ムロツヨシ、捜査に執念を燃やす刑事役で新境地「パブリックイメージは僕の一面でしかない」【インタビュー】

2022年7月23日 / 12:00

 ムロツヨシが主演する「連続ドラマW 雨に消えた向日葵」が、7月24日から放送・配信スタートする。本作は、吉川英梨の同名小説『雨に消えた向日葵』(幻冬社文庫刊)を原作に、ある少女失踪事件の真相を追う刑事・奈良健市と、失踪した少女・石岡葵の家族の苦悩と執念の日々を描いたヒューマンミステリー。今回、ムロが演じた奈良は、「喜劇ばっかりやってきた」と話すムロにとって、まさに“新境地”となる、捜査に執念を燃やす刑事という役どころだ。作品への思いや役者としての信念などを聞いた。

ムロツヨシ (ヘアメーク:池田真希/スタイリスト:森川雅代)

-これまでコメディー作品への出演が多い印象がありましたが、本作では一転して、陰のある刑事という役どころです。

 僕もこの役を頂いたときはびっくりしました。脚本を読んでも笑わせる必要もないし、そもそも笑うところがない作品でしたので。ただ、こういった役を皆さんに見ていただくにはいい機会だったんじゃないかとは思います。よく、パブリックイメージといいますが、それは僕の一面でしかありません。僕は、20代から演劇をやっていて、「喜劇」と呼ばれる作品に出演していましたが、今回は、僕がその「喜劇」で培ってきた芝居を皆さまにじっくりと見ていただけたらと思っています。

-ムロさんが演じる奈良というキャラクターについては、どのような印象を抱きましたか。

 奈良は、妹が事件に巻き込まれてしまったという、僕たちが普通に生きていたらあまりないバックボーンを持っています。そのバックボーンがあるからこそ、妹に対する思い、家族に対する思いがあり、それが刑事という仕事に就いた理由につながっていきます。なので、そこは演じる上で忘れてはいけないところだと感じました。ただ、僕の経験にはないものだったので、それをしっかりと重くとらえるべきなのか、それとも重過ぎずに考えるべきなのか。それから、使命感からくる正義感なのか、正義感があるからこそ背負ってしまう使命感なのか。そうしたバランスを考えながら演じるようにしていました。奈良には、本当に心休まる時間がないんですよ。全てのものを背負って、真っすぐにやりきって、事件に向かっていくというのは、彼のすごいところだと思います。とても難しく、きつい役でした。

-刑事役ならではの動きや所作で、こだわったところはありますか。

 監督が「昭和の刑事ドラマっぽさを出したい」とおっしゃっていて、僕も大賛成でしたので、新しい刑事ドラマというよりは昭和っぽさは出ているのではないかと思います。この数年、僕たちがテレビという媒体ではどちらかというと避けてきた、例えばたばこを吸うシーンなどはまさにそれだと思います。

 ただ、取り調べに関しては、今回は現代の物語なので、昭和のドラマにありがちな声を荒げる芝居ではなく、冷静に問い詰めるようにしました。これまでも、喜劇では取り調べのシーンを数多くやらせていただきましたが、今回は本当にシリアスに、さまざまな犯人や被疑者と向き合うシーンを演じさせていただいたので、難しくもあり、やりがいがありました。

-失踪した少女・葵の父である石岡征則役の佐藤隆太さんとの共演はいかがでしたか。

 僕はこれまで喜劇に出演することが多かったので、例えていうならば、素晴らしい変化球投手たちとはいろいろなキャッチボールや対戦をしてきました。ですが、佐藤さんは、ひたすら真っすぐなボールで勝負してくるので、面白かったです。佐藤さんのストレートを間近で見ると、やっぱり伸びてくるんですよ。初速から終速までの速度が伸びるというのは、こういうことをいうんだな、と。本当に今回は、佐藤さんとのキャッチボールが楽しくできました。

-刑事という役を演じる上で、喜劇をやってきたからこそ、その経験が生きたということはありますか。

 「喜劇をやっていたから今の役が生きた」というよりは、どのお芝居もいろいろな要素の上で成り立っているものなので、実は何も変わらないんだと思います。喜劇の中にも悲劇があったり、何げない日常会話のシーンもありますから。こうしてお話する上では、「喜劇をやっている」という言い方をしていますが、実は、演じる上ではカテゴライズはしていないんですよ。与えられた環境、せりふ、ストーリーを背負わせてもらってやることは何も変わらない。ただ、皆さんのイメージとは違う役を演じることでギャップは楽しんでいただけるのではないかなとは思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

千葉雄大、「映像の人」「舞台の人」という「垣根をなくしたい」 友近と挑む二人芝居・リーディングドラマ「老害の人」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 内館牧子によるベストセラー小説『老害の人』が、リーディングドラマとして舞台化される。出演者は、友近と千葉雄大の二人だけ。登場人物のすべてを、二人が自在に演じ分ける。  物語の主人公は、小さな玩具屋を大企業に育てた元社長の福太郎。老いてなお … 続きを読む

小手伸也、「映像ではテンションの7割しか出していない」 リミッターを解除して臨む舞台初主演作「コテンペスト」

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 小手伸也が舞台初主演を務める「俺もそろそろシェイクスピア シリーズ『コテンペスト』」が、6月27日から上演される。公演に先立ち、小手が取材に応じ、本作への思いを語った。  本作は、シェイクスピアの最後の作品「テンペスト」の設定を現代に置き … 続きを読む

【映画コラム】4月後半公開の映画から『人はなぜラブレターを書くのか』『今日からぼくが村の映画館』『ソング・サング・ブルー』

映画2026年4月24日

『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)  2024年、千葉県香取市で定食屋を営む寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、ある青年に宛てて手紙を書く。  24年前、当時17歳だったナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生の富久信介 … 続きを読む

小林虎之介「名前と同じ『虎』の字が入った役名に、ご縁を感じています」連続テレビ小説初出演で、主人公の幼なじみを好演中【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年4月23日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

浦井健治が演じる童磨がついに本格参戦!「童磨を本当に愛し抜いて演じられたら」舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月23日

 舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入が6月13日から上演される。原作漫画「鬼滅の刃」はコミックスの全世界累計発行部数が2億2000万部を突破。その大人気作品の舞台化で、シリーズ6作目となる本作では、柱稽古、そして無限城の戦いを描く … 続きを読む

page top