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数学者の視点から第2次世界大戦を描いた、三田紀房の漫画『アルキメデスの大戦』。2019年には山崎貴監督によって映画化され、大きな話題を呼んだ作品が舞台化され、10月1日に開幕する。主人公の天才数学者・櫂直(かい・ただし)を演じる鈴木拡樹と、櫂を補佐する海軍少尉・田中正二郎を演じる宮崎秋人に、本作の見どころや公演への意気込みを聞いた。
鈴木 2年前は稽古すらできない状態で、不完全燃焼のまま終わってしまいましたが、こうして当時とほぼ同じキャストで再び上演できることになりました。リベンジする価値のある作品だと思いますし、全公演完走を目指し、コロナ禍を乗り越えたと思っていただける作品にしたいと思います。
宮崎 まずは、こうしてまたキャストたちが集まって公演ができることにうれしさを感じています。ロシアやウクライナのこともあり、今は2年前では考えられなかった世界情勢で、この作品がより身近に感じることになってしまうのは悲しいことではありますが、こうしたときだからこそ、使命感を強く持って公演に挑むことができると思いますので、しっかりと皆さんにお届けできたらと思います。
鈴木 この時代背景の作品で、日本国内の造船に対する賛否を描いた物語はあまりないと思います。世界規模の大戦が起こっている中、造船という一つのものに焦点を当てているので、そこがこの作品ならではの魅力で、きっと楽しんでいただけると思います。
宮崎 僕はこれまで戦争映画はたくさん見てきて、やはり「戦艦大和」は当時の象徴だったり希望だったりした面もあるのだと思います。それを否定する立場の人物も出てくるのが今回の作品です。角度が変われば彼らの正義も起こった事象の見え方も変わってきます。改めて、戦争について考えさせられる作品だと思いました。
鈴木 本当に考えさせられる作品なんですが、莫大(ばくだい)な量のせりふなんですよね(笑)。映画も見ていたので、もちろん、想像はしていたんですが、度肝を抜かれました(笑)。今回、僕が演じる櫂は、行動するよりも計算してから動くという、理系タイプの人間で、淡々とそのせりふを話します。僕自身は、文系で、こうした役柄を演じるのも初めてなので、真逆な人物を演じることを楽しめるところまで稽古をしていきたいと思います。
宮崎 会話で紡がれていく作品なので、いろいろな人との会話を楽しめたらと思っています。それから、僕が演じる田中は、櫂と出会うことによってどんどん変わっていき、最後は力を合わせて成し遂げようとします。その成長を作品の中でしっかり見せられたらと思いますし、自分を出す男ではないけれども、垣間見える部分はたくさんあるので、そこもいやらしくないように出していけたらと思っています。
鈴木 先日まで出演していた舞台は、僕にとって約半年ぶりの舞台でした。これまでは、舞台に出演しない期間がこんなにも長かったことはないんですよ。半年も空いたのは初めてだったので、改めて舞台の楽しさを実感しましたし、お客さまが劇場に来てくださることに、そして演劇ができることにありがたさを感じました。なので、そういう思いは、2年前に比べて強くなっているかなと思います。
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