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とはいえ、1人で作っているわけじゃないですから。主役をやるとそんなふうに言われますけど、現場を作っているのは、どちらかというとスタッフのみんななので。今回で言えば、間違いなく(チーフ演出の)吉田照幸という監督が作る現場の空気がそのまま、撮影以外の場所でも浸透していたというか。風通しがよく、変な緊張感もなければ、みんなが意見できる環境があり、そこにそれぞれが自分の持ってきたものを持ちながらいる、という現場だったので。僕が率先して「自分が何かしないと、この現場まずいな」と思うようなことは一つもなく、ずっと楽しくいさせてもらった感じです。
この「鎌倉殿」が今、皆さんに面白がってもらえている理由は、やっぱり物語の力だと思います。自分たちが見ても面白いと思いますし、受け取った脚本がいつも、僕らを演じることに対して前向きにさせてくれましたから。それに応えるべく、演出や美術やいろんな部署が、一生懸命その世界観を作ろうとして相乗効果が発揮された結果が今につながっているわけで。
全48回を通して、こんなに説明ぜりふが少なくて済んだ脚本はなかなかないと思っていて、そこがまず一つ、三谷さんの優れた部分なのかなと。起きている事象とそれぞれの人が言う言葉によって世界観が見えてくる状況が脚本に書かれていて、感情にそぐわないせりふや、見ていれば分かるのに、みたいなものが全くなかったんです。それは、俳優としてはすごくありがたかったです。
作品が転がり始めて、自分たちが演じたキャラクターを見てからの方が、きっと三谷さんは脚本作りがはかどる方なんだろうなということはすごく感じました。ああいう最終回を書いてくれたこともすごいですし、上げたらきりがありませんが、大河ドラマをこよなく愛している方だなということはすごく伝わってきました。僕が偉そうに言うのもなんですが、今回は本当に、神がかっていたんじゃないかと思うぐらい、毎回、台本を読むのが楽しみでした。だから、大河ドラマという場所で、三谷幸喜さんの脚本で、こういう形でできたことが、自分にとっては一番ありがたいことだったなと思っています。
(取材・文/井上健一)
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