「鎌倉殿の13人」第43回「資格と死角」わが道を行く北条義時の妻・のえの今後は?【大河ドラマコラム】

2022年11月19日 / 08:28

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。11月13日放送の第43回「資格と死角」では、修行を終えて鎌倉に戻った源頼家の息子・公暁(寛一郎)を巻き込み、鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)の後継者を巡る駆け引きが描かれた。

源仲章役の生田斗真(左)とのえ役の菊地凛子 (C)NHK

 そのシリアスな物語の流れとは別に、意外な注目を集めたのが、主人公・北条義時(小栗旬)の妻・のえ(菊地凛子)だ。

 義時と確執を深めていることなどつゆ知らず、都育ちの源仲章(生田斗真)にポーッとなって親しく言葉を交わす姿はまるでデートのようで、「メロドラマ」などと話題になった。

 のえに関しては、当初、「キノコ大好きなんです」と偽って義時と結婚し、その素顔を知った義時の息子・泰時(坂口健太郎)に「とんでもない女子だ」とまで言わせたことから、もっと悪女的な振る舞いで物語をかき回すのかと思っていた。

 だが、今のところ菊地のとぼけた演技も味わい深く、権力闘争に翻弄(ほんろう)される義時をはじめ、政子や泰時ら、他の北条家の面々とは一線を画す立ち位置で、独特の存在感を放っている。

 その一方、出世欲を隠そうとしないところものえの特徴だ。これまでを振り返ってみると、「私なんか、欲が着物着て歩いているようなもんだけど」(第39回)という自身の発言や、政子(小池栄子)と実衣(宮澤エマ)の会話で飛び出した「りくさんを思い出すわね」(第40回)という“のえ評”などが印象に残っている。

 確かに、夫・義時が「執権」を名乗ることを後押ししたように、のえにはかつて出世欲をみなぎらせていた北条時政(坂東彌十郎)の妻・りく(宮沢りえ)を思わせるものがある。

 ただし、自らの願望を実現しようと、たびたび計略をめぐらせたりくのようなしたたかさや計算高さは、のえには見られない。

 その点では第40回、大根の茎から葉と筋を取り除く作業の最中、政子と実衣から「あなた、全く取れてないではないですか」「都育ちの割には大ざっぱ」と指摘された場面は象徴的だった。

 登場するたびにシビアな物語の空気を和ませることから、なんとなく“お笑いポジション”に収まっているようにも思えるのえ。だが、巧みな手綱さばきで視聴者を驚かせてきた名脚本家・三谷幸喜がそれだけで終わらせるとは思えない。

 史実として、のえ(=伊賀の方)には、義時の死後、泰時を追い落として息子・政村の執権就任を図った「伊賀氏の変」や「実は義時を毒殺したのではないか?」と言われる「義時毒殺疑惑」が残されている。つまり、現在のとぼけたのえは、そこに向かって種をまいている段階とも考えられる。

 
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