早見あかり、アイドルから俳優へ 「楽しく生きる」をモットーにまい進【インタビュー】

2022年8月26日 / 08:00

 アイドルから俳優へ転身し、NHK連続テレビ小説「マッサン」や映画『シン・ウルトラマン』など多数の話題作に出演し、俳優として着実に歩んできた早見あかり。9月15日から開幕する舞台「血の婚礼」では、結婚を直前に控えていながら、かつて心を通わせた男の出現によって激しく心が揺さぶられる“花嫁”を演じる。スペインの伝説的劇作家による名作悲劇に、木村達成、須賀健太らと共に挑む早見に、作品への意気込みや見どころ、さらには俳優業への思いを聞いた。

早見あかり (C)エンタメOVO

-1人の女性をめぐり、2人の男性が命を懸けて闘う、愚かしいほどの愛と衝動を描いた本作ですが、最初に脚本を読んでどんなところに魅力を感じましたか。 

 難しい戯曲なのかなと思っていましたが、実際に読んでみるとそんなことはなく、現代の私たちにも共感できるストーリーだと感じました。愛の矢印がいろいろな方向に向いているので複雑な構造に見えてしまうし、現代の愛の表現とは違う伝え方をしていますが、生演奏の音楽や殺陣など、いろいろな要素がある作品になると思うので、初めて観劇される方にも楽しんでいただけると思います。

 -早見さん自身は、本作のどんなところに共感しましたか。

 強い気持ちで人を愛するということ、しゅうとめの子どもを思う気持ち、父親が“花嫁”を思う気持ちはすごく理解できます。それから、私自身、がんじがらめの中で「こうしなさい」と言われて生きるのが苦手なので、最終的に“花嫁”が下す決断には共感できました。きっと、彼女は頭ではその決断をしたらどうなるかは分かっていたと思います。でも、自分の意思に沿って生きていきたいという思いが強かったんだろうなと。 

-早見さんが演じる“花嫁”という役柄はどのようにとらえていますか。

 父に対する自分、女中に対する自分、花婿に対する自分、(花嫁が以前に心を通わせていた)レオナルドに対する自分というように、対峙(たいじ)する人によって人格が違うように感じました。ただ、そのどれもが本当の自分なんだろうと思います。当時の結婚は、幸せを求めて行うという一面がありながらも、一方で女性を縛るものでもありました。だからこそ、そういうところから逃げ出したいという気持ちと、言われた通りに結婚しなければいけないという気持ちと、さまざまな感情が渦巻いていて、その心の動きによっていろいろな人格があるように見えているんだと思います。今(取材当時)はまだ、そんな“花嫁”をどう演じればいいのか分かりませんが、稽古を通して作り上げていくのが楽しみです。

-ところで、早見さんはアイドルから転身して、現在は俳優業をメインに活動をしています。転身しようと考えたきっかけは?

 特に大きなきっかけがあったわけではありませんが、アイドルと並行してお芝居やモデルの仕事をしていたときに、自分はアイドルには向いていないと思ったことと、アイドル以外の活動に力を向けていきたいと思うようになったことがきっかけでした。今、振り返ってみると、その時点で、強い意志で「絶対に俳優になる」と思っていたというわけではないと思います。モデル業もすごく楽しかったですし。ただ、続けていくうちに、自然と俳優って面白いなという思いが強くなり、俳優業がベースになっていったように思います。

-その「俳優が面白い」と感じるのはどんなときですか。

 私、飽き性なんですよ。なので、1クールごとに演じるものが変わって、一緒にお仕事をする人が変わるというのが、毎回新鮮で、楽しいです。以前、舞台に出演したことがなかったときには、同じ共演者たちと、同じ場所で、同じ脚本でお芝居をやり続けるのは私には無理だなと思っていたんです。ですが、周りの方々に「それは違う、絶対にやってみた方がいい」と勧めていただき、実際にやってみたら、本当に違った。3カ月、その作品に向き合う楽しさに気付けました。

-では、俳優として大切にしていることや、これだけはブレずに持っていたいと思っていることは?

 現場に行く前に考え過ぎないことだけは、気をつけています。アイドルを辞めてすぐの頃は、こうしなければいけないと、(役を)自分の中の型にはめて撮影現場に行っていたんですが、そうすると監督とのイメージがズレていて「こうしてほしい」と演出を受けても、すぐに対応することができなかったんです。なので、考え過ぎるのもよくないなと思うようになりました。

-今後の目標は?

 楽しく生きること! 仕事でもプライベートでも、今、自分に必要だと思ったものを拾って、楽しく生きていきたいです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

門脇麦、「芝居に対してすごく熱い」田中圭と夫婦役で5度目の共演 舞台「陽気な幽霊」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月2日

 田中圭を主演に迎え、若村麻由美、門脇麦、高畑淳子ら豪華共演者で贈る舞台「陽気な幽霊」が5月3日から開幕する。本作は、20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードによるウェルメイド・コメディー。1945年にはデヴィッド・リーン監督により映画化も … 続きを読む

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『 … 続きを読む

坂本昌行&増田貴久がミュージカルで初共演「笑顔になって、幸せになって帰っていただけたら」 ミュージカル「ホリデイ・イン」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月1日

 坂本昌行と増田貴久をはじめとした豪華キャストが出演するミュージカル「ホリデイ・イン」が4月1日から開幕する。本作は、1942年に公開された映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに舞台化されたミュージカル作品。「 … 続きを読む

藤原竜也が挑む「マクベス」 「1日1日、壁を突破することが目標」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月29日

 2024年5月にスタートした、吉田鋼太郎が芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】。待望の二作目となる「マクベス」が、藤原竜也を主演に迎え、5月8日から上演される。藤原に初めて挑む「マクベス」への思いや吉田とのクリエイトに … 続きを読む

竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月28日

 「週刊少年ジャンプ」で2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴による大ヒット漫画『鬼滅の刃』。2020年に初めて舞台化されて以降、シリーズを重ね、4月11日からはシリーズ5作目となる、舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里が上演される。 … 続きを読む

Willfriends

page top