「鎌倉殿の13人」第42回「夢のゆくえ」みんなの力を一つに合わせる北条泰時の成長【大河ドラマコラム】

2022年11月11日 / 19:24

 「船のあちこちに、木材を収めた御家人たち、建造に当たった御家人たちの名を記すのです。(中略)あの船は、鎌倉殿だけのものではなく、鎌倉殿と御家人が共に作り上げたものになります。その絆の証しとなるのです」

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。11月6日に放送された第42回「夢のゆくえ」では、源実朝(柿澤勇人)による唐船建造の史実にまつわるエピソードが描かれた。

「鎌倉殿の13人」第42回から (C)NHK

 宋の技術者・陳和卿と出会い、自ら将軍としての徳を積みたいと、宋に渡る唐船の建造を計画する実朝。その裏に後鳥羽上皇(尾上松也)の影を感じつつ、御家人たちの負担が大きすぎると反対する主人公・北条義時(小栗旬)。

 両者の間で、自分を側近に抜てきしてくれた実朝の思いをかなえたいと願う義時の息子・泰時(坂口健太郎)が、その解決策を提案したのが冒頭に引用した言葉だ。

 真っすぐな性格が若い頃の義時を思わせる泰時だが、それと同時に、バラバラだった御家人たちの間を駆けずり回って孤軍奮闘していたかつての義時とは違い、「みんなの力を一つに合わせて」物事を成し遂げようとする傾向がより強くうかがえる。

 冒頭の言葉には、そんな泰時の姿勢が象徴的に表れていた。前回の合戦後、義時から謹慎を命じられていた弟の朝時(西本たける)を「板戸で敵の矢を受けるのを思いついたのは、次郎(=朝時)にございます。役に立つ男です」とかばったのもその一例といえる。

 そんな泰時の今後を考える上で印象的だったのが今回、実朝が「上皇様が送ってくださった」と聖徳太子の肖像画を見せた場面だ。

 このとき、実朝は泰時に「世を治めるためには、私自身が慈悲深い名君とならねばならぬ。聖徳太子さまは、尊いお生まれに満足されることなく、功徳を積まれた。私の道しるべだ」と語っている。

 聖徳太子と言えば、「和を以って貴しとなす」で始まる「憲法十七条」を制定したことで知られる。一方、泰時は後に史上初の武家法「御成敗式目」を制定するが、その条文“51か条”という数字は、「憲法十七条」の17の倍数にちなんだともいわれる。

 また、泰時の「みんなの力を一つに合わせる」姿勢も、「和を以って貴しとなす」に通じるものがある。この聖徳太子の肖像画は、そういった泰時の未来を暗示しているように思えるのだ。

 さらに、泰時役の坂口は、番組公式サイトに公開されたインタビューで次のように語っている。

 「きっと泰時が孤独な人だったら、この後“歴史的に有名な御成敗式目をつくる人”にはなっていなかったかもしれないし、胸の内を話せる存在のありがたさを実感しています」

 これは、泰時の幼なじみ・平盛綱(きづき)との関係について言及したものだが、他にも実朝や朝時など、泰時の対人関係全般に通じる。

 
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