、結婚してから長い時間を過ごしてきた夫婦が、身近な食材で歴史に残るレシピの再現を試みようと「歴メシ」を始め、世界の歴史に思いを巡らせ、不思議な時間軸を哲学チックに考える物語。本作の主人公で、大学の学部内の事務員をしているジュンを市川が、夫のヨシヲを中島歩が演じる。市川にドラマの見どころや市川家に伝わる“歴メシ”、今年の抱負や、仕事をする上で大切にしていることなどを聞いた。

「A table!(ア・ターブル)~歴史のレシピを作ってたべる~」(C)BS松竹東急

-本作は、歴史上の人物が食した料理を再現する「歴メシ」がテーマとなっていますが、最初に話を聞いたときの気持ちはいかがでしたか。

 原作本の『歴メシ』の本を、発売された頃に偶然本屋さんで見つけて、興味を持っていました。あっ、あの本のドラマなんだ、面白そうだなと一番最初に思いました。

-台本を読んだ感想を教えてください。

 「歴メシ」自体がやっぱり興味深いものでしたが、歴史のごはんを作ることによって、現代まで 脈々とつながっている「時間」を感じられたり、ジュンの生きてきた「時間」や、ジュンとヨシヲ夫婦の「時間」だったり、「時間」というものを、いろんな角度で感じられる作品だなと思いました。私が演じるジュンは40代で、それなりに時間を経てきた女性なのですが、一緒に散歩しているヨシヲが、道に咲いている草花を見て「いつもこの時期に、ここに咲いてる。前に見たときのことを思い出すんだよね」ということをふと言ったりする。そういうことを感じられる夫婦であると思ったのと同時に、こういう時間の表現がある作品というのが、うれしかったです。

-ジュンという役柄をどのように捉えて演じましたか。

 台本はたくさん余白があるものだったのですが、監督に伺うと、なるべくリアルに、ドキュメンタリーに近いものにしたいとおっしゃっていて、役も私自身になるべく近づけてくださいとのことでした。本番中にその場で感じたことを素直に出すことを心掛けましたが、せりふや台本の流れもあるのと、役と私自身の感じ方の違いも多くあったので、そのバランスを取るのはとても難しかったです。

-共演の中島さんは、市川さんが撮影時に楽しくて、「中学生時代に戻ったような毎日だった」というコメントを出していましたが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

 中島さんもそんな感じの方でした(笑)。人と人って、役だけではなくて、お話をするときなどの相性があると思いますが、私と中島さんの相性が中学生同士のような楽しい感じだったのかなと思います。撮影のときにテストをほぼしない監督だったので、2人で本番中に撮影を重ねながらだんだん空気感が出来上がってきて、一話二話と進むにつれて親友のような、姉弟のような夫婦になっていきました。

-劇中にはマリー・アントワネットが食べた料理など、さまざまな「歴メシ」が登場しますが、プライベートでも作ってみたいと思う「歴メシ」はありましたか。

 レオナルド・ダビンチが食べていた「イチジクの温製サラダ」「インゲン豆のミネストラ」「鶏肉ソテーの教皇風」です。調味料が、塩とハーブでシンプルなので、素材の香りと食感のハーモニーが感じられます。撮影で食べているときから絶対にもう一度家で作りたいと思っていました。私は塩が好きなので、塩味好きにはお薦めです。歴メシを作っていると、砂糖がまだない時代はドライフルーツを使って甘みを出したりしていて、想像力と好奇心の湧くものが多くありました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

水樹奈々「神様が与えてくださった新たなチャレンジの機会」女性狂歌師役で大河ドラマ初出演【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年6月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。5月25日放送の第20回「寝惚(ぼ)けて候」で蔦重は、江戸で人気の“ … 続きを読む

芳根京子、6年ぶりの舞台出演「絶対に楽しい作品になるという自信がある」 「先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月30日

 6月8日から開幕する「先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~」で、芳根京子が6年ぶりに舞台に挑む。本作は、映画監督として知られる行定勲が、中井貴一とともに昭和の映画界を演劇で描く舞台作品。日本映画界を代表する監督の一人である小津安二郎を … 続きを読む

【週末映画コラム】唯一無二の女優の生涯を追った『マリリン・モンロー 私の愛しかた』/老女版のミッション・インポッシブル『テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ』

映画2025年5月30日

『マリリン・モンロー 私の愛しかた』(5月30日公開)  ドラマや劇映画、ドキュメンタリーなど、今もさまざまな形でその生涯が描かれる女優マリリン・モンロー。この映画の監督イアン・エアーズは、10年以上にわたる調査とインタビューを経て完成させ … 続きを読む

奥平大兼、出口夏希、佐野晶哉、菊池日菜子、早瀬憩「みんながいやすい空気をつくってくれた」青春映画で共演の5人が舞台裏を振り返る『か「」く「」し「」ご「」と「』【インタビュー】

映画2025年5月29日

 自分に自信のない高校生の京は、同じクラスの「ヒロインよりヒーローになりたい」という人気者ミッキーに憧れながらも、親友のヅカがミッキーと幼なじみのため、“友だちの友だち”で満足していた。ところが、内気で繊細なエルの不登校をめぐり、京とミッキ … 続きを読む

「なんで私が神説教」第7話で活躍した期待の若手俳優・林裕太に注目!【コラム】

ドラマ2025年5月25日

 学園ドラマと言えば、若手俳優の登竜門。現在、第一線で活躍する人気俳優の多くも、若手時代に学園ドラマで生徒役を経験している。小栗旬、伊藤沙莉、松岡茉優、土屋太鳳、北村匠海など、名を挙げれば枚挙にいとまがない。いわば学園ドラマは「金の卵の宝庫 … 続きを読む

Willfriends

page top