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善児です。善児が注目されるのは計算のうちではあったんですが、あれほど皆さんを震撼(しんかん)させ、心に残るキャラクターになるとは思っていませんでした。それは、何よりも演じる梶原善さんと演出の力です。それを踏まえて、ここまで成長した善児にどんな退場のさせ方をすれば皆さんが満足するだろうかと考えながら、彼の退場シーンを書きました。
そして、もう一人が実衣です。実衣は最初、政子にちゃちゃを入れる話し相手ぐらいのつもりでいたんです。でも、宮澤エマさんが演じる姿を見て、いろんな資料を調べながら書き進めるうち、それだけではもったいないと。彼女はもっと成長していくべきだし、そんな姿が見たいと思うようになりました。だから、宮澤さんと実衣、共に本番はこれからです。その片りんもちらっと見えてきましたが、頼朝の死後、権力欲に取りつかれる実衣の姿は、書き始めたときは想像もしていなかったので、すごく意外ですが、面白くなっていると思います。
範頼に関しては、これまで光が当たらず、かわいそうに思っていたので、きちんと描きたいと最初から考えていました。
三浦義村は不思議な人で、どんな局面でも何を考えているのか、よく分からないんです。裏切ってばかりですし。その面白さを生かしたいと考えたとき、思い浮かんだのが山本耕史さんでした。山本さんには僕の大河に毎回出ていただいているので、今回はぜひ、つかみどころがなく、かっこいい三浦義村をやってもらいたいと思ったんです。案の定、いまだにどんなやつかよく分かりませんが、ここまできたら最後まで貫いてほしいです。歴史に詳しい方ならご存じでしょうけど、今後、彼も暗躍するようになります。そしてせっかく山本さんに演じてもらうのだから、最後の最後に、義村の最大の見せ場を用意するつもりです。まだ言えませんが、物語の終盤、ラスボス的な存在で主人公に立ちはだかるのはこの男かもしれませんよ。
書いてみて思ったのは、戦国や幕末とは全く違う世界だということです。その中でも一番大きいのは、当時の人たちは神さまをとても身近に感じていて、ものすごく信仰が厚い点です。実際、神頼みや呪い、夢のお告げといったものに縛られていますから。そういうものをドラマに取り入れるのは、戦国時代などではあり得ません。ある意味、何でもありですが、その分、人間が本来持っている根っこの部分をストレートに表現できる気がするので、今回はそれを多用しています。
この先、比企一族が滅亡するとき、比企尼(草笛光子)がある人物に呪いの言葉を告げ、それがまた新たな悲劇を生む…という展開もあります。それも含め、物語としてとても豊かなものを感じます。その中で、義時という人は実は最もドライで、現実的な登場人物じゃないのかなと。なんでもありの混沌(こんとん)とした中で、一人だけリアリストがいた、というイメージです。だから、義時を主人公にしたのは、やっぱり正解だったと思っています。
(取材・文/井上健一・田中雄二)
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