【大河ドラマコラム】「鎌倉殿の13人」第25回「天が望んだ男」死期迫る頼朝の陰に隠れた女たちの火花散る戦いの予感

2022年7月1日 / 11:00

 NHKで放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。6月26日に放送された第25回「天が望んだ男」では、死が近づく源頼朝(大泉洋)の姿が描かれた。脚本の三谷幸喜はこの回について、インタビューで「厳かに頼朝をみとるような回」と語っていたが、随所に今後の伏線になりそうな出来事も散りばめられていた。中でも筆者の目を引いたのが、女たちの姿だ。

「鎌倉殿の13人」第25話から (C)NHK

 まずは、自宅で双六に興じる夫・北条時政(坂東彌十郎)を、「御所へ行かなくてよいのですか」と問い詰めたりく(宮沢りえ)だ。

 ここでりくは、「呼ばれてねえから」とのんきに返す時政に「比企の一族は、若君を取り込んでお子まで生まれて。このままでは、鎌倉は乗っ取られてしまいます」といら立ちをぶつける。

 りくは、これまでも、例えば第21回の、自分の出産祝いに北条家が勢ぞろいした場で、「皆さん、いささかたるんでおります。もっと北条を盛り立ててゆくのです」と一族の尻をたたくなど、たびたび野心をのぞかせてきた。

 この回の後半では、頼朝にも「あなたさまは、今や、日の本一の軍勢を持つお方。そのお力をもってすれば、朝廷だっていうことを聞きましょう」とけしかけている。

 一方、りくがライバル視する比企一族も、この回、乳母を務めた頼朝の嫡男・源頼家(金子大地)と比企能員(佐藤二朗)の娘・せつ(山谷花純)との間に生まれた長男・一幡を頼朝に引き合わせるなど、北条家に対抗心を燃やしている。

 この比企一族と源氏との接近を画策したのも、当主の能員というより、もともとはその妻・道(堀内敬子)の発案だ。

 道はこれまでも、一族の娘・里(三浦透子)を源義経(菅田将暉)の妻にしたり、比奈(堀田真由)を頼朝の下に送り込んだり(結局、義時の妻になったが)と、繰り返し源氏への接近を図り、権力に執着する様子をうかがわせている。

 つまり、北条と比企との出世競争は、幕府の御家人である両家の争いであると同時に、その裏に隠れた女たちの争いでもあるわけだ。むしろ、男よりも女たちの方が積極的に争っているようにすら見える。

 この回では、時政がりくに「鎌倉殿は、北条の婿。あのお方が急に亡くなりでもしない限り、北条は安泰じゃ」と語る一幕もあったが、その鎌倉殿=頼朝が亡くなれば、この言葉の裏付けはなくなる。

 そうなると、北条と比企が激しくぶつかることが予想され、今後繰り広げられるであろう御家人たちの権力闘争では、りくや道など、女たちの野心も物語の行方を大きく左右するに違いない。

 
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