“ミュージカル界の帝王”山口祐一郎「与えられた役柄を生きることが人生になっている」 帝国劇場と舞台「キングダム」について語る

2022年10月18日 / 08:00

 ところで、本作が上演される帝国劇場は、日本を代表する劇場の一つであり、演劇やミュージカルの聖地とも称される劇場だ。それだけに「いつかその舞台に立ちたい」と憧れを抱く俳優も多い。これまでも数々の名作を上演してきた同劇場だが、先日、ビルの建て替えに伴い、25年に一時休館することが発表された。

 山口は、これまで「レ・ミゼラブル」や「エリザベート」など、数々の作品でそのステージに立っていることから、思い入れも深い。

 帝国劇場での思い出を尋ねると、「『キングダム』の原作者である原さんが『どうしてこう描いたのか半分は理由が分かるけれど、半分は僕も理由が分からない』とおっしゃっていたのですが、僕も、同じように帝劇に初めて立ったときに、自分で想像してできたことと、どうしてそう演じたのか分からないところ、それから言葉として表現できるもの、できないものがあります。昔は、舞台に立つのが人生の夢でしたが、今は夢が現実になって、ずっと舞台上にいる。僕は舞台上で、与えられた役柄を生きることが人生になっているのです」と思いを明かした。

 さらに山口は「2025年でクローズし、その何年か後に新しい帝国劇場が生まれますが、こけら落としにどの作品が上演されるんだろう、誰が出演するのだろうと考えたときに、その時代にたまたま生まれたことに運を感じます。新しい帝国劇場に立ちたいという思いがモチベーションになりますから。僕は、いつも過去の話ばかりしてしまいますが、三浦くんは未来の話をするんです。初めて未来の話をしたのが、『リニューアルした帝劇でまた宏規くんと会えたらいいね』ということでした」と語ってほほ笑んだ。

(取材・文・写真/嶋田真己)

山口祐一郎 (C)エンタメOVO

 舞台「キングダム」は、2023年2月5日~27日に都内・帝国劇場ほか、大阪、福岡、北海道で上演。
公式サイト https://www.tohostage.com/kingdom/

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